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「企業は既卒者採用にも積極的じゃないか」という言説から既卒者を守るための2つの策

本田由紀先生がツイートしていて気がついたが、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が刊行する「Business Labor Trend」という雑誌の9月号に、経団連が実施した「今春入社の新卒採用に関するアンケート調査」結果を題材にした「選考で最重視したのは9年連続で"コミュニケーション能力"」という記事が掲載されている。この記事は、雑誌を購入せずとも、無料でPDFファイルを見ることが出来る(http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2012/09/048-049.pdf)。


その中で気になったのは「既卒者採用にも積極的」という項目。これは経団連の会員企業の約7割が「既卒者の採用を実施している」と答えたこと、「今後、実施を検討」と答えた企業も合わせると会員企業の87%を占めることを受けて、労働政策研究・研修機構は「既卒者採用は、今後もますます積極的に行われそうな気配だ」と論じている。


このブログでは何度か「企業が既卒者のエントリーを受け付けているように見えても、実は水面下で"既卒だから"という理由のみをもって書類選考に落とされたり、面接で不利になったりしている場合があるのではないか」という懸念を示していた。だから、労働政策研究・研修機構が記事にてこうした可能性を検討せず、経団連のアンケート調査結果を機械的に紹介したに留まったことに正直がっかりしている。このままでは既卒者は、選考にて大学生に比べて著しく不利な状況に置かれているにも関わらず「せっかく企業が求人を出しているのに、なぜそのチャンスを活かせないんだ!」という批判に晒されてしまう可能性がある。


こうした批判から既卒者を守るための策として、2つのことが考えられる。一つは、企業に「採用ホームページに"卒業後の体験"を評価されて内定を勝ち取った人の声をアップすること」を促すことだ。こうすれば、企業が既卒者の応募を形だけ受け付けているのではなく、実際に採用していることが伝わる。また、「既卒者の中にも内定をとるに値する人は居る。既卒者を門前払いすることには全く意味が無かった!」というメッセージを社会に発する効果が見込まれることで、日本企業の既卒者アレルギーが治るのではないかとも期待している。というのも、以前コメント欄に「企業が新卒を欲しがる別の理由はズバリ、ただの雰囲気でしょう。"既卒=就職に失敗したカッコ悪い奴"という図式は、"浪人生=受験に失敗したカッコ悪い奴"という嘗て存在した図式と良く似ている」という考察を書いてくださった方がいたので、この策によって「既卒=就職に失敗したカッコ悪い奴」という図式を壊すことを図っている。


もう一つは、これも一つ目のと殆ど似ているのだが、常見陽平さんが「くたばれ!就職氷河期」で述べている「企業は毎年、どの大学、どの学部から何人、どの職種で採用したかを公に発表する。男女比ももちろん開示する」という提言を援用し、企業に既卒者を採用したか否かを数字をもって公表させるという策が考えられる。例えば企業に、内定者の内訳を「早稲田大学8人(内、既卒者1人)」というような形で公表させるということだ。


常見さんの提言は、既卒者の保護ではなく「選考の対象ともならないのに下手に希望を持たされ、労力だけかかる現状を考えると、学歴差別宣言はむしろ救いになる」ということを狙いとしたものなのだが、この狙いは既卒者の保護にもつながり得るものだと思う。既卒者が就活をする際に企業のホームページなどを見て「この企業、既卒者のエントリーも受け付けているけど、実際には採用して無いじゃん。元から志望度もそれほど高くなかったし、別の企業受けるか」ということを考え、無駄な労力を費やすことを防げる。企業からしても、就活生のエントリー数を抑えられるという利点を有する。


この提言の穴は、①企業が「毎年、どの大学、どの学部から何人、どの職種で採用したかを公に発表する。男女比ももちろん開示する」というのは、企業からしたら負担であること②場合によっては「○○企業は学歴差別をしている!」というレッテルを貼られ得ること。①については「就活生のエントリー数を抑えられる」という利点を示せば、企業からの共感を得られると思う。②については、岩波書店の「コネ採用」が叩かれたことを考えると、採用活動に際して「平等」を求める人、即ち「学歴差別は認められない」と主張する人が一定数いることは想像できる。これに対しては、企業は「学歴」による脚きりではなくて、武田薬品工業がやったようにTOEICによる脚きりをするなどして、「私たちは"学歴"という表面的な要素よりも、きちんと実力を重視して内定者を決めているんですよ」と社会に言えるような採用活動をすれば良いのではないかと考えている。


企業がとりあえずは既卒者のエントリーを受け付けている以上、次に考えるべきは既卒者が、選考にて大学生に比べて著しく不利、あるいはノーチャンスな状況に置かれているにも関わらず「せっかく企業が求人を出しているのに、なぜそのチャンスを活かせないんだ!」という批判に晒されることを防ぐことだと思う。この記事で書いた2つの策が、この問題意識に応えるものとなっていれば嬉しい。


既卒者が、選考にて大学生に比べて著しく不利な状況に置かれているにも関わらず「せっかく企業が求人を出しているのに、なぜそのチャンスを活かせないんだ!」という批判に晒されることを防ぐべきだという考え方に共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします。
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No title

既卒内定者数の公表は面白いと思ったけど、それが既卒者の保護につながるとは思わない。

既卒で就活に成功した人の例を可視化したところで他の既卒者が就職できるわけでもないし、
むしろ「お前は何であいつのように就職できないんだ!」と、他の既卒者を追い込む結果になりそうな気がするんだが?

