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「福祉・介護の仕事は大変だけど、このまま就職先が決まらないよりはマシでしょ」という「ゼロよりは一がマシ」理論への対抗法

昨日読売新聞に「就職難でも人気薄 福祉介護面接中止」という記事が載っていた。これは、和歌山県が和歌山市、紀の川市などで開催を予定していた「福祉・介護の仕事 合同面接会」が、面接会への申込者数があまりにも少なかったことを理由に中止になったことを報じるニュースだ。


僕の福祉・介護の仕事に対するイメージは「激務の割に給料が安い」というものだ。この読売新聞のニュースを取り上げたまとめサイトを見ても福祉・介護の仕事を評する「薄給のくせに責任重すぎワロタ」、「重労働な上に薄給奴隷か何かと勘違いして介護以外の仕事を押しつけ何かあったら真っ先に訴えられるわ、誰もやるわけがないだろ」「介護はぶっちゃけ外食より酷いだろ。外食は何年かやって管理職に上がればそれなりの給与水準にまでなるが介護は上に上がっても糞みたいな給料で本当話にならん」というコメントが見られる(http://www.tokuteishimasuta.com/archives/6631110.html)。和歌山県の担当者も、読売新聞の取材に対し「仕事がきついというイメージから若者は敬遠している」との分析を示している。


それでも中には、劣悪な労働環境だという事情を踏まえた上で「それでも求人自体はあるわけで、無職を続けるくらいならそこに入社したほうがマシでしょ」というような、「ゼロよりは一がマシ」という理屈を持ち出す人はいるかもしれない。僕はこのような理屈に憤りを覚えながらも、一方でこの理屈に一定の説得力があることも事実のように思えて、少々葛藤していた。


しかし最近ある本を読んで、この種の葛藤から脱却するヒントをもらった。それは、湯浅誠さんの「岩盤を穿つ」という本だ。この本には「貧困ビジネスはなぜ悪いのか?」という考察が収録されており、その中で、敷金と礼金の支払いを必要としない「ゼロゼロ物件」を批判する記述が見られる。「敷金と礼金の支払いを必要としない」という要素は一見魅力的だが、一方で「家賃の支払いが一日遅れるだけで法外な違約金を請求される」、「違約金が支払われない場合、そこに住んでいる人は数日のうちに自力救済で家財道具を撤去し、処分する」などの重いペナルティもある。


こうした「ゼロゼロ物件」を擁護する理屈の一つが、「ゼロゼロ物件があることによって、一般アパートで要求される敷金・礼金・連帯保証人を用意できない人がホームレス状態に陥ることを防げる」というものだ。これも「重いペナルティがあったとしても、どこにも住めないよりはマシでしょ」という「ゼロよりは一がマシ」理論と親和的な考え方といえるだろう。しかし、湯浅さんはこの理屈を次のような主張をもって潰しにかかる。


湯浅さんは、ゼロゼロ物件があることによって、急場をしのげて助かったと感じる利用者がいることは否定しない。しかし、それでも彼は「だから、ゼロゼロ物件のような貧困ビジネスも社会的に容認されるべき、ということにはならない」と論じる。なぜなら、本来保障されるべき居住の権利はより高いレベルにある、即ち「ゼロよりは一がマシ」というのは「とりあえず一を得ておけ」というメッセージだと思うのだが、本来保障されるべき水準は「二であり、三であり、五のレベルであると湯浅さんは述べる。この湯浅さんの考えは、例えば憲法25条の「生存権」など法律上の規定によって補強されるのではないだろうか。


湯浅さんの理屈を、冒頭に述べた福祉・介護業界への就職問題を考える際にも援用したい。確かに、福祉・介護業界の求人はあるわけで、そこがどんなに劣悪な環境であろうと、生計獲得手段を何も有していない無職の状態よりはそこに就職した方がマシかもしれない。しかし実際、各労働者が有する権利は「急場をしのぐためのお金を、劣悪な労働環境に耐えながら、とりあえず獲得する」レベルのものではなく、もっと高水準のものではないか。これは何も、100点満点の労働環境というユートピアを求める主張ではなくて、「仕事をする際に多少きついことや嫌なことがあっても良いから、それでも一定の給料を得て、体を壊さずに働き続けられるような環境」を最低限整備すべきだという主張である。福祉・介護業界の現実は僕は分からないけれど、もしまとめサイトに書かれているコメントが事実だとすれば、それは就活生が県主催の面接会に来ないのも当たり前だし、それは批判されるべきことではない。彼ら・彼女らはもっと条件の良い環境で働く権利を有している。


