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日本的な企業の経営の仕方が、ジャーナリズムに影響を及ぼしているのではないか

日本型総合職の働き方の特徴の一つとして「ローテーションで様々な部署を経験する」ことがある。そして、一般的にそのメリットとしては「多彩な経験により、一部署・一事業に偏らない人材が形成される」、言い換えれば個々の社員が「ジェネラリスト」として大成するということが挙げられている。


日本型総合職の働き方にこうしたメリットがあることは否定しない。しかし、業種によっては個々の社員が「ジェネラリスト」としての大成を目指すことが、普段の仕事の質の低下につながっている可能性も考えられるのではないか。その例が「メディア」である。


先日の記事で荻上チキさんの著書「僕らはいつまで"ダメ出し社会"を続けるのか」を購入したと記したが、その本の中に記者の専門性の不足を批判する箇所が見られる。「新聞社では、せっかく特定の部署に所属しても、数年後には別の部署に異動になるのが当たり前。異動につぐ異動、そして数年ごとにいろいろなセクションに回すことで"ジェネラリスト(幅広い分野の知識・スキルを有した万能な人)"を育てようとしているわけだけれど、それだとどうしても、記者は特定分野の"深堀り"が苦手な人ばかりになってしまう」と。


この記述を見て、僕は次のツイートを思い出した。これは、随分前に話題になった橋下徹大阪市長とMBSディレクター斉加尚代さんの口論に関して述べたツイート。正直口論の中身より、こちらのツイートの文面の方が衝撃的で印象に残っていた。「そうか、記者は勉強不足でもしょうがないのか・・・」と。実際、全然しょうがなくないんですけどね。これは部署異動の話とは違うだろうけれど、「いろんなことを同時に取材しているので、大変忙しく、個々のテーマについて十分勉強する時間はありません」という記述からは、記者が専門性の追求よりも幅広い分野の大雑把な知識を得ることに力点を置こうとしていることが感じられる(もっとも、この山下さんは記者を8ヶ月で辞めたらしいですが・・・http://newsoku318.blog134.fc2.com/blog-entry-1581.html#comment_post)。


同様の問題はスポーツの世界にもあるようだ。実際に、サッカークラブ・浦和レッズの監督を務めたフォルカー・フィンケ氏は「疑問なのは、日本の新聞業界でも人事異動がたくさんあることだ。浦和担当の記者が、突然ボクシング担当になるのを私は見た。日本的な企業の経営の仕方が、ジャーナリズムまでも影響を及ぼしている。いろんな分野を経験するのは良い面もあるだろう。しかし、サッカーの記事を書くには専門的な視点や知識が必要だ。それを持っていなかったら、優れた記事を書くことは出来ない(中略)日本が決定的に異なるのは、記事を書く人間にサッカー界の経験と知識がないということだ(Sports Graphic Number772号)」と、日本のメディアを批判している。また、僕がよく読むサッカーブログでも民放のテレビ局の実況はただの素人でしかなく、スポーツに特化した実況を作るべきではないかと問題提起する記事が見られる(http://derorinkuma.com/masmedia/292)。


「ジェネラリスト」を生み出そうとする方針が常に悪いと言いたいわけではないが、少なくとも「メディア」に関して言えば個々の記者が各々の専門性を磨けるような環境を作るべき、即ちあまりにも多くの部署異動をさせるのは不適切なのではないかと思える。仮に会社が社員に「ジェネラリスト」として大成することを望んでいたとしても、その結果普段の仕事のクオリティが低くなってしまっては意味が無い。本を読んでいると「欧米型の働き方よりも、日本型総合職の働き方の方が優れている」とアピールする記述を見ることがあるが、そういう問題ではなくて、日本型総合職の働き方で効果を出せる企業はそうすれば良いし、そうでない企業はある程度個々の社員に「職務」を決めて、それに専念させるような環境を整えるべきではないかと思う。そして「メディア」の世界は後者なのではないだろうか。

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No title

日本では職業訓練があまり機能していないと言われていますが、「ジェネラリスト」を生み出そうとする方針があるというのも1つの原因なのかなと思います。
入社後に幅広い業務を経験しなければならないとすれば、特定の分野の訓練だけしてもあまり効果がないようにも思いますが、特定の仕事だけする職種のようなものが数多くあれば、職業訓練でその特定の仕事の訓練だけを行えば良いわけですし。

