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「18歳で大学に進学する」という「正解」にメスを入れることが必要だ

新卒一括採用に反対する人たちが持つ想いの一つとして、「"大学在学中に就活をして内定をとる"というモデルから外れた場合、その後の就職が厳しくなる。もっと"回り道をする"生き方も認めてくれ!」というものがあると勝手に想像している。この社会には「生き方」に関してある種の「正解」のようなものがあって、その「正解」を選べなかった人に対する風当たりは強くなりがちだ。大企業で正社員として入社した人が(ある程度の困難はあるとはいえ)かなり有利にその後の人生を生きられるのに対して、新卒カードを手放した人に対する社会の反応は厳しい。


こうした想いには賛成するけれど、一方で訴えの射程をもっと広げられるのではないかという想いもある。具体的に言えば、「高校を卒業して、現役もしくは1浪で大学に入る」という「正解」にも疑いの目を向けるべきではないかということだ。最近「"習慣病"になったニッポンの大学」という本を読んで、こうした問題意識はさらに強まった。これは単に「生き方の多様性」を担保するだけでなく、大学教育の効果にも関係するアプローチと言える。


この本では、日本では大学新入生の多くが「18歳」であるのに対して、アメリカやヨーロッパ各国ではもっと入学者の年齢が高いということが指摘されている。OECDは「新入生の年齢分布」という統計を公表していて、それによるとアメリカでは80%に含まれる新入生の最高年齢が26.5歳であり、20%はその26.5歳以上という結果が出ている。ヨーロッパでも似たような結果が出ていて、「80%に含まれる新入生の最高年齢」はフランスでは26.6歳、イギリスでは25.2歳、ドイツでは24.1歳となっている。この時点で日本の大卒の年齢を上回っているが、北欧ではさらに大学新入生の年齢が上がるらしい(こちらのpdfファイルにも同様の記述が→http://www3.grips.ac.jp/~education/research/symposiumSeminar/seminar01_10/img/material.pdf)。


就活の世界ではよく言われ、僕自身も元銀行員の人から聞いたことがあるが、企業は「浪人・留年なしのストレート+2」までの年齢はマイナスに捉えないけれど、+3以上になるとマイナスに評価するという考えが働くらしい。正直、大学に「何となく」入学した人は多いだろうけれど、一方で「大学入学前に回り道をしたら就職に不利になるから、とりあえず進学しておこう」と考える人もいるのではないか。こうした考え方は個人の選択としては合理的といえるが、一方で社会全体としては「大学で何を学ぶか」という目的意識を欠いたまま進学する人を増やしてしまうと言うデメリットも見出せる。本の著者の矢野眞和さんは「普通の高校生も、一度社会に出て働いてみれば、自分が勉強してみたいことが見えてくるに違いありません。高校を卒業したら、一度社会を経験し、その後に大学に進学する。それが、日本以外の多くの国で見られる進路選択の形です」と述べ、現状の日本の大学進学の実態を批判している。


あくまでもこれは僕の想像だけれど、本田由紀先生の著書「教育の職業的意義」では「ヨーロッパと比べて、日本では大学教育の"職業的意義"が顕著に低い」ことが指摘されているが、これは入学者の内訳も大きく関係しているのかもしれないと感じた。「一度働いて、~な分野を学ぶ必要を感じたので、そのために大学に来ました」という想いを持つ学生が一定数いれば大学もそういうニーズに応える必要に迫られるわけで、大学教育の職業的意義は必然的に高まるはずだ。矢野さんによれば、EUの欧州委員会が提案した新成長戦略の中には「知識技術を活用する仕事の増加」という事情を踏まえて「30歳~35歳の大卒者の割合を現在の31%から40%以上に高める」という項目が盛り込まれているとのこと。即ち「労働力の質を高める」という目的の下大卒者数を増やそうと言う考え方がヨーロッパではあるということがいえるだろう。正直日本では考えにくいことだ。