読売新聞によれば、和歌山県の職員は「今後、面接会の募集方法などの見直しを検討する一方、キャンペーンを行うことで、業界のイメージアップにも力を入れることにした。現在、福祉の現場で働く人の笑顔の写真とメッセージを募集しており、テレビCMやイベントで紹介する予定」などのキャンペーンを進めていくらしい。僕はこういうキャンペーンは小手先のものに過ぎないと感じる。一見したイメージの良さだったら、例えば社長が奇麗事を言うワタミは最強クラスかもしれないけれど、実際には新入社員が過労死したりしており且つ就活生もそれを知っているわけで、就活生もそう単純に「思ったよりイメージ良さそうだから、この会社入ろう!」とは思わないだろう。福祉・介護の仕事自体は重要なものなのだから、もっと金銭面・環境面の条件を上げられれば理想だ。現在福祉・介護に従事する人たちは、少なくとも政治家とかよりは全然お金をもらっても良いと思うのだが・・・。

人は「一」だけでなく、二、三、五など、もっと高水準のレベルの権利を有しているはずだという考え方に共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします。
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こういった福祉・介護業界や外食産業には、協力する力が必要だと思います。

業界全体で賃上げ・値上げを断行してしまえば、利益も取りやすくなるだろうし、何より「現在の安くて良質なサービスは違法労働の上に成り立っている」ということを知らしめるべきです。
特に外食産業は、価格以外のところで差別化をしなければ、値下げの泥沼から抜け出せないでしょうし。

介護・福祉の値上げをすれば「お金のない人を見捨てるのか」という反論が来そうですが、本来そういった人たちへの支援は公共団体が担うものですし、少子高齢化が加速度的に進む以上、サービスを受ける側にも負担を担ってもらうことは避けられません。たとえ避けていたとしても、いずれ限界がきて業界ごと潰れることでしょう。

Re: タイトルなし

> toya さん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

>業界全体で賃上げ・値上げを断行してしまえば、利益も取りやすくなるだろうし、何より「現在の安くて良質なサービスは違法労働の上に成り立っている」ということを知らしめるべきです。

この考えは、まさに人気ブロガー「ちきりん」さんの「"失業者”と“人手不足”が併存するわけ(http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20090106)」という記事に書かれているアイディアと同じですね。僕たち一人一人も劣悪な労働環境の生成に加担しているという自覚を持たなければいけませんね。

No title

介護・福祉に関するデータですとhttp://www.kaigo-center.or.jp/report/index.htmlのサイトの統計が良いように思います。
厚生労働省の雇用動向調査や国税庁の民間給与実態統計調査は医療・福祉という形になっているので。
ここの統計を見ると。単純に福祉の仕事よりもアルバイトやパート・派遣社員の方が給料や時間的に考えて利点が多いと感じている人が多いのではという気がします。(実際そうなのかもしれませんが)
アルバイト等をして並行して就活をして、正社員を目指すという選択肢もありますし。
実際、こんな記事もありますし。(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100326/213634/

自分も福祉・介護業界は業界でいうよりも日本全体でなんとかするべきだと思います。
(どうすれば良いかと聞かれると思い浮かびませんが……)
きついけど、給料は良い若しくは給料は現状維持でも労働時間が短くなれば、湯浅さんが言うところの2や3になる気がしますし(もちろん、現状でもそういったレベルやそれ以上のの施設はあると思いますが)
多分、イメージアップのCMよりもこういったCMの方が必要のような気がします。
逆効果になる事もあるかもしれませんが。
http://www.youtube.com/watch?v=wOsHoVmL9Rw&feature=related

ただこの面接会に関しては、要資格のものやあったほうが望ましいという求人が多いというのも敬遠される要因なのではと思います。
正社員に関しては特に資格があった方が良いというものが多いようですし
http://220.110.203.20/~kenhp/uploadfiles/kenhp/4171/index.htm

Re: No title

返信が大変遅くなりまして申し訳ありません。これからコメント返しをしていきます!