Re: No title

> 11卒業務未経験無職 さん

こちらの記事にもコメント有難うございます。

>日本では職業訓練があまり機能していないと言われていますが、「ジェネラリスト」を生み出そうとする方針があるというのも1つの原因なのかなと思います。

そうかもしれませんね~。企業は職業訓練を通じて培った特定の能力よりも、「多様な業務を習得する、飲み込みの早さ」といった「ポテンシャル」に注目している可能性が高く、それでは職業訓練が機能しない状態になるのも無理はありません。

No title

それ僕も全く同じことを考えていました。
例えば、聞いた話によるとイギリスのBBCだったら理科系の番組の部署に、数学や理科の〇〇の分野を勉強した人が採用される、との事らしいです。
あと、僕がよく読む社会保障学者のブログでも、記者が年金の常識の嘘をまるまる信じて誤った記事を書いている事にあきれてる、と書かれてありました。
現実も弊害が出ているんですよね。

僕は世の中の働き方の問題はだいたい以下の通りだと思っています。
①職務範囲が限定されていない(「誰さんが、何を、いつまでに、どのぐらいやる」が決まっていない。hamachanブログより抜粋)←これは世の中のノンエリート社員の場合。
②専門性の欠如
③①による長時間労働など

これらは世界基準の職務給への移行で大方解決できるでしょう、と思ってます。

ブログ主さんには耳にタコができるほど聞いた話だと思いますが、もう一回繰り返し言っておきます(笑)
こんな労働の知識がなくともスポーツジャーナリズム知識がなさそうなアホっぽい女子アナとか取材とかしてるのを見たらおかしいとみんな薄々思ってるんでしょうけどね。

最後に最近思ってるんですが、日本で海外みたいな専門性を持った人と仕事ごとに契約を交わすというスタイルが定着しないのは、マネージメントする側が成功体験がなく恐れてるからというのも理由の一つにありそうだという事です。
日本の組織はマネージメントのスキルがなくても下っ端に仕事投げて、どなってりゃいいだけですからね。

Re: No title

> takshi さん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

>例えば、聞いた話によるとイギリスのBBCだったら理科系の番組の部署に、数学や理科の〇〇の分野を勉強した人が採用される、との事らしいです

それは良いですね~。

>僕がよく読む社会保障学者のブログでも、記者が年金の常識の嘘をまるまる信じて誤った記事を書いている事にあきれてる、と書かれてありました

こっちは非常にまずいですね~(笑)いや、笑えないのですが・・・。

>日本で海外みたいな専門性を持った人と仕事ごとに契約を交わすというスタイルが定着しないのは、マネージメントする側が成功体験がなく恐れてるからというのも理由の一つにありそうだという事です

確かに、マネジメントをする側の問題はありそうですね・・・。「そんな前例はないから!」とか、そういう理屈が思い浮かびます。

No title

姉がドキュメンタリーなどの番組制作をやってますが、放送する前には常に専門家によるチェックを依頼するそうです。
製作の段階でも何度も意見を伺うようです。
ただこれは長期のドキュメンタリー製作の場合だからできることで、
毎日流すニュースなどでは十分にはできないでしょうね。

今回はそれだけですw

Re: No title

> ともさん

お久しぶりです、コメント有難うございます。

>姉がドキュメンタリーなどの番組制作をやってますが、放送する前には常に専門家によるチェックを依頼するそうです。製作の段階でも何度も意見を伺うようです。

なるほど。ただ番組制作側にも一定の知識が無いと、もし専門家が「トンデモ」だった場合に番組が崩壊するので(笑)、例え専門家によるチェックを受けるという仕組みがあっても、スタッフにはある程度の専門性が求められるような気がします。

No title

ジョブローテーションが専門性の欠如をもたらしている問題は民間に限らず公務員の世界でも存在するようです。日本で生活保護の捕捉率が低い背景には、社会保険事務所の担当なども数年で入れ替わってしまう為、経験が浅く生活保護の制度の細かい部分を正確に理解出来ていない職員が業務にあたらざるを得ず、本来は受理されるべきケースでも不受理としてしまうことがあるそうです。

