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著者の意図を「推測」してみる前に、まずは書いてあることをきちんと理解するのが大事ではないか

タイトルにも書きましたが、 何故たらればさんのツイートを掲載されたのですか? プロフィールを見た限りでは編集者さんのようですが(中略)あ、「自身の主張の妥当性を強めるために掲載した」 と私が解釈したのは私の『推測』によるものですので 『誤解』だったらごめんなさいね。

前回の記事についた「はまち」さんのコメント。超簡単に表現すれば前回の記事では一応「"書いてあること"をきちんと読み取ろう」という趣旨のことを言ったのだけれど、そのような記事にこうしたコメントがつくというのは中々萎えるし、同時に前回の記事で書いたことは繰り返し述べる必要があるトピックなのだなと感じるに至っている。


というのも、「何故たらればさんのツイートを掲載されたのですか?」という質問に対する答えは前回の記事本文に書いてあるも同然だからだ。引用すると「このツイートに示されている考え方は主張の妥当性を判断するにあたって重要なものだと思う」という文章。つまり質問に対する答えも「"たられば"さんのツイートにある考え方が主張の妥当性を判断するにあたって重要なものだと思ったから」というものになることは明らかだと思う。


そして、「はまち」さんがコメント欄で述べた「自身の主張の妥当性を強めるために掲載した」という推測、「そんなツイートを掲載したところで あなたの今回のような主張の妥当性は強められないのではないでしょうか? (もしそのような実績があるならば合わせて掲載するべきです。) せいぜい"他の人も言ってるからそうに違いない"レベルにしか成り得ませんよ」というツッコミも前回の記事本文の記述に照らすとかなり不当なものだと感じる。というのも、再度「このツイートに示されている考え方は主張の妥当性を判断するにあたって重要なものだと思う」という記述を見ると、別に僕が「"たられば"さんが言ってるからそうに違いない」といった趣旨の文章を書いた訳ではなく、単に「たられば」さんのツイートの考え方そのものに大いに同意できる部分があった(つまり僕自身の考えを言い表している部分があった)からツイートを掲載したことが明らかなはずだからだ。


では、前回の記事のどこで「たられば」さんのツイートに記されている考え方の妥当性が裏付けられていたのか。それは記事の約半分をも占めている「"kato"さんが書いていないことまで勝手に読み取ったことで内田さんの主張を誤って認識し、それゆえに主張に対して不当な評価をした」という例である。抽象的に言えば、この例から「書いていないことまで勝手に読み取ってしまうことで、その文章を不適切な形で評価してしまう」ことが示されている。この例があるからこそ、「たられば」さんのツイートにある「書いてないことまで読み取らない」という姿勢が誤った読解を避けるために有益であるという旨の記述に同感できるようになるわけだ。


冒頭で記したように「はまち」さんのコメントには「"自身の主張の妥当性を強めるために掲載した" と私が解釈したのは私の"推測"によるものです」とある。確かに前回の記事で僕は「"書いてないこと"に思いを巡らせること自体は問題ないと思う」と書いた。しかし、前回の記事と同じような結論だけれど「推測したこと」に囚われて本来の主張の意味を理解し損ねては意味がない


僕は過去に「ブログ記事に対するコメントを見て"これは明らかに読解力不足だ"と感じたことは無いか」という記事を書いたことがあり、即ち元々「読み手の読解力不足」という点に問題意識を持っていた。その記事を書いた時点では、単純に「文章の読み取り方がおかしい場合があるなぁ」という愚痴レベルのことを感じていたに過ぎなかったのだが、現在は、主張の意味を理解し損ねたゆえに文章の妥当性の判断に狂いが生じてしまう恐れが発生するという点で「読み手の読解力不足」を問題と感じるに至っている。場合によっては「書いていないこと」こそ読み取らなければならないこともあるかもしれないけれど、ひとまずは書いてあることをきちんと理解することが大事なのではないかと僕としては感じる。