最近MGさんという方から頂いた「新卒というカードにどれだけの力があるのか自分には分かりませんが、卒業するためだけに、学校という訳の分からない施設に大金を払わないといけないというのは理解できません」というコメントに現れているように(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-376.html#cm)、日本では大学に進学するにあたって金銭的・時間的な負担が大いに求められるにもかかわらず、それによって得られるメリットが乏しいという大問題がある。この1点のみをもってしても日本の就活(この場合「教育と職業との接続」という意味合い)のあり方には欠陥があると言えると思うし、ゆえに現在の就活を擁護する声を理解することが出来ない。そして、この欠陥の背景としては単に大学教育の中身だけでなく、目的意識に欠ける新入生を多く生み出す「18歳で大学に進学する」という「正解」も挙げられると思うので、そうした「正解」にはメスを入れることが必要なのかもしれないと思っている。


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まあ大学進学に限らず日本という国には「年齢至上主義」という宗教(笑)が蔓延っていますからね。

○○歳までに就職が普通
○○歳までに結婚が普通

そうやって生き方が限定されていく。

履歴書だってそう。

本来不必要なはずの年齢記入+顔写真。

芸能事務所のオーディションかよwww

No title

俺もその本読みましたよ、てか持ってます!本の内容も全く尤もだと思える事が多い素晴らしい本だと思います。

>本の著者の矢野眞和さんは「普通の高校生も、一度社会に出て働いてみれば、自分が勉強してみたいことが見えてくるに違いありません。高校を卒業したら、一度社会を経験し、その後に大学に進学する。それが、日本以外の多くの国で見られる進路選択の形です」と述べ、現状の日本の大学進学の実態を批判している。

確か前、スウェーデン関係を調べているときにこういう記述がありました。
「Aさんはバーテンダーから統計分野の学者になりました」

僕はどういう事?理解できない、と思いましたがなるほど、北欧の人は高卒後に皆働くいて大学に行くのね、と。

>即ち「労働力の質を高める」という目的の下大卒者数を増やそうと言う考え方がヨーロッパではあるということがいえるだろう。正直日本では考えにくいことだ

僕がなぜ大学無償化にこだわるのかというと上記の事と全く同じ事を考えているからです。
ある社会保障学者の声を借りれば、「先進国なんだから価格競争で勝とうと思うな。と。
多くの人がより高度な技術を身に着けたりする事で、付加価値の高い産業や企業を多く持つ国になろうよ、と。」
ただそれには日本人が今までの大学に対する考え方を上記のような質の高い人材を作る、という風に変える必要があるし、もっと教育に投資すべきという認識を持つべきでしょうね。
フィンランドがなぜ教育に力を入れるかというと、確か1970年代に不況のどん底で、内閣に高い教育を受けさせる事で増加する生活保護・社会保障費などに対応したいという宣言をしたからなんですけどね・・・・・・




No title

昨日書き込んだコメントですが、この記事へのコメントとしては的外れかもしれないと思い、削除いたしました。
アマゾンを見て、引用されている本の趣旨がわかったのですが、この記事だけではそれはまったくわかりませんでした。
なお、大学の無償化については、やるとしたら、国立大学のみとなると思います。
国立大では現在も貧困家庭の学生は授業料免除になる制度があります。

Re: タイトルなし

> 雨宮 さん

こちらの記事にもコメント有難うございます。

>まあ大学進学に限らず日本という国には「年齢至上主義」という宗教(笑)が蔓延っていますからね(中略)そうやって生き方が限定されていく

そして、その「あるべき生き方」から外れた人はなかなか厳しい状況に置かれてしまいますね。可能な限り「多様性」は担保されたほうが良いと思うのですが・・・。

Re: No title

> takashi さん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

>「Aさんはバーテンダーから統計分野の学者になりました」

ずいぶんジャンルが変わっていますね(笑)面白いです。

>ある社会保障学者の声を借りれば、「先進国なんだから価格競争で勝とうと思うな。と。
多くの人がより高度な技術を身に着けたりする事で、付加価値の高い産業や企業を多く持つ国になろうよ、と。」

