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「既卒者問題フューチャーセッション」に寄せて~第2回「"新卒一括採用"という慣行があることにより、学生が進路について真剣に考え始めるようになる?」~

今回は、「既卒者問題フューチャーセッション」に寄せてシリーズの第2回目。第1回目の記事は、「既卒者問題フューチャーセッション」のfacebookページにも掲載された(https://www.facebook.com/events/208316552633910/)。当日までに今後も複数回記事を書くので、それが参加者が議論に参加する際の参考になれば嬉しい。


今回は「"新卒一括採用"という慣行があることにより、学生が進路について真剣に考え始めるようになる」という言説を取り上げたい(※なお、この記事における「新卒一括採用」は、「企業が知識も経験も無い新卒者を一括で採用し、採用後企業が新卒者に一から知識を修得させる採用形態」という意味だと思っていただきたい)。


この立場に立つのが、「unistyle株式会社」という就職支援サービスを就活生に提供する会社の代表取締役、樋口幸太郎さん(http://fr.twitter.com/KHsyukatu)。彼は自身のブログ「元商社マン樋口幸太郎と就職活動について考えるブログ【就職留年・商社内定】」に「僕が現状の新卒採用を悪くないなと思う三つの理由」という記事を掲載している、そして、その理由の一つが「新卒一括採用という制度があるからこそ、大学三年生のこの時期からほとんどの学生が将来について真剣に悩み始めます。(中略)もし新卒一括採用という仕組みがなかったとしたら、このしんどさから考えるのを逃げて取りあえず、ぶらぶらしてから就職しようとする人が増えるであろうことが容易に想像されます。(中略)強制的とはいえ、全員が将来について悩みながら考える機会があるというのは非常によいことだと思います」というものなのだ。


また、常見陽平さんは著書「くたばれ!就職氷河期」において、「卒業後に就活をすべきだ」という就活改革論に対して「私が既卒の未就労者を対象としたセミナーで講師をした経験から言うならば、卒業してしまうと、ますます就活に対するマインドが低下していくリスクを意識しなければ、問題の先送りにしかならない」と主張している。この主張は「新卒一括採用が、大学生の就活に対するマインドを向上させる」と置き換えることが出来、樋口さんの主張と通じるところがあるといえる。


一方で、新卒一括採用という採用形態が大学・学生の「職業に対する意識」を低下させているのではないかという議論もある。このような立場に立つのが、教育社会学を専門にする本田由紀先生だ。本田先生は著書「教育の職業的意義」において、大学卒業後3年目の者を対象とした調査で、日本においては「職業における大学知識の活用度」、「満足のゆく仕事を見つける上で役立つ」、「長期的キャリアを展望する上で役立つ」という項目がヨーロッパ諸国の結果と比較して低水準であることを指摘している。その上で、「各大学の入学者選抜が学生の基礎学力水準の指標を提供し、企業はそれを基準とした上で大卒者を採用したのちに、企業内で必要な限りの職業知識を実践的に修得させるという大学と仕事との関係を"Jモード"と表し、それを欧米における"職業知モード"と対比させる」という金子元久先生の議論を紹介している。


そして、「この"Jモード"が強固に成立していたことにより、大学は職業的意義の高い教育を施すインセンティブを欠き、企業側も大学で習得した知識の活用を重視しない働かせ方をとってきた」、「大学教育が修了するずっと以前に採用が決まってしまうからには、企業側が大学教育で何を身につけたのかを重視していないことは大学生にとっても明白である。それゆえ、大学生は大学での学習への動機付けを持ちにくく、"職業的意義"も実感できない状態にある」と本田先生は論評する。