ちなみに今日アップされた「メイロマおばさん、ロンドンは本当にベビーカー天国なんですか?」というエントリー(※このブログの記事ではない)の追記でも、明らかな誤読に基づくコメントに対する「俺そんなこと書いたか?どこに?(中略)俺はこういう書いてもないことで喧嘩売られるのが嫌いなんだよ。」という文章が書かれている(しかも、その誤読コメントにスターをつけている人も多数いる)。この他にも「読み手が、書いていないことを勝手に読み取る」という問題は結構あるんじゃないかと思うのだが、最後に吉岡友治さんの「"眼力"をつける文章力」という本から次の文章を引用したい。

もちろん「行間を読む」ことが新しいものを創造するきっかけになることも無いとは言えないが、自分の頭の中をのぞき込んでいるだけのことも多い。本を読みながら自分勝手な想像をしているだけなら、わざわざ他人の書いたものに触れる意味は無かろう。むしろ、「行間を読む」技術を身に着けるより、書いてあることをそのまま理解する技術を身に着ける方が先だろう。


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あなたがその論客を支持するのは、論客の主張を誤解しているからかもしれない

このブログにある「ダメな就活生・労働者擁護論」というカテゴリで何度も書いてきたのは「企業を叩いている言説だからと言ってそれを雰囲気や印象論で支持するのではなくて、各主張の妥当性をきちんと検証する姿勢を持つ人が増えてほしい」という趣旨のことだった。そして、こうした主張を書く際にはよく「なんでこんな妥当性に欠けた文章に違和感を覚えることなく、支持しちゃう人たちがいるんだろう?」という疑問を抱いていた。


当初は、「主張が自分にとって心地よいものだったから、何も考えずにその主張を鵜呑みにしちゃっているのかな」と漠然と思っていた。ただ、ここ最近頂いた「kato」さんのコメントなどを見て、そもそも「書かれている文章をどう理解するか」について人によって大きな差異があり、この違いにより主張を問題だと感じるか、それとも妥当だと感じるのかが異なってくるのだと感じるようになってきている。


僕と「kato」さんで文章の理解が異なっているのは、内田樹さんが書いた「内田 樹の"ぽかぽか相談室"第17回」という記事。これは「ブラック企業の見分け方」をテーマにした記事なのだが、「kato」さんは内田さんの主張を「入ってみてやばい会社だと思ったらさっさとやめろって意味でしょ」と捉えていて、それゆえに「まっとうなことを言ってるように思えるけど」と主張を評している(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-497.html)。確かに内田さんが本当に記事においてそういう主張を展開しているのなら、それを「まっとうなことを言ってる」と受け止めるのも分からなくはない。


しかし僕の理解では、内田さんの記事ではそんな主張はなされていない。仮に内田さんに「ブラック企業に入ったら、さっさと辞めちゃった方が良いですかね?」と聞けば彼は「うん、辞めた方が良いね」と答えるような気はするけれど、あくまでも当該記事においては内田さんは「ブラック企業に入ったらどうすべきか」と言う点については何も言っていないように思える(この点については、「内田さんの記事に飛んで確かめてみてください」としか言えない・・・)。


では内田さんが何を言っているのかと言うと、それは内田さん流の「ブラック企業の見分け方」に他ならないと思う。というのも上述のように記事のテーマがそれだし、加えて記事には「まともな企業とブラック企業の区別なんて、皮膚感覚でわかるはず」・「就活する人はそういうまともな経営者を生物的直感で探り当てるしかない」という記述がある。即ち、内田さんの記事は「kato」さんが理解したような「ブラック企業に入ったらどうすべきか」というレベルの話をしているのではなく、あくまでも「就活の時点で、"皮膚感覚・生物的直感を働かせる"という手段をもってブラック企業を避けよう」という話をしているのではないか。だからこそ僕が言ったような「ブラック企業の見分け方が分からないでいる人が、内田さんの答えのようなもので納得するわけがない」だとか、あるいはposseの坂倉さんが言ったような「一見した印象がまともな企業でも、ひどいブラック企業はある」といった批判が内田さんの記事に対してなされた訳で、僕としてはこちらの理解の方が正しいと思う。


