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海老原嗣生さんが危険視した「就職絶望期」は現実のものとなっているのか

「既卒3年=新卒扱い」とする企業は少しずつ増えてきていると思うが、今一度、なぜ企業に卒業後3年以内の人を新卒枠で受け入れる動きを進めることが求められたのかを確認したい。


結論から言えば、「新卒者のうち未就職の者の応募機会を確保すること」が理由となる。「新卒一括採用」のデメリット面としてよく語られるが、一度大学を卒業してしまうと企業へのエントリーがしにくくなるということを厚生労働省も問題視していた。そこで、雇用対策法に基づく「青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針」の一部改正により、事業主は、学校等の新卒者の採用枠に学校等の卒業者が学校等の卒業後少なくとも3年間は応募できるようにすることを求められたのである(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000wgq1.html)。


この背景に照らせば、企業は既卒者の中でも「既卒無業者」の応募機会を確保することを求められたと言える。例えば、三菱電機の募集要項には「既卒者・既修了者で、最終学歴卒業後、他社での勤務経験のない方、ポストドクターも可」、「既卒者で、最終学歴卒業後、他社での勤務経験がある方は、キャリア(経験者)採用として募集を行っています」と書かれているが、これは既卒無業者の応募の機会を一応保障していることの表れと言える(http://www.mitsubishielectric.co.jp/saiyo/graduates/recruit/info/info_april/index.html)。


ところが、企業の中には一見「既卒無業者」に新卒枠での応募機会を与えているようで、実は与えていないのではないかと思われる募集要項を公表しているところもある。どういうことかというと、既卒3年以内の無業者だけではなく、社会人経験者も新卒採用の枠で受け入れようとしているということだ。なぜ社会人経験者のエントリーを受け入れることが実質的に既卒無業者の応募機会を与えていないといえるのかというと、「無職の人より、社会人経験を積んだことで多少なりともマナーを身につけている若手社会人の方が必要とされるに決まっている」という単純な理屈が理由である。この点、海老原嗣生さんは「就職、絶望期」という本にて「既卒3年=新卒扱い」の効果の無さを主張しているのだが、その理由となっているのが「企業が既卒者のエントリーを可能にしても、その枠には若手社会人が応募してくるに決まっている」という理屈である。


海老原さんの記述を目にした当初は、正直「いや、『既卒3年=新卒扱い』は既卒無業者の救済のための動きだから、若手社会人が新卒の枠でエントリーできる形にはならないはずだ」と感じていた。しかし、この考えがまず覆したのがソニーの募集要項だ。ソニーの「新卒のルールを変えます」との宣言には多くの人が注目していたと思うが、その新卒枠に若手社会人が応募できることについて触れる人は少なかったように思う(ちなみに僕は触れました笑→http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-124.html)。ソニーは採用ホームページにて「2013年3月末時点で、最終学歴卒業後3年未満の場合は、職歴のある方もエントリー可能です」と明言していたのである(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/Jobs/newgrads/faq.html#block2)。


最近、軽く大手メーカーの採用ホームページを眺めていたのだが、そこで他にもソニーと同じように若手社会人を新卒枠で受け入れることを明示している会社があることを知った。例えば、リコー。その募集要項には、「2013年3月末までに国内外の4年制大学、大学院その他これらに類する学校(以下「大学等」)を卒業予定の方、若しくは大学等を卒業し、就業経験がない方又は就業経験が3年以内の方で新卒予定者と同等の枠組での入社を希望される方」と書かれている(https://ricoh.saiyo.jp/2013/contents/recruit/index.html)。また、富士通の募集要項にも「大学、大学院、高等専門学校を2013年3月に卒業(修了)見込みの方 または既卒の方で新規卒業予定者と同じ枠組みによる採用を希望される方 (職歴の有無は問いません) 」と書かれていることから、既卒3年以内の社会人経験者も新卒枠にエントリーできるといえる。


他にもトヨタの募集要項には応募資格が「2012年4月~2013年3月に卒業・修了見込みの方、または2009年4月~2012年3月に卒業・修了された方」であることが示されているが、三菱電機と違い、特に若手社会人のエントリーを妨げる記述は無いので、もしかすると既卒3年以内の社会人経験者も新卒枠でエントリーできるのかもしれない(http://toyota-saiyo.com/biz/i_recruit/index.html)。同様に、パナソニックの募集要項も「既卒の方も新卒採用への応募は可能です」となっているに過ぎないので、若手社会人のエントリーが可能なのかもしれない。


ご覧の通り、超大手メーカーの募集要項ばかり紹介してきたが、社会人経験者を新卒枠で受け入れる動きがあることは伺えると思う。これは大手メーカーだけの動きなのか、それとも他の業種も調べたら同じような方針を採っている企業は案外少なくないのか、それは分からない。


誤解しないで欲しいが、別に若手社会人を新卒枠で受け入れようとするソニーらが悪いということを言いたいのではない。ただ、「既卒3年=新卒扱い」の動きに、必ずしも「新卒者のうち未就職の者の応募機会を確保すること」という本来の趣旨が内包されているとは限らないことは認識しておくべきだ。