> 11卒業務未経験無職 さん

>多分、イメージアップのCMよりもこういったCMの方が必要のような気がします。
逆効果になる事もあるかもしれませんが。
http://www.youtube.com/watch?v=wOsHoVmL9Rw&feature=related

一番評価の高いコメントが「逆効果だと思う」じゃないですか(笑)

>ただこの面接会に関しては、要資格のものやあったほうが望ましいという求人が多いというのも敬遠される要因なのではと思います。正社員に関しては特に資格があった方が良いというものが多いようですし

本当に正社員として就職を望む場合は、資格が要件になっていることが殆どですね。というか、この面接会はパートの募集も兼ねていたんですね。全体的に給料が安い求人が多いですし、これで人が集まる方が不思議だろうと思いました。

No title

何をもって一や二、三や五とするのかは分かりませんが、俺個人は本来保障されるべき水準は一であるべきだと思います
もっとも、これは管理人様の考えを必ずしも否定するものではありません
以下俺の考えを書きます

生存権を「人間が人たるに値する生活に必要な一定の待遇を要求する権利」と解釈するのであれば、保障されるべきはそれを満たす一だけのはずです
蓋し、目指すべきは百や千、万でしょう
幸福追求権から、追求するだけなら二や三、五や百、幾らでも構いません
しかし実際問題、保障されなければならない・義務として課されるべきラインは一であるべきです
二や三、五まで皆保障されなければならないと言うのであれば、正直それはもう共産主義圏に行った方が良いと思います

纏めると、
存在してはならない<1=保障されなければならない<保障を目指すべきではあるが、保障されなければならないことはない

管理人様の言う二や三、五は俺の考える一に含まれているのではないかと思います
そして大事なことはその内容、現状が生存権等を満たしているかでしょう
これは「まとも」にも通じると思います

Re: No title

> カクさん さん

こちらの記事にもコメント有難うございます。多分言い方の違いの問題はあれど、お互い考えていることは同じではないかと感じます。

この記事の第7段落を見れば分かりますが、僕はこの記事における「ゼロ」を「生計獲得手段を何も有していない無職の状態」、「一」を「急場をしのぐためのお金を、劣悪な労働環境に耐えながら、とりあえず獲得する」と定義しています。対して、「カクさん」さんが考える「一」は「人間が人たるに値する生活に必要な一定の待遇を要求する権利」なので、そこに違いがあると思います。そして

>管理人様の言う二や三、五は俺の考える一に含まれているのではないかと思います

という認識は正しいです。

現状

以前福祉の仕事をしていたのですが、職場は無法地帯。
残業代の未払で労基署の立入指導がありましたが、「払えない」の一点張りでした。

激務とパワハラの連続で、私は入院し手術をすることになりました。
その間に入社して業務を引き継いだ職員も、最初は期待されていましたが、その後数ヶ月で出勤ができなくなり、入院したと聞きました。

他の同僚は精神的な病気にかかり、社会復帰ができない状態で、連絡を取り合うことすらできません。
それでも介護職は生きるための手段でしょうか。



Re: 現状

> 元福祉職 さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>残業代の未払で労基署の立入指導がありましたが、「払えない」の一点張りでした。

その「払えない」という主張が通ってしまったということでしょうか。そうだとすると、労基の存在意義が疑わしくなってきますね。

>激務とパワハラの連続で、私は入院し手術をすることになりました。その間に入社して業務を引き継いだ職員も、最初は期待されていましたが、その後数ヶ月で出勤ができなくなり、入院したと聞きました。他の同僚は精神的な病気にかかり、社会復帰ができない状態で、連絡を取り合うことすらできません。

これは明らかに職員がだらしないのではなく、労働環境に問題があると言えると思います。

>それでも介護職は生きるための手段でしょうか

「元福祉職」さんがいらっしゃった環境が介護職におけるスタンダードなのかが分からないので何とも言えませんが、もしスタンダードだとすれば答えは「no」です。
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