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「正社員」という概念は、もういい加減に無くした方が良いのでは

少し前に、一橋大学大学院商学研究科の守島基博教授が「『転職できる会社かどうか』に悩む就活学生の胸中」という記事を書いていた。その中で印象に残ったのが「(企業は)表面的には『終身雇用は終わった』と言いつつ、施策面や出すメッセージでそうした脱却をはかっているだろうか」という記述。守島教授の主張の要旨は「働く人にとって『終身雇用』神話は崩壊しつつあるが、企業における人材育成のプロセスはこの意識変化に対応していない」というものだが、本当にその通りだと思う。強いて言えば、「働く人にとって終身雇用神話は崩壊している」との記述には若干違和感があるが・・・。


最近、2003年に出版された村上龍さんの著作「置き去りにされる人びと」を読み、そこで「終身雇用=時代遅れ」との記述を目にしたのだが、個人的には2012年現在でも何だかんだで「終身雇用」が当たり前と考える人は少なくないと感じる。例えば、就活における面接官の「10年後に、あなたは会社でどうなっていると思いますか?」という質問なんかは「君、入社したらこの会社でずっと頑張っていくんでしょ?」という社員の意識が感じられる。考えてみれば、これほど能天気な質問も無いと思うが・・・。このような質問をする人は、そもそも10年後に自分の会社があるかを心配した方が良いだろう。


ただ、勿論若い世代も「終身雇用」という幻想に囚われている人が少なくないと思う。前回の記事で取り上げた、就活シンポジウム実行委員会らはまさにそうだ。彼らは「就活改革提言」において「企業は派遣・非正規を増やすのではなく、正規採用を増やしていくべきです」という訴えをしている。これは僕の認識が間違っていなければ、「一度入社したら、よほどのことがない限り解雇しないで下さいね」とのメッセージであり、定年まで会社に居座る「終身雇用」の価値観を前提とした主張といえる。


僕はこのブログで就活に関することだけでなくブラック企業などについても触れ、労働者が安心して働けるような環境を作るべきだとの主張を何回かしている。しかし、「(労働者の保護が厚い)正規採用を増やすべきだ!」との主張は1回もしたことが無いし、むしろ公務員の新規採用抑制のニュースの際には「解雇規制を緩和したほうが良いんじゃないか?」との主張すらしている(要は「雇用の安定」に関する主張はしておらず、むしろ逆の方向性のことすら主張している)。これらをまとめると「労働者はパワハラや過労、残業代の未払いなどの被害に対してはきちんと保護を受けるべき。しかし、企業が雇いたいと思っていないのに会社に居座る権利まで、労働者は享受すべきではない」との主張になるのだろうか。何か、矛盾している気がするようなしないような・・・(笑)


僕は労働政策については詳しくないが(と、言い訳をしておく笑)、正規採用を増やすことを企業に強制すれば、企業が新規採用に一層慎重になるだけだと僕は思うのだけれど、シンポジウムのメンバーはその解決策を考えているのだろうか。よく言われる言葉だけれど、もう高度成長期のような安定成長は難しい訳で、企業がそう簡単に「クビにすることが困難な正社員」を雇うわけが無い。僕が言っていることは鋭いことでも何でもなく誰でも言えるレベルのことで、もし「就活改革提言」がこのレベルの反論にも耐えられないものなのだとしたら、いっそのこと提言を全て取り下げたほうが良い。「正社員としての採用を増やしてください」と言うなら、せめて「現在正社員が享受する~な保護を取り除くべきだ」との主張とセットで言わないとダメだと思う。正社員としての採用の増加のみを企業に求めれば、人を雇う企業そのものが潰れてしまいかねない。


個人的には「正社員の採用を増やすべき!」との訴えをするよりも、宇野常寛さんが「ニッポンのジレンマ(NHKで放送)」にて述べたような「長期的には、もう正社員という発想を止めるしかないと思います(中略)非正規雇用でも生きていける世界を作るしかない。終身雇用を事実上保証した古いシステムに組み込まれた年長世代と、そうではない若者といった対立を生んでしまっている。全員が旧システムの恩恵を受けることは出来ないのだから、新しいシステムとして非正規雇用を基本にした社会作りを考えたほうが良いですね」との方向性の議論を進めたほうが有益だと感じる。しかし現状はシンポジウムのメンバーという若者ばかりでなく、冒頭に紹介した守島教授の記事でも指摘されているように、企業も「終身雇用」を前提とした人材管理システムを採用して「終身雇用」の幻想にしがみついている。「終身雇用」を一方的に悪者にするのはそれはそれで問題かもしれないけれど、雇用のあり方が現状のままで良いのかというと、そうとは全く思えず・・・。僕は宇野さんが述べたように「『正社員』という概念をなくす」という発想を前提にした雇用、そして就活のあり方を考えてみたいと思っている。


