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企業が「新卒一括採用」という採用慣行を持続できなくなった時

前回の記事で、このブログによくコメントをくださるwilliam yaminさんのツイートを取り上げたが、もう一つ別のツイートを紹介したい。見ての通り、新卒一括採用の持続可能性について疑問を投げかけている。


彼は以前にも、当ブログの過去記事「茂木健一郎さんは、自身の"新卒一括採用批判論"に対する海老原嗣生さんの批判を相手にしないと思う」のコメント欄で「学生はおろか例え採用側の企業がこの採用慣行を維持することを望んでいても、維持しようがない状況、支持・不支持という選択肢自体がそもそもなくなるような状況が訪れるのではないか」という問題提起をしている。どういうことかというと、「新卒一括採用」と密接に関連する「企業内職業訓練」のコストを企業が負担できなくなった場合、企業は必然的に経験者採用へとシフトしていくのではないかということだ。実際に、高知県の建築業界では近年教育コストのかかる新卒採用を忌避する傾向があり、以前ならいきなり正社員として採用されていた「工業高校で建築専攻」だったような学生が正社員になれなくなってきているという事情があるそうだ。


学者の中でも、例えば本田由紀先生は日本企業において「長期雇用・長期育成という大前提が崩れている」状況があると評価し、ゆえに現在の採用では即戦力に近い人材を厳選採用するのが普通だと述べる。本田先生は「新卒一括採用の持続可能性の消滅」について直接は言及していないが、企業が厳選採用という方針を貫けば、新卒学生ではなく経験者の採用へとシフトしていくことは当然の流れだといえるはずだ。


新卒一括採用のメリットとして「専門知識・経験がない学生であっても採用される」ことを挙げる、つまり「この採用慣行は学生にとってもメリットがあるんですよ!」というアプローチで新卒一括採用の良さをアピールする論者がいる(「そのメリットが企業の"求める人物像"を曖昧にし、就活生を苦しめてるんだろ」と僕は思っていますが笑)。しかしこれに対しては、またまたwilliam yaminさんのツイートをぶつけられる。「企業は別に新卒学生の利益を考えて新卒一括採用慣行を維持しているのではない」というのが特に重要なのではないだろうか。このツイートの記述を裏付ける例としては、日本郵便の新卒採用凍結(2012年度)が挙げられる(http://www.j-cast.com/2011/01/12085350.html?p=all もっとも2013年度は採用活動をしたみたいだし、14年度の採用活動もやりそうな感じはするhttps://saiyo.japanpost.jp/recruit/index.html)。これは同社が非正規社員を正社員化した分人件費の負担が重くなったため、その分新卒採用を凍結することによりコスト削減を図ったという見方が根強い。これは「企業内訓練が出来なくなって・・・」という話とは直接関係しないが、企業が自社を取り巻く事情により新卒採用を止めることは全然できると言うことを示す一つの例と言えるのではないだろうか。


william yaminさんは「現在の日本は新卒一括採用慣行+企業内訓練を前提とした社会になっている為、公的職業訓練や職歴を積む為の卒後インターンシップといったそれ以外の訓練機会の整備が脆弱である」、「今の就活ルールに上手く乗りさえすれば企業内職業訓練が提供されるということを前提としてこうした現状をほったらかしにしておくと、いざ企業が新卒一括採用を手放さざるを得なくなった時に最も被害を被るのはその新卒学生です」と問題提起されている(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-189.html)。実に真っ当なご指摘だと思う。もしこうした議論がなされないまま多くの企業が経験者採用にシフトして、且つ「新卒?そんな足手まといなんかいるかよwww」と言い出す人が増えたら、もう日本から「社会人」なんて言葉は無くしたほうが良い。そういう人たちは、例えば「恥晒し」と表するくらいで丁度良いと思う。


企業が「新卒一括採用」という採用慣行を持続できなくなった時を想定した上での議論が必要だという考えに共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします。
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No title