以上、「"新卒一括採用"という慣行があることにより、学生が進路について真剣に考え始めるようになる」という言説を支持する理屈、否定する理屈をそれぞれ紹介した。このトピックに関する僕個人の意見は、過去記事「就活生の質の低さを嘆く前に、教育を見直せ」に書いてある。簡単に言えば、「確かに樋口さんが言うように、現在"新卒一括採用"という採用形態が学生の就職に対する意識を高めているのは間違いない。しかし、学生の就職に対する意識を高める手法は"新卒一括採用"という採用形態である必要は無い。大学3年生になって初めて"世の中には、こんなに色々な企業があったのか!"と気づくのではなく、中等教育の段階で、就労や将来設計について考えさせる時間を設けるべきだ」という主張になる。これは新卒一括採用がもつメリットの一つを攻撃する主張と言えるだろう。最後に、事の経緯は完全に忘れたが、去年の秋に本田先生に「就活生の質の低さを嘆く前に、教育を見直せ」という記事を紹介したところ「はげどうです!」と返事が返ってきたことを記しておく(笑)


「"新卒一括採用"という慣行があることにより、学生が進路について真剣に考え始めるようになる」という言説があること、並びにその言説に対する反論があることを整理できたと感じてくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします。
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No title

私もはげどうですw

No title

「学生の就職に対する意識を高める」ことが議論の目的ならば、A.新卒一括採用、B.キャリア教育の拡充、といったように複数の選択肢があってそれぞれのメリット・デメリットを比較して・・・という話になるのでしょうが、「"新卒一括採用"という慣行があることにより、学生が進路について真剣に考え始めるようになる」と主張している人の中には、学生の就職に対する意識を高めることなど実はどうでもよくて、ただ諸々の理由により新卒一括採用慣行を維持することが目的である人も含まれていると考えられるわけで、そういった人達にとっては、B.キャリア教育の拡充、という手段でも学生の就職に対する意識を高めることが出来るじゃないかと言われてもそれでは意味がないので反対の論陣を張るしかないのではないですかね。いったいどのような反論が繰り広げられるのでしょうか。

Re: No title

>ぐる さん

お久しぶりです、コメント有難うございます。

>私もはげどうですw

有難うございます(笑)今回の記事は、中野での既卒者カフェでも話題になったことでしたね。今思えば、記事に「ぐる」さんの言葉を盛り込んでおけば良かった・・・。

Re: No title

> William Yamin さん

お久しぶりです、コメント有難うございます。

>「"新卒一括採用"という慣行があることにより、学生が進路について真剣に考え始めるようになる」と主張している人の中には、学生の就職に対する意識を高めることなど実はどうでもよくて、ただ諸々の理由により新卒一括採用慣行を維持することが目的である人も含まれていると考えられるわけで

そうですね、正直こう主張している人は別に「学生の就職に対する意識を高めること」はどうでも良い、むしろ学生の意識が就活期まで高まらないほうが自分たちも「就職セミナー」を開きやすくなる・・・と考えているのではないかという疑念がわきます。

>いったいどのような反論が繰り広げられるのでしょうか。

うーん・・・。まぁ、「学生の就職に対する意識を高めることなど実はどうでもよくて、ただ諸々の理由により新卒一括採用慣行を維持することが目的である人」がどういう理屈を持ち出すかですよね。多分彼らが持ち出す理屈は苦し紛れのレベルのものが多いと思うので、単にそれを「それはおかしいんじゃない?」と切れば何とかなる気がします・・・甘いですかね?(笑)

No title

「キャリア教育」というと聞こえはいいけど、現状が今の法科大学院なんじゃあ・・・。
(流石に個人が好きなテーマについて研究することをキャリア教育とは言えないし)

それと働いてもいないのに仕事だキャリアだを気にしても
いざ実際働いたときに合わなかったという乖離も問題になるんじゃないかと思ったり。
新卒一括採用の擁護とは別に

>中等教育の段階で、就労や将来設計について考えさせる時間を設けるべきだ」という主張

には賛同できないなー。
(個人の意識で考える分にはともかく)

Re: No title

>のさん

こんにちは、いつもコメント有難うございます。

>「キャリア教育」というと聞こえはいいけど

そこはやり方次第なのではないかと。実際、記事で取り上げた本田先生も国が提唱した「キャリア教育」は否定していて、キャリア教育とは似て非なる「教育の職業的意義」を構築すべき旨を著書で主張しています。その中身についてはもう一度本を読まないとまとめられないので(笑)、詳細は省略します。
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