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法科大学院の存在なんか無視して、予備試験の合格者数を増やしていくべきではないか

昨日、法務省が今年の司法試験合格者を発表した。受験者数は8387人で、その内合格者は過去最多の2102人と過去最高の人数。合格率も過去最低だった前年を1・6ポイント上回る25・1%で、初めて上昇に転じた(http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120911/trl12091120130006-n1.htm)。


しかし、いくら合格率が上昇したといっても、受験生のほとんどは毎日何時間も勉強したり、法科大学院に多額の授業料を支払ったりしている。合格率が25.1パーセントと聞くと結構な数が受かっているような気もするけれど、各受験生が費やした負担を考えると、4人に1人「しか」受からないのかというのが僕の捉え方だ。


昨夜、法科大学院別の合格者数が分かるpdfファイルに目を通してみた(http://www.moj.go.jp/content/000101962.pdf)。それを見ると、合格率が高い東京大学・一橋大学・慶応大学辺りの大学院でもせいぜい2人に1人が受かっている程度。今年一番合格者数を輩出したのは中央大学の法科大学院だけど、合格率に着目すると4割を超えるのが精一杯と言う状況。国内トップクラスの大学院ですら苦しい状況だから、下位の大学院の合格者数・率は見るのも恐ろしい状態になっている。個人的には、早稲田の大学院卒業生が3人に1人も受かっていない(受験者472人中合格者は155人)ことに驚いた。


司法試験の合格発表というと合格者数に注目が集まりがちだけど、その一方で今年は6000人を越える不合格者がいたことを忘れてはいけない。勿論、合格水準に達していない人を合格させるわけには行かないから、その6000人を全員合格させるべきだとは全く思わない。しかし「司法試験に通った人には職が無く、webテストを友達にやってもらう人には職がある、不思議な国"日本"」という記事でも書いたけれど、「法科大学院修了者を弁護士資格がなくても採用する」意志のある企業が83/1035社に留まるという調査結果があり、且つ先述したように不合格者には多額の借金がある場合が多いので、現在司法試験不合格者が「多額の借金を抱えているにも関わらず、司法試験からの方向転換後、就職先が見つからない可能性が高い」状態に置かれていることは見過ごしてはいけない。


司法試験に合格した人たちも安泰ではない。勿論、彼ら・彼女らにも法科大学院の学費を捻出することを目的とした借金があることは変わらない。加えて、司法修習生に国が給与を支払う「給費制」が廃止されたため、各司法修習生は国から借金をして司法修習のための費用を捻出する必要に迫られる。しかも、新聞で多々報道されたように、司法修習を乗り越えて弁護士になっても就職は厳しい・・・。


ここまで文章を書いていて、現在法曹を志望することにどんな魅力があるのかと疑問に感じずにはいられなくなった。「金銭的に厳しくなっても、人の役に立ちたいんです!」という人は大学生を中心に結構いるのかもしれないけど、さすがに何百万もの借金を背負った後も同じ事を言えるのかというと僕は疑問だ。法曹志願者に多額の借金を背負わせ、且つ就職先が見つけられない状況に置かせる現在の法曹養成システムを改善する必要があるのは自明だと僕は思う。


欠陥だらけの法曹養成事情をどう改善していくか。この点、「就職先を増やす」なんてことは言うのは易しいけれど行なうは難しなので、まずは多額の借金を背負う必要性を排除するべきだと考える。そしてそのために、予備試験の合格者数の拡大が必要だと思う。法務省によると、予備試験とは「法科大学院を経由しない者にも法曹資格を取得する途を開くために設けられた試験で,これに合格した者は,法科大学院修了者と同等の資格で司法試験を受験することができる」試験のことを指す。つまり、この試験に合格すれば法科大学院にお金を落とさなくても、法律家になるチャンスが生まれる。


今年の司法試験から、この予備試験合格者が司法試験を受け始めたのだが、これがものすごい快進撃を見せた。予備試験を突破した人の中で85人が今年の司法試験を受けたのだが、その内短答式試験の合格者はなんと84人、最終合格者も58人と、実に7割近い合格率をたたき出した。これを見ると、大量の不合格者を生み出す法科大学院の存在価値は一体どこにあるんだという気にもなる。


もっとも、予備試験合格者の司法試験合格率が高かったのは、そもそも予備試験の合格率が低すぎたことにも原因はある。昨年11月に発表された初の予備試験合格者は116人で、その合格率はなんと約1.8%だ。現在のところ、予備試験は「経済的事情などで法科大学院に通えない人の救済策」という位置づけらしく、あくまでも法科大学院修了の例外的措置とみなされている。予備試験の合格率が低いのは、そういう理由だろう。なお、毎日新聞では予備試験を「経済的余裕があるのに法科大学院に通わず、お金や時間を節約して司法試験を受けられる"抜け道"になるとの懸念も示されている」と報じている(http://mainichi.jp/select/news/20120912k0000m040062000c3.html)。


