スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

海老原嗣生さんの主張は、「中小企業に目を向けない若者が悪い」という言説を強化した元凶なのか

過去記事「"ブラック企業を何とかせよ"と言うけれど、そうは言っても労働基準監督官の人数が全然足りない」という記事に、william yaminさんが次のようなコメントを残してくださった。

海老原氏についてですが、経済誌に寄稿した記事などを読んで薄々感じていたことなんですが、数年前と比較すると主張や立ち位置が変わってきているように思うのは僕だけでしょうか?労働環境の問題について積極的に発言し始めたのって割と最近じゃないですか?(中略)ぶっちゃけた話、僕はこれまで海老原氏と常見氏は、「雇用のミスマッチの原因を求職者および学生にばかり求めることで、企業側の問題をいかに覆い隠すか」に重点を置いた主張をする論者だと認識して来ました。その為、先日BSのプライムニュースという番組で常見氏が労働環境の問題について言及したと知った時は何かの間違いじゃないかと思ったぐらいです。同じく記事にリンクのある「四大卒も中小企業を目指せばいい」という記事を読む限り、海老原氏は少なくとも2011年の初め頃には労働環境の問題について言及し、雇用のミスマッチの企業側の問題についても明らかにしようとしているように感じられますが、「「若者はかわいそう」論のウソ」(2010年6月初版)を出版した段階などでは、海老原氏自身の言葉を借りればまさに<<<「中小に行け!行かない若者が悪い!自己責任だ」>>>といった主張が全面に出ていたように僕は感じます。

海老原さんの主張に対してこのような印象を抱いていたことから、william yaminさんは、海老原さんが労働環境の問題に代表されるような企業側の問題を取り上げることは傾向として望ましいけれども、同時に気味の悪さをも覚えると仰っていた。


この点、以前後藤和智さんも「海老原が現況の"雇用のミスマッチ"論を言いだし、それに呼応するかのように"今は就職氷河期ではない""学生の大手志向が問題"と叫ばれた」と述べており(http://www.facebook.com/kazutomogotooffice/posts/354783101278511)、海老原さんの主張が起爆剤となって「中小企業に目を向けない若者が悪い」という言説が作られたという立場を示した。後藤さんの見解を読んだ時点ではそれが正しいか否か分からなかったのだが、最近図書館で借りた「学歴の耐えられない軽さ」(2009年12月の本)を少し読んだところ、確かに海老原さんの主張(というか、文章の書き方?)が原因で、就職難の責任を若者に押し付ける言説が強化されたのだなと実感した。


海老原さんは本の中で「(若者は)選り好みせず、中小企業でも良いから、まずはちゃんと正社員になること」という主張をしている。その主張の根拠となるのが「中小企業に入ったとして、やはり景気が悪く安定性も低いなら、第二新卒として転職すれば良い。第二新卒の時期には景気も回復してかなり有利になっている」という文章である。


これに対して「"第二新卒の時期には景気も回復してかなり有利になっている"というのは本当なのか?」と感じた方もいるかもしれない。一応海老原さんの見解を紹介すると、「日本の景気は大まかに言って好況2.5年+不況1.5年=4年で1サイクルになる。とすると、就活時期に不況だった人は就職後の20代の前半(第二新卒時期)に好況を迎え、20代中盤で再び不況となるが、20代終盤で再度好況になる。逆に、就活時期に好景気だった人は、第二新卒期に不況となり、20代中盤に好況になるが、再び20代終盤は不況になる。つまり、どちらの場合も、20代に2回好況期と不況期がやってくる」というものになる(これに対して、後に触れる田中秀臣先生の書評では、この点について「就職が困難な時期が長期化することはいままでの日本の経験と、そして現状での政府の対応から十分予測できるので、海老原さんの期待はかなり楽観的に思えてしまいます」と述べられている)。


特に「中小企業に入ったとして、やはり景気が悪く安定性も低いなら、第二新卒として転職すれば良い」という文章から、海老原さんが「条件が悪い企業であっても、とりあえずは正社員になっておくべきだ」という主張をしていると読み取れるだろう。また、プレジデントオンラインに載っている海老原さんのインタビューにも「学生は学生で、せっかく大学を出たのだからそれなりの企業へ……と、えり好みする」という記述がある(http://president.jp/articles/-/2179 なお、学生が「それなりの企業」への就職を望むのは「せっかく大学を出たのだから」という気持ちではなく、「労働環境が悪いところで使い捨てられたくない」という気持ちが大きいと思っているのだが・・・。この記述も「若者の考えが甘い!」という世論を生成しようとしているように思えてしまう)。これらを見ると、william yaminさん・後藤さんが言う通り、海老原さんは若者の「まともな企業で働きたい!」という「選り好み」を批判する立場のように思われる。


・・・と言いたいところだが、田中秀臣先生により書かれた「学歴の耐えられない軽さ」の書評のページに対して、海老原さんは次のようなコメントを残している。

先生の指摘、実は最初の「えり好み」はまさにその通りなのです。えり好みで、「好きな雰囲気・風土・社風」などを徹底的に調べるべき。もちろん、ブラックではないか、給与待遇はどうか、などの即物情報も調べつくせ!と思ってます。人はえり好みするもの、それが基本ですよね。私の言葉足らずでした。書中のえり好みの意味は、「人気ランキング」とか、「やりたい仕事」では選ぶな、そんなもの、今だけのものだから、という意味なのです。ごめんなさい!(http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20091230/p5