こういう発想は大事だと思いますし、そのためには企業内訓練だけでなく大学の役割も重要だと言う認識を持つべきだと思いますね。勿論、現状の大学教育が完璧かと言うとそんな訳は無いので、そこは改善が必要になるはずですが。

Re: No title

> ななしさん

こんばんは、いつもコメント有難うございます。

> アマゾンを見て、引用されている本の趣旨がわかったのですが、この記事だけではそれはまったくわかりませんでした。

アマゾンを見れば、「"習慣病"になったニッポンの大学」がこの記事で取り上げた「18歳主義」への批判だけでなく、「卒業主義」「親負担主義」も批判していることが分かりますね。ただ、この記事を書くにあたって必要だったのは「18歳主義」のところだけだったので、そこの議論だけ抜き出しました。

>国立大では現在も貧困家庭の学生は授業料免除になる制度があります

そうなんですか、知らなかった・・・。教えてくださり有難うございます!

No title

そうですよね。受験生当時のことを思い出しても【何をやりたいか考える】ことよりも【いい大学にストレートで入学する】ことが圧倒的に重視される空気でした。私もどちらかというと受験生時代はこの考えで、ただひたすら受験勉強をしているタイプで、HNの通りもともと理工志望だったにも関わらず、偶然現役で1ランク上の文系学部に理系入試で合格してしまったため、浪人を避けて入学し、在学中はほとんどその専攻について勉強する意欲が沸きませんでした。

まあこんなのは私の自業自得といえばそれまでなんですが、「じゃあ転部でもするか」「再受験するか」ということを安易に実行に移すだけの余裕がないのも事実で、進路変更にかかる時間というリスクを考えると、このまま惰性でストレート卒業するのが就職に対して最も無難な選択だという結論に至りました。

大学入学時は留年したりさぼりがちな人が不思議で仕方なかったんですが、実際に4年間通ってみると、ストレート肩書きのための我慢競争を何百万もかけてやっているのもなかなかどうなのかなあと思う次第です。言い方が悪いかもしれませんが「そりゃあ学生もやる気なくすわな…」と。

もう少しじっくり考えたり学んだりすることが許される社会になったらいいなあと思いますね。

Re: No title

> 文転就活生さん

こんばんは、いつもコメントありがとうございます。

>そうですよね。受験生当時のことを思い出しても【何をやりたいか考える】ことよりも【いい大学にストレートで入学する】ことが圧倒的に重視される空気でした

まぁ、僕もそうでしたけどね(笑)僕は結果的に第一志望の大学・学部に進学できたので「良い大学」「
学びたい分野」を両立することができたのですが、今受験の時を思い出してみると、優先順位は「学びたいこと」よりも「大学名」の方が上だったと記憶しています。なかなか情けない話です(笑)

>もう少しじっくり考えたり学んだりすることが許される社会になったらいいなあと思いますね

最新記事でも取り上げた畠山勝太さんの「高等教育の量的拡大はどのように行われるべきか? (http://synodos.livedoor.biz/archives/1973146.html)」という記事に「大学新入生に占める社会人学生の割合」のグラフが載っていますが、日本は他国と比べてかなり低かったですね・・・。

No title

畠山氏についてはもうこのブログで論じるつもりはないのですが、その記事を読むと、畠山氏は大学進学は18歳がよいと考えているようです。一番下の方。

>さらに、社会人入学を拡大させる事で高等教育就学率の向上を図るのではなく、より多くの18歳人口を高等教育へと取り込んでいく方法の模索が行われなければならない。

畠山氏は大学教育の卒業者への経済効果を論じているので、大学は18歳で進学、新卒で就職するのが一番経済効果が高い、ということになります。

もちろん、社会人の大学進学を否定しているのではなく、教育政策としては、18歳での進学が経済効果が高いのでよい、と氏は考えていることがわかります。

また、どうしてもわからなかったサービス系ですが、あちこち読んでやっとわかりました。
要するに、看護や幼児教育(保育士、幼稚園教諭)の学部のようです。雇用には直結しているけれど、結婚してやめる人が多く、女性自身への経済効果が低い。