初カキコミです。
ネットで就活について検索していたら、フィンランドでは「10代の後半から在学しながら、少しずつ働いてみる」「いくつかの仕事の中から、自分の関心や適性に応じて就業時間を延ばす」。そして30歳くらいまでに「この企業のこの仕事なら、ずっと働けると思ったところで卒業して就職する」のようになっている。というのを見ました。事実は分かりませんが、自分もそういう社会ならいいなと思っています。愚痴を言うとキリがありませんが、日本の社会は凄く非合理的で、非論理的、安易な感情重視だと思います。新卒というカードにどれだけの力があるのか自分には分かりませんが、卒業するためだけに、学校という訳の分からない施設に大金を払わないといけないというのは理解できません。

No title

新卒採用の経済合理性という意味では一部の企業、一部の職種を除いて既に無いです。つまり新卒一括採用で優秀な人材を獲得することによるメリット(若手を自社の色に染められる、まとめて教育した方が効率がいい)はデメリット(将来企業の財務状況を痛めたり、組織構造を歪める)に比べて少なくなっています。まあ一部のお年を召された社長さん方は未だにメリットのほうが上回っていると堅く信じているようですが。(話はそれますが、そうした方々はいまだに過去の成功体験を忘れられない亡霊みたなもんです。会社が一つの共同体、家族であり、それが経済成長とともに是とされた時代を忘れられない。日本経済はそうした亡霊に首を絞められているとも言えるでしょう)

ではなぜ止められないかというと、william yaminさんの言うように、長年新卒一括採用に頼り切ってきたために中途採用という市場が未発達(というかボロボロ)であり、新卒採用を止めたところで企業の中にインターンや中途採用を通した人材育成のノウハウが無い、また労働者にとってもキャリアパスが不明瞭という事態が予想され、現時点で誰も得をしないからでしょう。

結局のところ採用「慣行」ですから、戦後20 ,30年かけて作り上げてきたものを変えていくのにもそれなりの時間がかかるというのが私の考えです。海老原さんがよく主張しているように、新卒で優秀な人材を一括採用するというスタイルは欧米の大企業で行われているような2, 3年の間に若手をジョブローテーションで育成するというリーダーシッププログラムに限定されてくるのではないでしょうか。欧米の労働市場が全て合理的に出来ているとは思いませんが、日本の企業が新卒一括採用を止めるとすれば日本の労働市場もそれに近いものを目指して収斂していくのではないかと考えています。

Re: No title

> MGさん

はじめまして、コメント有難うございます。

>ネットで就活について検索していたら、フィンランドでは「10代の後半から在学しながら、少しずつ働いてみる」「いくつかの仕事の中から、自分の関心や適性に応じて就業時間を延ばす」。そして30歳くらいまでに「この企業のこの仕事なら、ずっと働けると思ったところで卒業して就職する」のようになっている。というのを見ました。事実は分かりませんが、自分もそういう社会ならいいなと思っています

何かゆとりがあって良さそうですね(笑)勿論これは事実誤認、あるいは「国民の負担が大きい」などの事情があるといった可能性もありそうですが、他国の良いところは真似ていきたいところです。 

>新卒というカードにどれだけの力があるのか自分には分かりませんが、卒業するためだけに、学校という訳の分からない施設に大金を払わないといけないというのは理解できません。

実際、既に大学を見切っている人も増えているようです。イケダハヤトさんの「年収150万円で僕らは自由に生きていく」という本を立ち読みした際に、そのようなことが書いてありました。

Re: No title

> YISさん

お久しぶりです、コメント有難うございます。

>新卒一括採用で優秀な人材を獲得することによるメリット(若手を自社の色に染められる、まとめて教育した方が効率がいい)はデメリット(将来企業の財務状況を痛めたり、組織構造を歪める)に比べて少なくなっています

これまで、新卒一括採用を支持する論にしても、廃止を提案する論にしても「メリットとデメリットを比較衡量する」という視点が抜け落ちていたような気がします。こうした視点を書いてくださり、有難うございます。

>新卒採用を止めたところで企業の中にインターンや中途採用を通した人材育成のノウハウが無い、また労働者にとってもキャリアパスが不明瞭という事態が予想され、現時点で誰も得をしないからでしょう。

企業が今後労働市場に入ってくる人たちのキャリアパスを考えているかというと疑問ですが、「企業の中にインターンや中途採用を通した人材育成のノウハウが無い」というのはその通りだと感じます。