そもそも既卒者が不利なのは絶対的というより相対的なものだから、既卒者全体のプレゼンス向上の意味がないんじゃあ。
同じ面接評価の新卒者と既卒者がいた場合、普通なら圧倒的に新卒が有利になるんだから。
(そこでどんでん返しを決められうるのがハイパー・メリトクラシー採用ならではというのはなんとも皮肉だけど)

経団連の調査でいう7割の企業は「少なくともチャンスだけ与えて、優秀なら採用する」だけにすぎず
既卒者なら既卒者なりのハードルは設定してるだろうからね。

体験談でしかないが、「既卒内定者の声」とまではいかなくても
内定者・先輩社員の声を通して既卒で内定を貰った人がいることが伺える企業はいくつか見たことあるなあ。(就職人気上位企業含む)
どの例も「新卒時に就職活動をしたけど内定が見つからず渋々既卒になった」例ではなかったし、この例を紹介したところで新卒就職できなかった既卒の子を救えるとは思えなかったわ。

Re: No title

> のさん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。


まぁ率直に言えば、既卒者を真に保護するには、景気を良くするなどして企業が人を雇いたいと思うような状況を作る以外はあり得ません。僕の提言の効果は微々たる物で、記事に書いたような「(既卒者を1人も採用していないということを採用ホームページで確認することで)この企業、既卒者のエントリーも受け付けているけど、実際には採用して無いじゃん。他の企業を受けよう」という意思決定を既卒者ができるようにして、彼ら・彼女らが無駄な企業にエントリーをすることを防ぐことくらいしかないかもしれません。それか、労働者間で仕事を分け合う、即ち「ワークシェアリング」を進めていくことが重要なのかもしれません。

No title

>ブログ主さん

既卒者採用歴のある企業=既卒者に優しい、とは思えないけれども・・・。
逆に既卒応募者に対し(これまでの既卒採用者と比較して)厳しく評価する可能性もある。
ブログ主さんのように考えた人が既卒者採用歴のある企業に殺到したら猶更。

そもそも既卒者といっても新卒就活をしたけど卒業までにどこにも内定出なかった人もいれば
新卒就活をしない何らかの事情があった人
(海外放浪や資格のような自発的なものから、親の介護のように止むを得ない事情も含む)
と色々いるのだし、
それらを無条件に
既卒=就職に失敗したカッコ悪い奴
とみなして落とす、というのが問題の本質なんじゃないかなと。

既卒者からしたら内定まで至った数少ない成功例よりも

・既卒者でもエントリーシートで無条件に落とされず通過し得るか
・既卒者であるという事実で説教してくる面接官がいないか

といった情報の方がはるかに有意義だと思う。
勿論、こういうのは企業側というより実際に選考を受けた既卒者じゃないと情報提供できないのだろうけどね。

Re: No title

>の さん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

>既卒者採用歴のある企業=既卒者に優しい、とは思えないけれども・・・。逆に既卒応募者に対し(これまでの既卒採用者と比較して)厳しく評価する可能性もある。

僕の意図としては「既卒者採用歴のある企業=既卒者に優しい」という構図を言ったのではなく、既卒者採用歴という事実を既卒者に開示して伝えることで、各既卒者がその企業を受けるか否かの判断材料を与える点が既卒者のためになり得るということです。勿論、一番の策は企業が採用枠を増やして新卒者・既卒者問わずガンガン採用することですが。

>・既卒者でもエントリーシートで無条件に落とされず通過し得るか
・既卒者であるという事実で説教してくる面接官がいないか

といった情報の方がはるかに有意義だと思う。

前者については、確かどこかの企業がやっていたのですが、エントリーシートに「卒業後の体験を書いてください」みたいな設問を設けることが一定程度有効なのではないかと。このような設問を設けておいて「既卒者だから」という理由で即落としてくるえげつない企業はさすがにないと思いたい・・・。後者の情報は、「そんな面接官いません!」と断言するのは難しそうですね。誰か一人でも馬鹿な面接官がいたら「話が違うじゃないか!」ということになりますし。

No title

既卒者を入口に通しただけで、中ではどんな採用が行われているか?は全く不明です。ましてや、ずっと既卒排除の傾向が続いていたので、それがどの採用担当者の脳裏にも残っているはず。だから、書類選考にしろ、面接にしろ、その人が新卒か?既卒か?ということ自体が判明するのであれば、結局、既卒排除の傾向は絶対に直らないだろうと。学歴、年齢等の記入を強要されない体制がないと既卒が不利を受けないということはありえないでしょう。

公務員試験でも似たようなことがあって、例えば特別区では採用ホームページに「年齢、学歴などは合否に一切関係ありません」と書いてあります。しかし、面接時の履歴書には年齢や卒業年度、大学名などを記入させる欄があり、面接官をそれを見て面接をします。この状態で影響がないって、何寝ぼけたこと言ってるんだ(笑)と呆れました。

Re: No title

> あらいさん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>だから、書類選考にしろ、面接にしろ、その人が新卒か?既卒か?ということ自体が判明するのであれば、結局、既卒排除の傾向は絶対に直らないだろうと

これに関連することとして、「企業は既卒者採用にも積極的じゃないか」という言説から既卒者を守るための2つの策(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-325.html)、「卒業後に就活」が当たり前になる社会にしていくべきだ(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-478.html)という過去記事を書いたことがあります。もし宜しければ、そちらも読んでいただければと。


>公務員試験でも似たようなことがあって、例えば特別区では採用ホームページに「年齢、学歴などは合否に一切関係ありません」と書いてあります。しかし、面接時の履歴書には年齢や卒業年度、大学名などを記入させる欄があり、面接官をそれを見て面接をします

無意味・・・(笑)仰る通り、これで影響がないというのは通らないと思いますね。
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