僕としては現在の法科大学院の成果を考えると、これからの法曹志望者が「抜け道」を通りたいと思うのは当たり前だと思う。そして、仮に「抜け道」を通ったとしても最終的に司法試験に合格し、さらに司法修習もきちんとこなしたならば法律家としての質は最終的に担保されるので、どこに問題があるのかと思う。個人的には、むしろこれから法科大学院に進学しようとする人は「多額の借金を背負う」などのリスクに対する意識が希薄だと思うし、そんなリスク管理が甘そうな人に案件を依頼したいとは全く思えない。僕は最終的には法科大学院は全て無くしていいと思っているが、短期的には予備試験の合格者数の拡大が有効な策だと思う。これならば借金を背負わないし、むしろ仕事と両立して会社から給料をもらいながら法曹を目指せるかもしれないので。実際に伊藤塾という司法試験予備校の「予備試験合格者の声」を見てみると、仕事をしながら合格した人も少数ながら存在する。


これに対して、もしかすると法科大学院の教授あたりは「予備試験の人たちは単に試験勉強ができるだけ。その点、法科大学院修了生は広く社会の役に立てる」とか思っているのかもしれないけれど、先に述べたように企業は法科大学院修了生を採用する意欲を殆ど有していないので、それは教授の妄想と片付けてよいだろう。そして、教授の妄想のために法曹志願者が大学院にお金を落とす筋合いは一切無いはずだ。法科大学院修了がメインルートになっている現在の法曹養成制度は、「法曹志願者に甘える大学教授」がわんさかいるのかもしれないし、そういうハイエナみたいな教授は教育の場から退場してもらいたいと思っている。


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「法科大学院」と組み合わせて検索されるワード

忙しくて疲れている時ほど、なぜか眠れませんね。真夜中に特にやることもなかったので

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No title

実際就職活動でも予備試験合格者が圧倒的にロー卒よりも有利になるんだろうな。
旧試験時代の大先生がロー卒新試験合格の若手をばかにするという話もよく聞くし。

かといって「司法試験に受かれば就職安泰」が「予備試験経由で司法試験に受かれば就職安泰」という考えに変わって広まるのも問題なんだけども。
(予備試験のために既卒無業状態で専念する受験生が増えるのは困りものだし)

ウチとしては弁護士として就職できないロー卒の民間雇用を推進すべきだと思うけど難しいんだろうなあ。

そもそも公務員含めて資格業は選考に占めるペーパー試験の重要性が大きかったからこそ、
「コミュ力」なる漠然とした基準が大半を占める民間企業の選考に馴染めない層が大量に受験するのだろうし。

よく資格の改革で「多種多様な人材を~」って言われるけど、実際どうなのかね?
仕事と両立させたり、他分野の職歴を持ってたりする人材って合格者のうちどれくらいを占めるんだろうね。

Re: No title

>のさん

お久しぶりです、コメント有難うございます。

>ウチとしては弁護士として就職できないロー卒の民間雇用を推進すべきだと思うけど難しいんだろうなあ。

前に、この意見と同じ主張をした記事を書きまして、今でもこの考えは殆ど変わっていませんが、僕も同じく「難しいだろう」と感じたので、「予備試験合格枠の拡大」という案をこの記事で書きました。「予備試験のために既卒無業状態で専念する受験生が増えるのは困りものだし」というリスクは見落としていたので、ご指摘を頂けてありがたかったです。

>仕事と両立させたり、他分野の職歴を持ってたりする人材って合格者のうちどれくらいを占めるんだろうね。

どうなんですかねぇ・・・。ただ、法科大学院に進学した社会人(つまり、他分野の職歴を持ってたりする人材)の数は大学院のホームページを見れば分かると思います。大抵ホームページに合格者の内訳が載っている筈ですので。

No title

特定を避けるために具体的なことは書けませんが、今回司法試験に合格した中でもトップ層にいるだろう友人に本ブログのロースクールに関する記事を読んでもらったところ
「トップ層の厚みは増している。でも、下が広がりすぎていると言われているのはマジなのかもしれん。」
とのことでした

俺自身は早々に司法の道を諦めた身で実情を何も分からないため、あまり言えませんが、ロースクールの数はある意味志望者のためにも減らした方が良いのかなと思います
又、話が逸れますが、大学の数も同様に減らすべきと考えます

Re: No title

> カクさん さん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。まずはご友人の司法試験合格、本当におめでとうございます。ぜひ法律家として大活躍して欲しいですね!