>海老原さんがよく主張しているように、新卒で優秀な人材を一括採用するというスタイルは欧米の大企業で行われているような2, 3年の間に若手をジョブローテーションで育成するというリーダーシッププログラムに限定されてくるのではないでしょうか

そうかもしれませんね。既に海老原さんや濱口桂一郎さんは「みんなが(総合職として入社して)"エリート候補"という扱いなんておかしくない?」という問題提起をしていますし、同じような問題意識を抱える企業が今後そうした方向に動く可能性は勿論あると思います。

No title

http://mysuomi.exblog.jp/8211322/
フィンランドの就職事情に関するブログ記事を見つけました。前半とあわせて読むとよくわかります。
要するに、フィンランドでは5月から9月まで夏休み。その間、正社員は休み、大学生が働いて学費を稼ぐ、のですね。
人口500万人のスローライフだからできることで、経済大国には絶対無理ですが。
もっとも、別の検索で出てきたものでは、フィンランドも正社員の仕事にはなかなかつけない人がいる、というようなことも書いてありました。勉強しながらインターンをやって、30歳くらいで就職する、というのは、その頃にならないと正社員のポストがあかないからかもしれないですね。
上の記事では、後半の、フィンランド人の見た日本の就活が面白かったです。

Re: No title

> ななしさん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

>人口500万人のスローライフだからできることで、経済大国には絶対無理ですが。

勿論、フィンランドのやり方を直接導入することは無理でしょうね。

>フィンランドも正社員の仕事にはなかなかつけない人がいる、というようなことも書いてありました。勉強しながらインターンをやって、30歳くらいで就職する、というのは、その頃にならないと正社員のポストがあかないからかもしれないですね。

つまり20代半ばでは(正社員として)就職できていない人もいるというわけですが、それでも「ななし」さんが仰っていた「なんとかなるさの安心感」があればそれほど問題ではないですよね、多分。この場合「現時点で~なことをやっていれば30くらいには正社員になれるだろう」という見込みがあれば、なかなか正社員としての就職が叶わなくてもそれほど悲観的にはならないだろうと想像します。

>上の記事では、後半の、フィンランド人の見た日本の就活が面白かったです。

特に「フィンランド人の友人は"あの記事、怖かったね。本当なの?"と私に質問を」という箇所が面白かったですね(笑)

新卒採用のシステムはもう限界だと思う。大して育てる費用も時間もないくせに、若いという理由だけで学生ばかりが重宝される。

それよりも例え既卒でも空白期間が あっても、即戦力になるような人を採ろうとなぜ思わないのか理解に苦しむ。

その方が企業と就活生両方にメリットかあると思うのだけど。

メディアにしろ、就活コンサルにしろ、企業寄りの意見ばかりで就活生の気持ちを理解していない。まあそう書かないと金にならないんだろうけど。

それなのに就活生には「努力が足りない」を始めとする精神論・根性論ばかり。

欠陥だらけの就活システムへの反抗は例え水面下からでも啓蒙活動し続けなければならないと思う。

Re: タイトルなし

> 雨宮さん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

>新卒採用のシステムはもう限界だと思う。大して育てる費用も時間もないくせに、若いという理由だけで学生ばかりが重宝される。それよりも例え既卒でも空白期間が あっても、即戦力になるような人を採ろうとなぜ思わないのか理解に苦しむ。

企業からしたら「既卒でも空白期間があっても、即戦力になるような人」の存在をあまり想定していないのかもしれないですね。

Re: タイトルなし

> 雨宮さん

続けてコメント有難うございます。

>メディアにしろ、就活コンサルにしろ、企業寄りの意見ばかりで就活生の気持ちを理解していない。まあそう書かないと金にならないんだろうけど。それなのに就活生には「努力が足りない」を始めとする精神論・根性論ばかり。

最近本田由紀先生が<某新聞記者からの電話取材で、どうやら「大学が増えて「馬鹿な」若者が大学にたくさん進学して就活ビジネスに踊らされて大企業ばかり受けて就職できず生活保護を受けるようになる」という筋書きに沿ったコメントが欲しかったらしく、その筋書きが間違っていることから説明せざるをえずうんざり>とつぶやいていましたね。こういう記者ばかりではないと思いたいところですが・・・。
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