以上より、僕の中では「kato」さんが内田さんの記事をまっとうだと感じた原因は「kato」さんが内田さんの主張を読み違えたことにあるという理解になっている。正確にいえば「読み違えた」というよりは「書いてないことを勝手に読み取った」という表現の方が適切だろうか。この点、こんなツイートがある。 言うまでもなくこのブログは「現代文のテスト」とは何の関係も無いけれど、このツイートに示されている考え方は主張の妥当性を判断するにあたって重要なものだと思う。僕としては「書いてないこと」に思いを巡らせること自体は問題ないと思うけれど(「この文章にこう書いてあるから、多分この人はこんなことも思っているだろうな」といった具合に推測してみるのは良いと思う)、「書いてないこと」に囚われて本来の主張の意味を理解し損ねるのは宜しくない。


ブログや本などで表現されている考察を見てそれに賛同する、あるいはその考察を述べた論客を支持するということは多くの人にあることだと思う。「賛同できる考察を見つけた」・「信用できる論客を見つけた」というのは素晴らしいことだが、穿った見方をすれば、人がある考察や論客を支持する理由が「その論客の主張を誤解しているから」という場合も大いにあるかもしれない。

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「この人が言っていることは概ねクソだけど、この主張は妥当だ」と言えると良い

前回の記事の最後で「"Aという主張には賛成できるけど、Bという主張はさすがにないわ"など、各主張を個別具体的に評価することが大事」と書いた。ただ以前「ななし@Notitle」さんが「管理人さんは本田由紀さんの一派に甘い感じはするけどね。まあ、人間だから好き嫌いはある」とフォローを交えながらも指摘をしてくださったように、評価の過程で恣意的な判断が入ってくる可能性は常にある。即ち、自分が概ね好んでいる論客の主張であってもそれがおかしいものである場合は批判し、逆に自分が嫌っている論客の主張であってもそれが妥当なものである場合は支持する姿勢を意識するべきだと言える。一応このブログでも不十分とはいえ、そういうスタンスを試みている。


例えば、僕はNPO法人「"育て上げ"ネット」の理事長である工藤啓さんの文章を概ね好意的に評している。それは、工藤さんの問題提起からは若年無業者の実態を学ぶことが出来たり、若年無業者問題に関して何となく存在する「通念」を鵜呑みにしてはいけない姿勢の大事さを感じ取ることが出来たりするからである。このような理由から、僕は論客としての工藤さんをかなり好んでいると言える。


しかし一方で「不採用の理由が分からずに苦しむ就活生をサポートする役割を担うべきなのは企業ではない」という記事では工藤さんの「"なぜ"がわからないことすら自己責任の範疇に落とすのは無理がある。サポートする側も理由がわからないからサポートも漠然としたものになりがち」という考えをかなり痛烈に批判している。それは、本来工藤さんら就職支援団体が担うべき役割を企業に転嫁する主張であり(もっともそれは「不採用理由が分からない」と悩む就活生を保護するためなのですが)、妥当性を欠いていたからだった。自分が好んでいる論客だからと言って常に妥当なことを主張するとは限らず、ゆえに「各主張を個別具体的に評価することが大事」という前回の記事の主張が意味を持ってくると思う訳である。


逆に、自分が嫌っている論客だからと言ってその人が常におかしなことを主張しているのかというと当然そんなことはない。この点、「velvetten」さんという方はこのブログにおける常見陽平さん批判などについて「基本的にこのブログは良い所は徹底的に無視し少しでも悪い所を大げさに晒し上げるというスタンス」と評していて(http://b.hatena.ne.jp/entry/lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-49.html)、これを見ると僕が「嫌っている論客の良い点を評価する」ということを一切していないかのように思える。