>「トップ層の厚みは増している。でも、下が広がりすぎていると言われているのはマジなのかもしれん。」

一言で「司法試験受験生」といっても、真剣に法曹を目指す人から「法科大学院できたから、とりあえずモラトリアム続けるか~!」という人までいるのかもしれませんね。

>ロースクールの数はある意味志望者のためにも減らした方が良いのかなと思います。又、話が逸れますが、大学の数も同様に減らすべきと考えます。

僕も今のところは同じ考えです。長期的には一定の学力を備えた人のみが大学進学をすれば良いと思っていて、学力が無い&大学に入っても勉強する気は無い人は「大学」から退場するのが良いと思っています。

No title

どうも、初めまして。

先日このブログの存在を知り、いくつかの記事を興味深く読ませて頂いています。
私はローの1回生ですが、学部時代にはローから法曹へという進路しか考えておらず、民間への就職や公務員試験という道を念頭に置いていませんでした。
その結果、自分が将来どのような法曹になりたいのかという視点が抜け落ちてしまい、前期は遅くまで自習室に残っても集中して勉強することができず、単位を落として早々の留年が確定してしまいました。

そこで、この夏期休暇に他の道について詳しく模索した結果、民間への就職が最も色々な可能性を孕んでいると考えるようになり、現在は2014年度の新卒採用に向けた準備をしています。
ただ、こちらのブログでも問題とされているように、募集要項に既卒者が含まれていても本当に新卒者と同じスタートラインに立たせてもらえるのかは分かりませんし、仮に立たせてもらえたとしても、就活経験が無い私が志望企業の内定を得るのはとても大変だと思います。

もちろん、こうなってしまった原因は、大学在学中に進学以外の進路を模索しなかった私にあることは言うまでもないのですが、仮に卒業できても、全体の4分の1しか合格しないのが現在の司法試験制度の実態です。
私の在籍しているローはいわゆる上位校ですが、それでも合格率は3割から4割程度、受け控えをする人もいることを考えれば、実質倍率はもっと低いのが実情です。

そんな中で一度進学してしまえば、後戻りするのは非常に困難であり、加えて、この低い合格率の中でも、三振してしまえば司法試験の受験資格を失うというリスクを孕んだ制度であることをもっと周知させるべきなのではないかと思います。
それでローの入学者が激減して多くのローが淘汰されるか、又はロースクール制度自体が廃止されて従来の司法試験制度に戻る方が健全なのではないでしょうかね。
三振してしまえば大半の人の年齢は30歳以上となり、公務員試験を受けることすら困難になるのですから。

Re: No title

> G.K さん

はじめまして、コメント有難うございます。

>私の在籍しているローはいわゆる上位校ですが、それでも合格率は3割から4割程度、受け控えをする人もいることを考えれば、実質倍率はもっと低いのが実情です。

上位校で合格率が3割から4割程度というのが、もうすごいですよね。しかも、合格者にしても不合格者にしても大学院・予備校に多額の金を落としている・・・。民間企業への就職にシフトしたのは、恐らく正解なのではないでしょうか。

>そんな中で一度進学してしまえば、後戻りするのは非常に困難であり、加えて、この低い合格率の中でも、三振してしまえば司法試験の受験資格を失うというリスクを孕んだ制度であることをもっと周知させるべきなのではないかと思います。

「サンクコスト」という言葉がとてもよく当てはまるケースですね。今度記事を書くかもしれませんが「三振制度」も絶対におかしいと僕は思っています。

No title

予備試験経由組の合格率が発表されました。
68.2%だそうです。
法科大学院卒業者の合格率は24.6%なので
法科大学院って何? って感じでしょうか。

Re: No title

> とおりすがり さん

はじめまして、コメント有難うございます。

>予備試験経由組の合格率が発表されました。68.2%だそうです。法科大学院卒業者の合格率は24.6%なので

全体の合格率は25.1%と記憶していますが、これは予備試験の合格者が合格率を上げているだけで、法科大学院に限ると4人に1人も受かっていないんですね・・・。

>法科大学院って何? って感じでしょうか。

素人目から見ると、正直そんな感じですね・・・。

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Re: No title

> 非公開コメントをくださった方へ

こんばんは。すみません、うっかりコメント返信し忘れてしまいました!

>ところで公認会計士については合格者を多少絞ったのと会計事務所(監査法人)の採用キャパが増えたことで就職状況はかなり改善されたみたいだね。司法試験はこうなるまでまだ先が長そうではあるが。

そうなんですか!おっしゃるとおり司法試験、具体的には弁護士の就職状況は相変わらず厳しいみたいですね。

>会計士試験は論文試験に落ちても2回まで短答試験免除で受けなおせるから就職厳しかった年の論文試験に落ちて翌年受けなおした方がよっぽどマシという、資格試験にあるまじき事態が起きたぶんね

詳しいですね。これもおっしゃるとおり、就職が厳しい年に合格してしまった人は悲惨ですね・・・。

>多様性ある社会って聞こえはいいけど、多様性って求めるものってより結果として多様化しているものだから

そうかもしれませんね。ただ、声を上げた結果「こういう人も生きやすいような環境を考えよう」という議論が起こればそれである程度成功といえるとは思います。
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