ジョブローテーションの有用性もイマイチ理解に苦しむんですよね。同じ会社でも様々な仕事を経験した方がより広い範囲で会社がどう動いているかを理解し生産性が上がるといった効果はあるでしょうが、それが目的ならひとつの業務あたり数週間から数ヶ月の経験で充分だと思うんですね。最終的に何を専門とするかはあらかじめ決めておいて。

数年単位でのジョブローテーションを長い期間に渡って続けると、その到達レベルはともかくとして複数の専門性を持った人が社内にたくさんいるみたいな状態になるのでしょうが、これってサッカーで言うとスタメン11人が皆FWからGKまで幅広いポジションをこなせるみたいな話で、果たしてその必要性があるのかと感じます。

他にもジョブローテーションのメリットとして、同じ職員が長いこと同じ仕事をしていると取引先との間で癒着が生まれやすくなるとか不正がおきやすくなってそれらを防ぐ効果がある、みたいに言われることがありますが、じゃあ公立高校に比べて私立高校の職員は不正や癒着が多いのかと突っ込みたくなります。

まあでももし定年まで数十年同じ会社にいるのであれば、労働者の側としてもむしろ数年で配置転換して欲しいと思うんではないですかね。飽きるだろうし、性格の合わない上司や部下とずっと一緒なのはしんどいでしょうから。この辺りは会社を辞めるという選択のハードルの高さと関わってくるのではないかと思います。年功序列賃金で退職金の積立をやっていて同一労働同一賃金ではない(会社を移ると職務が変わらなくても会社の規模が小さくなれば給与が下がる)社会なら勤続の強いインセンティブが働くので社内で色々移れたらなと思いますが、逆の社会なら個人レベルで転職という手段を行使すると思います。

Re: No title

> William Yamin さん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

>日本で生活保護の捕捉率が低い背景には、社会保険事務所の担当なども数年で入れ替わってしまう為、経験が浅く生活保護の制度の細かい部分を正確に理解出来ていない職員が業務にあたらざるを得ず、本来は受理されるべきケースでも不受理としてしまうことがあるそうです

これは知らなかったのですが、非常に重大な問題では・・・。

>数年単位でのジョブローテーションを長い期間に渡って続けると、その到達レベルはともかくとして複数の専門性を持った人が社内にたくさんいるみたいな状態になるのでしょうが、これってサッカーで言うとスタメン11人が皆FWからGKまで幅広いポジションをこなせるみたいな話で、果たしてその必要性があるのかと感じます

サッカーに関して、日本では「複数のポジションができる」といった「万能性」を備えているのが良いプレイヤーだとみなされる傾向があると思いますが、例えばイタリアでは、守備をしなくてもきちんとゴールを決めていればそれでFWは評価される、すなわち「一芸」があればそれが評価されると中村俊輔選手が言っていた覚えがあります。日本では、企業社会でもスポーツの世界でも「優秀な人物像」というのが似ているのかもしれませんね。

>まあでももし定年まで数十年同じ会社にいるのであれば、労働者の側としてもむしろ数年で配置転換して欲しいと思うんではないですかね。飽きるだろうし、性格の合わない上司や部下とずっと一緒なのはしんどいでしょうから

「部署異動により、合わない人とおさらばできる」というのはジョブローテーションの一つのメリットでしょうね。

【雇用】解雇規制の緩和(労働市場の流動化)

【雇用】解雇規制の緩和(労働市場の流動化)
http://matome.naver.jp/odai/2135358080478564501

賛成
OECD 自民党 みんなの党 日本維新の会
飯田泰之 池田信夫 伊藤元重 岩瀬大輔 小幡績
大竹文雄 大前研一 勝間和代 古賀茂明 城繁幸
高橋洋一 竹中平蔵 田原総一朗 冨山和彦 八田達夫
堀江貴文 宮台真司 八代尚宏 山崎元 渡邉正裕
【他多数

反対
共産党 社民党
内橋克人 金子勝 森永卓郎

解雇規制緩和と若者の雇用
http://togetter.com/li/272162

Re: 【雇用】解雇規制の緩和(労働市場の流動化)

> 【雇用】解雇規制の緩和(労働市場の流動化) さん

はじめまして、コメントありがとうございます。

解雇規制の緩和については、僕も賛成の立場です。ただ、賛成派が多数だからといってそれが「正しい」とは限らないので、今のところは何とも言えませんが・・・。
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