確かにこのブログには常見さんを批判している記事は多いし、且つ常見さんの文章に対して「正直常見さんは学生らから見下されても仕方がないと思う」・「よくこんな、就活生のエントリーシートにも劣る文章が売り物になっているものだと思う(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-425.html)」とまで言ったこともあるので(笑)、どう見ても僕が常見さんを嫌っているのは明らかだ。しかしそれでも、例えば「"ウチが第一志望ですか?"という質問を1次面接の段階でするのはおかしくないか」という記事では常見さんの「やや極論ですが、企業の採用担当者は"ウチは第一志望ですか?"という質問をやめるべきだと考えています」という主張にほぼ賛成しているし、あるいは「"企業は既卒者採用にも積極的じゃないか"という言説から既卒者を守るための2つの策」という記事では「企業は毎年、どの大学、どの学部から何人、どの職種で採用したかを公に発表する。男女比ももちろん開示する」という主張を比較的好意的に取り上げている。要は、嫌いな人であっても良いと思った主張は良いと言っている訳だ(まぁ、常見さんの主張を支持した記事と批判した記事では圧倒的に後者の方が多いはずなので、「velvetten」さんが勘違いするのも無理はないのですが)。


冒頭で紹介した「ななし@Notitle」さんの指摘の中にある「人間だから好き嫌いはある」というフォローはもっともだ。しかし、一方でこうしたフォローに甘えすぎてしまうと妥当な主張を不当に貶めたり、トンチンカンな主張を苦し紛れに擁護してしまうことになりかねない。端的に言えば、各主張を個別具体的に評価する際には自分の見方に「バイアス」がかかっている可能性を出来る限り自覚する必要があるということなのかもしれない。

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「日本の労働環境はおかしい。でも、日本の労働環境を批判しているこの主張はおかしい」と言える姿勢を各人が持つべきだ

前回の記事で紹介した「地球と一緒に頭を冷やせ」という本はビョルン・ロンボルグというデンマークの統計学者が書いたものである。「ロンボルグ」と検索しようとすると検索候補に「ロンボルグ 批判」・「ロンボルグ 転向」と出てくるため、彼の議論の信用性などをどこまで信用していいか疑わしいところはあるのだが、それでも「地球と一緒に頭を冷やせ」に書かれている彼の議論のスタンスは就活・労働問題を考えるにあたって大いに示唆を与えてくれる。


「地球と一緒に頭を冷やせ」は地球温暖化問題について考察した本なのだが、その本で示されているロンボルグの考えは極めて明快である。その考えの一つが「地球温暖化は確かに問題だけど、マスコミなどが言うような大災厄が起こるわけではない」というもの。ロンボルグはこの考えに基づき、「不都合な真実」で知られるアル・ゴアなどが語る地球温暖化を問題視する主張を批判している。


ここで注意したいのは、ロンボルグは別に「地球温暖化という事象に何も問題は無い」とは思っていないということ。ロンボルグは地球温暖化が本当に起きていること、且つ地球温暖化が人類に深刻な影響を与えていることも認めている。しかしそれでも、アル・ゴアらが主張するような悲観論は正しくないと考え、ゆえにそうした言説を批判しているわけだ。


このことから、論者の立ち位置を「地球温暖化という問題があると考える」か「地球温暖化という問題は無いと考える」という2つのいずれかとみなすのはあまりにも単純で、例えば「地球温暖化という問題はあるけど、地球温暖化を問題視する~な言説は明らかに妥当ではない」というスタンスがあり得ることを感じ取れるのではないか。そして、特定の問題提起に批判的な目を向けているからと言って、それが「問題なんか一切ない」という考えを示しているわけではないのも分かるのではないか。後者について、ロンボルグは「環境危機をあおってはいけない」という本で次のように述べている。

ひどくよく聞く怪談が不正確だと指摘したからといって、環境改善の努力をしなくてもいいということにはならない。それどころかまさに正反対。

就活・労働問題の専門家でロンボルグと同じような立場でいるのが、海老原嗣生さんである。彼の文章は「就活・労働に関してこんな危機が叫ばれているけど、実際は皆が言うほどは大したことないよ」というパターンが多い。これまでこのブログでも書いてきたように、個人的には海老原さんの主張はデータの解釈がおかしかったり、あまり誠実とはいえない印象操作と思われる文章もあったりして嫌悪感もそこそこ抱いているのだが、一方で彼がデータに基づき(前回の記事で大事だと言った)「問題の規模はどのくらいなのか?」という点を適正に測ろうとしている点は素晴らしいと思っている。