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No title

「終身雇用が終わる」を以下の意味の異なる2種類に定義します
①「企業は終身雇用という雇用のあり方をハナから採用したくない」
②「企業は終身雇用という雇用のあり方を採用したけど、企業の存続に関わるため、仕方なくリストラ等してしまい、」

終身雇用は終わったと考えている人が案外多い印象を受けますが、②の定義なら俺も納得できます
しかし①の定義なら本当に終身雇用は終わったのか疑問に思わざるをえません

数年前の学生時代、労働法の講義を受けましたが、そこでは
「現状は成果主義かつ終身雇用がスタンダード」
「かつてリストラ・非正規雇用がブームになり、非正規社員ばかりで経営していた会社も出てきたが結局うまくいかなかったため、成果主義は残しつつ、終身雇用に戻した」
と教授は言っていました
勿論例外も沢山ありますが、就職活動をしている中で、そのような雇用のあり方を採用している企業が実際一番多いように感じました
「企業にとって」終身雇用は終わったという人は、何をもってそう言ってるのかが分かりません

俺個人の価値観ですが、雇用のあり方は各企業に合うことが肝要で、終身雇用も合っていれば構わないし、非終身雇用も合っていなければ駄目だと思います

No title

定義②「してしまい、」の後は、「雇用のあり方が崩れてしまった」です
すみませんでした

他、容易なものから順次コメントしていきます

Re: No title

> カクさん さん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

>「企業にとって」終身雇用は終わったという人は、何をもってそう言ってるのかが分かりません

そうですよね・・・。「終身雇用はもう限界」といった話なら分かりますが、実際に「終わった」のかというとそれには疑問がありますね。

>雇用のあり方は各企業に合うことが肝要で、終身雇用も合っていれば構わないし、非終身雇用も合っていなければ駄目だと思います

そうですね。ただ、個々の企業の選択とはまた別のレベルで「非正規雇用を基本にした社会作り」についても考えたほうが良いとは思いますけどね。皆が正社員になり、正社員としての保護を享受できるというなら話は別ですが・・・。

終身雇用の是非は置いといて、この場合の「非正規・派遣を増やすな」という主張には「ちゃんとした職業訓練を受けさせろ」という意味合いも含まれていると感じました。


非正規・派遣労働者に回される仕事は末端の業務が多く、何年も続けたからといって企業の中核をなす仕事にレベルアップすることはない、という前提で話をさせていただきます。



中にはそういった形態での仕事を望む人がいるでしょうが、大学に進学するような人ですから、就活生の大部分は「いつかは中核を担いたい」と思っているはずです。

ところが、新卒で正社員になれないと、十分な職業訓練ができないから能力も身に付かず、ただ使役され使い捨てられる存在になってしまう、という不安が出てくるわけです。それが「正社員を増やせ」という意見に繋がってきているのかな、と。

少なくとも今の日本の学生の大半は【「企業の中核を担うorそれなりのポストをもらう」(=安定する)ためのプロセスは「新卒で正社員として入社してOJTによる訓練を受ける」という方法しかない】と思っています。


正社員という概念をなくすのは、上記の「ひとつ道しかない」という概念を崩すのにとっても良い一歩かもしれません。

Re: タイトルなし

> toyaさん

お久しぶりです、コメント有難うございます。

>終身雇用の是非は置いといて、この場合の「非正規・派遣を増やすな」という主張には「ちゃんとした職業訓練を受けさせろ」という意味合いも含まれていると感じました。


シンポジウム実行委員会の真意は分かりません。もっとも、彼ら彼女らが「職業訓練を充実させるべき」と考えているのは「⑦ 非正規雇用の劣悪な待遇を改善してください。政府は、日本も批准しているILO100号条約(同一価値労働・同一報酬)の原則にもとづき、賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件について、正社員との均等待遇が保障されるような『均等待遇法』をつくってください」などの提言から伺えますね。
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