つまり、女性については、女性は大学へ行く以上、高給取りになれる学部へ行かなければならない、そうすることで、日本の経済効果があがるはず、という論理であると理解できました。(つまり、個々の女性の就活問題とはあまり関係がない。)

個人的には、私は進学の時期や卒業の時期、就職の時期が一律であることには反対で、また、女性を高給取りにして女性の平均賃金を上げるために女性を理系へ、という考えもあまりいい感じを受けないのですが、このあたりの基本的な考え方の違いが、畠山氏への反発として出ていたのだとわかりました。

以上、お騒がせしましたが、私自身、この件については決着がつきましたので、ご報告しました。

Re: No title

> ななし さん

こちらの記事にもコメントありがとうございます。

>>さらに、社会人入学を拡大させる事で高等教育就学率の向上を図るのではなく、より多くの18歳人口を高等教育へと取り込んでいく方法の模索が行われなければならない。

畠山氏は大学教育の卒業者への経済効果を論じているので、大学は18歳で進学、新卒で就職するのが一番経済効果が高い、ということになります。

これは「高等教育の量的拡大はどのように行われるべきか? 」という記事に書かれていることですね。

>また、どうしてもわからなかったサービス系ですが、あちこち読んでやっとわかりました。
要するに、看護や幼児教育(保育士、幼稚園教諭)の学部のようです。雇用には直結しているけれど、結婚してやめる人が多く、女性自身への経済効果が低い

ご指摘ありがとうございます。「Education at a Glanceから見る日本の女子教育の現状と課題」という記事に載っている「サービス系学部卒業生に占める女性の割合」というグラフを見ると日本は約9割であることが分かり、ずいぶん女性率が高いなと思っていたのですが、こうした学部ならそれも納得ですね。

>つまり、女性については、女性は大学へ行く以上、高給取りになれる学部へ行かなければならない、そうすることで、日本の経済効果があがるはず、という論理であると理解できました。(つまり、個々の女性の就活問題とはあまり関係がない。)

個人的には「女性については、女性は大学へ行く以上、高給取りになれる学部へ行かなければならない」という箇所について、畠山さんは「行かなければならない」とまでは考えていないのではないかと感じています。せめて、もう少し理系とかに進学する割合を増やそうという話をしているのだと思っています。

>以上、お騒がせしましたが、私自身、この件については決着がつきましたので、ご報告しました。

いろいろ資料を調べて下さり、且つ僕の記事の内容を補足して下さり有難うございました。

No title

俺の知ってる中では20代後半や30代の学生もそこそこいましたが、それでも確かに圧倒的少数でしたね

個人的には年齢というのも重要な要素なので、そこでフィルターをかけるのは特に問題ないと感じます

只、そこは理解できるのですが、それを論拠にするのであれば、同じ年齢なら①大学受験浪人、②留年、③既卒、④その他全てを平等に扱うべきだと思います

それぞれ性質に若干の違いはあるものの、そこまで致命的な差はないように俺は感じるのです

Re: No title

> カクさん さん

こちらの記事にもコメントありがとうございます(こちらの記事http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-381.htmlでのリチャードさん・ナナシさんへのコメントに対する返信は控えておきます。僕宛じゃないので笑)。

>個人的には年齢というのも重要な要素なので、そこでフィルターをかけるのは特に問題ないと感じます。只、そこは理解できるのですが、それを論拠にするのであれば、同じ年齢なら①大学受験浪人、②留年、③既卒、④その他全てを平等に扱うべきだと思います

これはよくある「同じ年齢でも既卒になった人は企業にエントリーできなくて、留年して大学に残った人がエントリーできるのはおかしい」という訴えと共通する問題意識ですね。僕もこれには賛成です。
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