現状の就活・労働環境に怒りを覚えているとしても、その怒りに身を任せて、就活生・労働者を擁護して企業を叩く言説を無条件に肯定したり、好んだりしているようではいけない。例えば「日本の労働環境はおかしい。でも、日本の労働環境を批判しているこの主張はおかしい」と言える姿勢を各人が持てれば良いと思う。要は「Aという主張には賛成できるけど、Bという主張はさすがにないわ」など、各主張を個別具体的に評価することが大事だということだ。そうすることで有益な問題提起が残り、またトンチンカンな問題提起が消えていき、本当に考えるべき問題を集中的に考察することが出来るようになるのではないか。

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就活・労働の問題点を指摘する言説が就活生を委縮させてしまう危険性

「人でなしの経済理論」・「地球と一緒に頭を冷やせ」という本は共に山形浩生さんという翻訳家が訳したものであるが、これらはいずれも「トレードオフ」について扱った本である。これを簡単に言えば「どんな行動にも良い面も悪い面もある」という話で、山形さん曰く「人に親切にしましょう」・「お年寄りは大切にしましょう」という一見明らかに良い話にも実は悪い面があるし、逆に「無差別殺人」・「泥棒」などの一見明らかに悪い行為にも良い面があるのだという。


無差別殺人などと比べたら議論のスケールがしょぼくなるけれど、このブログで取り上げている就活・労働問題に対する考察についても「トレードオフ」について考える必要があると言える。この点、就活・労働問題に対する考察を深めるということはその分野における問題点を明確化し、且つそれに対する処方箋を編み出すということを意味するはずなのだから、そのような行為に「悪い面」などあるはずがないと考える人もいるかもしれない。


しかし、「法律事務所のホームページを通じて労働問題の基礎知識を得ることのススメ」という過去記事にstamさんが寄せた「ブラック企業の定義がすごく歪んできているような気がします。例えば、Aという会社に悪い評価が1個あっただけで、ここはブラックなんだ。だったら行かない!みたいな」というコメントが、就活・労働問題について考察を深める行為の悪い面を考えるにあたって重要なヒントとなる。どういうことかというと、stamさんのコメントは、就活・労働の問題点を指摘する言説が就活生を委縮させてしまう危険性の存在を示唆していると言えると思うのだ。


例えば、常見陽平さん著の「就社志向の研究」では大学職員の方の「出演者の型の意見は大変面白かったです。でも、番組の構成自体がよくある"就活は大変だ、かわいそうだ"という光景で、逆に学生を委縮させてしまうのではないかと心配になりました」という声が載っている。実際にこのブログでも「"就職が厳しい"からこそ"就活で自分が落ちるのがわかるからなかなか行動しない"」とコメントが寄せられたことがある。あるいは、これは推測に留まるけれど、stamさんのコメントを踏まえるとブラック企業の議論が盛り上げるにつれて、その議論が「ここもブラックなんじゃないか、あそこも実はブラックなんじゃないか・・・」と就活生を委縮させてしまう可能性が考えられる。


このように、就活・労働環境の問題点を訴える言説が盛り上がることには「悪い面」もあると言える。しかし一方で、現在の就活・労働環境に問題があることは事実なのだから「就活生が委縮する可能性」を理由にその問題点を一切指摘できなくなるというのは妥当ではない。


このことから、「地球と一緒に頭を冷やせ」を書いたビョルン・ロンボルグさんが述べたように、問題点を指摘する際には「問題の規模はどのくらいなのか?」という点をはっきりさせる点が重要になると考える。即ち、例えば「日本企業はどこもブラックばっかりだ!」というオーバーな問題提起は却下すべきだといえる。確かに「問題提起」という行為は重要だけれど、一方でその行為には悪い面もあるのだから、問題提起の際には常に一定の慎重さが求められるべきなのではないかと思う。

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