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「就活の専門家」による発信の中身をチェックする機能が足りない

前回の記事で「メディアの機能を低下させている背景」について考察したが、その機能が低下することにより具体的に生じる問題としては、やはり権力のチェック機能の低下が挙げられるだろう。荻上さんの本の中でも、各省庁が発表する「白書」の報道に関して、きちんと白書の内容を分析した上で記事を発表する新聞がある一方で、単に省庁がメディアに配った「白書の概要が記されたペーパー」からセンセーショナルな部分をつまみ食いするだけの記事を発表する新聞があるという問題点を指摘する箇所がある。加えて荻上さんは、メディアが「白書のここが間違っている」、「こういう統計を取らないのは、省庁の仕事不足ではないか?」という突っ込んだ批判をしないことが一般的であることも問題視されている。言い換えれば、メディアが省庁などの取材先が言うことをそのまま鵜呑みにし、それを吐き出すだけの仕事をしているケースを批判する内容だといえる。


こうした問題は、まさに就活問題における報道・議論にも当てはまるものだと感じている。特にブログにライターページを開設してから実感したことだが(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-category-34.html)、「現在の就活は~になっている!」、「現在の就活は~な点が問題だ」とアナウンスする「専門家」自体は多くいると思うのだが、そのアナウンスの中身をチェックする機能があまりにも不足しているのではないかという問題意識を抱いている。


特に象徴的なのが、ライターページに寄せられた「大企業志向で中小企業を受けないことが就職難の原因か」という記事。現在就活をしている人、あるいは就活関連のニュースをチェックしている人で「大企業はともかく、中小企業には求人がある!」という言説を目にしたことが無い人は殆どいないだろうが、その言説の根拠になっているのがリクルートワークスが発表する求人倍率である。日本経済新聞といったメディアも、このデータを引用した上で「中小企業には求人がある」という主張を展開したことがある。



しかしこの記事では、例えば「2013年度卒業生向けの調査では、製造業1.65倍、流通業3.73倍、金融業0.19倍、サービス・情報業0.42倍になっています。という事は、企業規模300人未満(中小企業)の場合、3.27倍となっていて求人がありそうに見えますが、企業規模300人未満でも金融業、サービス・情報業の場合決して簡単に受かるものではないように思えます」と、中小企業を一括りにして求人はあると論じることの意味の無さを主張する。あるいは、リクルートワークスの調査方法について「2013年卒採用向けの調査データのp.10の一番下に、*で、各従業員規模と各業種への就職希望率は、第一希望の情報をもとにしていると記載されています。そりゃあ、第一希望を聞かれたら、内心では大企業に入るのは難しいと思っている人でも、高望みして答えてもおかしくないのではという気がします」という論評も示唆に富むものだ。これはつまり、リクルートワークスが証明したのは「中小企業を第一希望の就職先にする学生はそれほど多くない」ということに過ぎず「学生は中小企業を全く志望していない。だから、そこを狙えばチャンスはある」という主張は、少なくともリクルートワークスの数字を根拠に導くことはできないということを証明している。言うまでも無く「第一志望ではない=エントリーしない」ではないので。


この記事に一定の説得力があったからか、次のようなツイートも頂いている。こうしたツイートをいただけることは本当にありがたいと感じた。しかし、一方でこのようにも思った。「なぜ、リクルートワークスの元データを辿れば容易に抱けるはずの疑問を、専門家と言われる人たちはこれまで抱かなかったのか」と。この記事を書いてくださったのは「11卒業務未経験無職」さんという方であって僕ではないのであまり偉そうなことは言えないのだが、それでもこうした思いを持たずにはいられない(ちなみに僕がこうした疑問を抱けなかったのは「リクルートワークスの元データまでいちいち見るのは面倒だ」というしょうもない理由です笑)。