このページを発見したときは、正直おったまげた(笑)何かの冗談なのではないかと。コメントを見て「いや、本では"とりあえずは正社員になっておくべき"、"安定性も低いなら、第二新卒として転職すれば良い"と主張していたじゃないか!」と感じたというのが率直な感想だ。別に「ブラックではないか、給与待遇はどうか、などの即物情報も調べつくせ!と思ってます」という考えは良いのだが、海老原さんの「言葉足らず」によって「中小企業に目を向けない若者が悪い」という言説が強化されたとなると、海老原さんは相当罪深いのではないか。


しかも海老原さんの本を読む限り、海老原さんの言うところの「選り好みをするな」は、田中先生に説明した「"人気ランキング"とか、"やりたい仕事"では選ぶな」という意味ではなく、やはり「条件が悪い企業であっても、とりあえずは正社員になっておくべきだ」という意味のように思えてしまう。なぜなら、海老原さんが「中小企業には求人はある」と述べる根拠はリクルートワークスのデータな訳だが、もしブラック企業の危険性を分かっていれば、リクルートワークスが発表した数字を単純に見て「ほら、ここにはこんなに求人があるじゃないか!」なんて言えないはずだからだ。実際、田中先生も「不況であっても中小企業は売り手市場のままです。もちろんブラック企業のようなものが採用を活発化させていることもありますし」と述べている。william yaminさんは海老原さんの一連の論調を「なんとも気味が悪い」と評していたが、僕も同じ気持ちだ。


やはり後藤和智さんが述べているように、海老原さんの主張が起爆剤となって「中小企業に目を向けない若者が悪い」という言説が作られたのだと僕も感じるようになった。ここのところ、海老原さんの「学歴の耐えられない軽さ」や「若者はかわいそう論のウソ」を読んでいるが、それを読む限りでも、いかに若者の能力が下がっているか、若者が選り好みしているか、という、いかにも「若者に問題がありまくりだ」という言説を強化しようとしているように思えてならない。本当に、海老原さんの主張は「監視」が必要なレベルなのではないか。


海老原嗣生さんの主張は、「中小企業に目を向けない若者が悪い」という言説を強化した元凶ではないかという考えに共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします。
にほんブログ村 就職バイトブログ 大学新卒の就職・就職活動へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

lingmuさんのこの記事に関するツイートをリツイートしていた特急「ヲタフク」さんとスサノオのくりいむさんがtwitterで、http://www.nikkei.com/article/DGXDASDG26055_X20C13A8CC0000/の記事について、「来年度からは民間業者に委託し」の部分に注目して、リクルートやインテリジェンスが請負うんじゃないか?ということを書いていましたが、仮に、来年度から本当にリクルートやインテリジェンスが請け負ったとすれば、william yaminさんが指摘している海老原さんや常見さんの立ち位置の変化の理由の一部が分かるような気がします。

実際、就職できない若者が増えたのはミスマッチが原因という論からドリームマッチプロジェクトが始まり、それをリクルートが請け負いましたし(以前もコメント欄で書きましたが、その結果としてこのプロジェクトからはあまり内定者が出なかったり、酷い企業に入ってしまいニュースでも取り上げられた若者が出たりしたわけですが)、都道府県などでは、人材派遣会社に委託された若者就職支援事業も行われ(国でも似たような事業を始めるようです)、実際にリクルート系の企業も請け負ってます。(http://www.r-staffing.co.jp/sol/contents/jakunen-koyo/index.html)
(以前も書きましたが、ミスマッチ的側面がある事は否定しませんが、それだけで解決するとは私は思えません)

海老原さんや常見さんは若者を対象とした講演も行っていたりするようなので(特に常見さんは大学でも講師を務めているようですし、若者向けに話している事も多いようです。)、そういった立場からの変化とも取れますが、仮に来年度からのこの事業の委託先がリクルート辺りになったらなんだかなあと……
正直、現状ではただの推測であり、言いがかりになってしまいますが、この辺りは注目していっても良いのかもと思いました。

Re: No title

> 11卒業務未経験無職 さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>海老原さんや常見さんは若者を対象とした講演も行っていたりするようなので(特に常見さんは大学でも講師を務めているようですし、若者向けに話している事も多いようです。)、そういった立場からの変化とも取れますが、仮に来年度からのこの事業の委託先がリクルート辺りになったらなんだかなあと……


なるほど・・・。海老原さん・常見さんの関わりは分かりませんが「夜間や休日に対応するフリーダイヤルも開設する」という取り組みは良さそうですよね。記事にある通り、それによって昼間忙しい若者も相談しやすくなるわけですし。僕としては委託先よりもこの取り組みが効果をあげることに関心があり、それに期待したいですね。
main_line
main_line
ブログランキング
おかげさまで、ブログ村の「就職バイトブログ」のカテゴリで「1位」を取ることが出来ました。この場を借りて、お礼を申し上げます。これからも記事を多くの人に読んでいただけたらと思いますので、もし宜しければ、今後ともランキングへのご協力を宜しくお願いいたします。
RSSリンクの表示
follow us in feedly 
最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
リンク
FC2カウンター
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
プロフィール

lingmu

Author:lingmu
FC2ブログへようこそ!

最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。