海老原さんは「既卒3年=新卒扱い」により「若手社会人が新卒枠にエントリーすることにより、既卒無業者は救われないし、新卒も若手社会人に新卒枠を取られ苦しくなる」ことを問題視し、これを「就職絶望期」と称している。もっとも、企業が若手社会人のエントリーを受け付けたからと言って、新卒・既卒無業者が必ず不利な状況に置かれているとは限らない。僕は上で若手社会人が有利と思われる理由を「社会人経験を積んだことで多少なりともマナーを身につけている」としたが、企業によっては「他社で中途半端に仕事をかじった人より、まっさらの人の方が良い!」と考えるところもあるかもしれない。海老原さんの言うところの「就職絶望期」が起きているかを検証する方法は一つ思い浮かぶが、それはまた次の記事で。


「既卒3年=新卒扱い」の動きに、必ずしも「新卒者のうち未就職の者の応募機会を確保すること」という本来の趣旨が内包されているとは限らないことは皆が認識しておくべきだとの考えに共感してくださる方は、もし宜しければクリックをお願いします。
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No title

これはどちらかというと第二新卒救済って感じだね。
もっとも第二新卒も新卒一括採用主義のデメリットを受けていると言っちゃあ受けてることになるが

ただ若手社会人が学生や既卒無業者よりも有利だとは思わないなあ。
本当のキャリア採用じゃなくて新卒者と同じレールで就活をさせるということは、
逆に言えば企業が若手社会人を新卒者と同レベルの存在としかみなしてないとも捉えられる。
また「数年で辞めるほど忍耐力がない奴」とみなされる可能性もありうる。

とは言うものの肝心の既卒無業者は置いてけぼりにされてるが。
若さで学生には勝てんし、実績で若手社会人には勝てんし(若手社会人は一度は内定をもらってる)、
既卒無業者の長所を引き出した救済は難しいわな。

Re: No title

> のさん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

>ただ若手社会人が学生や既卒無業者よりも有利だとは思わないなあ(中略)「数年で辞めるほど忍耐力がない奴」とみなされる可能性もありうる。

確かにその可能性はありますよね。よほど目立った職務経験を積んでいないと、若手社会人の評価は新卒より下となることも考えられるでしょう。

>既卒無業者の長所を引き出した救済は難しいわな。

「既卒3年=新卒扱い」の効果の無さを指摘する人は多くとも、代替案を提示する人は少ないように思えます。「既卒3年=新卒扱い」すればオールオッケーな訳がないことは誰もが分かっているはずで、その先について考えていきたいところです。

記事とはずれますが・・・・・。

前の海老原さんとのやりとりを見て疑問に思ったのですが、新卒一括採用をなくしたら経験者の人と競争になり採用されづらくなりますよ、と。
けど既卒になったら結局上記のような未就職者は若手社会人と競争しなくちゃならなくなりますよね。
なおかつ上記の理屈でいえば日本の会社は極端な話40代以上ばかりの組織とかになってしまう。だから途中で若手をいれざるを得なくなると思う。
僕はやはり一括採用には否定的な見解を持つに至りました。
一括採用のメリットは、雇用機会が若者に偏っている事だと思うんです。だから若者にある意味優しい制度だと思う。就職しやすいから。
けどそれは年功序列のシステムの始まりだから35歳でブラック企業にいたり失業したりしたらとてもつらい状況に陥ってしまう。再チャレンジしづらくなる。
それに高い学費から既卒になってはいけないというプレッシャー、卒業後就活できないという息苦しさもあると思う。
僕は中高年の人には職の安定を、若者には職業技能と自由を!と最近思っています。だから雇用機会を若者に偏っているのを全ての世代に分散させること。そして若者は非正規を得て30歳くらいに正規に就職するようになればいいのになと。その間様々な事をしつつ夢でも追えばいいし語学の勉強でもすりゃいいし、新しく専門学校とかに通うのもいいし、というのが一番ベストかと。
あこれは、大卒の話です、ハイ。
詳しくは非国民通信さんのブログの元若者へ、というタイトルの記事がとても秀逸ですのでぜひ拝読を。

Re: 記事とはずれますが・・・・・。

> takeshi さん

コメント有難うございます。また、非国民通信さんのブログ記事のご紹介、有難うございます。一般的には「中高年社員が既得権益にしがみ付いて、そのツケを若者が払わされている」といった論調がメジャーだと僕は感じていますが、非国民通信さんの記事はその逆を行く記事ですね。個人的には非国民通信さんの現状認識には殆ど共感できませんでしたが(笑)、「若者優遇の問題点は、若者がいつまでも若者でいられないことにあります」との記述はその通りだと思いました。

>僕は中高年の人には職の安定を、若者には職業技能と自由を!と最近思っています。だから雇用機会を若者に偏っているのを全ての世代に分散させること。

ここでいう「職の安定」とは、その後の「雇用機会を若者に偏っているのを全ての世代に分散させること」という記述と併せて考えると、「解雇規制の強化」という意味ではなく流動化を進める方向に行くべきだという意味だと僕は解釈しましたが、その認識が正しければ現時点では僕もそれに同意の立場です。
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