この「11卒業務未経験無職」さんの記事に触発されて、僕も本の記述を鵜呑みにするのではなく引用元の資料も多少はチェックするようになったけれど、その結果専門家といわれる人の発信に間違いがある場合も結構あるんじゃないかと思うようになった。例えば最近書いた「"フリーターは正社員になれない"というウソ」論の失敗という記事では、海老原嗣生さんという「専門家」が平成21年・若年者雇用実態調査のデータを読み間違えている疑いが強いことを指摘した。海老原さんに関しては他にも「本来課長補佐も加えた統計を使用しているにもかかわらず、本文中では一切その点に触れず、"今でも42歳で5割が課長になれる"とだけ主張している」点に海老原さんの問題提起の危うさがあると主張する声もある(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-365.html#cm)。要は、専門家といわれる人の発信であっても、それを鵜呑みにするのはかなり危険な場合があるということだ。


にも関わらず、現在の「就活論壇」において「~さんの~な主張はおかしい」と専門家同士で指摘しあう動きはあまり見たことが無い。専門家による発信が同じく専門家によるチェックに晒されないということは問題に関する「正確な事実の共有」が出来なくなることを意味し、これは危惧するべきことだろう。ちなみに最近、次のツイートを見て笑った。「好き勝手に自分の言いたいことだけ言ってる専門家」は、ぜひ強制引退させてやりたいところですね!(笑) 


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No title

どこの世界もみな、仲良しクラブで、異論や反論をいえない空気がありますね。
昔は日本もけっこうみんな、口から泡飛ばして議論していた時期もあったのですが、すっかり過去です。

わたくしごとで恐縮ですが、私はあるマイナーな雑誌に文章を書いていたのですが、その雑誌に最近登場した有名人の言説をブログで批判したら、依頼が来なくなりました。
就活について、若者の雇用について、きちんとしたことを書いている人もいるのですが、そういう人は無名で、出版社も無名のところです。目立つところで批判や反論をすると、業界で生き残れないのだろうか、と思います。

このブログのような草の根でがんばってもらうしかないですね。

Re: No title

> ななしさん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

>わたくしごとで恐縮ですが、私はあるマイナーな雑誌に文章を書いていたのですが、その雑誌に最近登場した有名人の言説をブログで批判したら、依頼が来なくなりました

雑誌に文章を寄稿するとはすごいですね!しかし、たかだか有名人の言説をブログで批判したくらいで、その仕事にも影響が起きてしまうんですね・・・。別に人格批判して無いなら良いじゃんと思いますが。

>就活について、若者の雇用について、きちんとしたことを書いている人もいるのですが、そういう人は無名で、出版社も無名のところです。目立つところで批判や反論をすると、業界で生き残れないのだろうか、と思います

まぁ、あまりウケが良くないことを書いていたら売れないという問題もあるんでしょうね。きちんとしたことを書いてくださる人たちは「財産」と表して良いくらいだとおもいますが、その力が十分に生かされていないであろうことが勿体無いですね。

就活評論家

お疲れ様です。時々拝見させていただかせています。
社会人2年目の男性です。自分もしんどい就活をした方なんで、こちらのブログの就活を食物にするコンサルやライターの話に腹が立ってしょうがありません。
元大手就職情報会社の社員という人が、最近書いた「あらゆる就職情報は操作されている」という本を読んだら、就活を飯のタネにしている就活評論家たちは、就職情報会社から仕事を回してもらっているので、ブラック企業の採用情報さえもを格好いい入社案内や採用ウェブサイトにして、学生をだます採用広告をつくっている、ブラック企業の元凶とも言える就職情報会社のことは口をつぐんでいる、と書いてありました。結局サラリーマンと同じで、上にはへつらい、下にはなんでも言えるんですね。
この本は、ニュースでも取り上げられていますよ。
http://www.j-cast.com/mono/bookwatch/2012/12/04156605.html

Re: 就活評論家

> T.Yさん

はじめまして、コメントありがとうございます。

>元大手就職情報会社の社員という人が、最近書いた「あらゆる就職情報は操作されている」という本を読んだら、就活を飯のタネにしている就活評論家たちは、就職情報会社から仕事を回してもらっているので、ブラック企業の採用情報さえもを格好いい入社案内や採用ウェブサイトにして、学生をだます採用広告をつくっている、ブラック企業の元凶とも言える就職情報会社のことは口をつぐんでいる、と書いてありました

その「就活評論家」が誰なのかが気になりますね・・・(笑)そういう人たちはまさに「就活を食い物」にする「敵」ですね。本の紹介ありがとうございました。ぜひ一度、読んでみたいと思います。
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