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「ノンエリートの働き方論」を考えるにあたっては、海老原嗣生さんの文章を読むのが良い

ポストセブンの「今年は"ノンキャリ正社員"という働き方が話題集めると識者」という記事で、常見陽平さんが「2013年は"ノンキャリ(ノンエリート)正社員"が話題になる」、「職務を限定した正社員という働き方が出てくるかなと期待しております」とコメントしている。常見さんは去年「僕たちはガンダムのジムである」という本を出して、問題提起の力点を就活から働き方論、特にノンエリートの働き方論にシフトしている感がある。


ただ常見さん以前にも、こうした議論は既に問題提起されている。例えば、海老原嗣生さんは2010年時点で「若者はかわいそう論のウソ」という本の中で、「大卒総合職」と「非正規・派遣」の中間にある「正社員体系」を導入するべきだと主張している。「職員」だとか「テクニシャン」だとか、恐らく名称は何でも良いのだけれど「そこまで出世はしないし、給料もそれほどでもないけれど、職務はきちんと決まっている正社員枠」の導入を提案しているのだ。


僕は海老原さんの意見の方向性には賛成なのだが、同時に海老原さんの「大卒総合職があって、その他は何もなくて、いきなり非正規・派遣となる」という記述には違和感を覚えた。具体的には「その他は何もなくて」というところが引っかかったのだが、この違和感を解消したのが渡邉正裕さんの「"一般職を選ぶ男性"問題の答え」という記事だった。この記事では、三菱東京UFJ銀行の「転勤なしのAP(エリアプロフェッショナル)職」の例が紹介されている。これは、かつて全員が女性だった「一般職」に該当するものであり、これは国家公務員でいうところの「国家2種(今は国家一般職)」に相当するようなものらしい。2009年入社1500人のうち約1000人がAP職で、その内男性も約100人いたそうだ。上述のとおり、この枠が「かつて全員が女性だった」ことを考えると、かなりの男性がこの枠に参入してきたと評価できるのではないか。


また、渡邉さんはJR東日本の例も紹介している。2008年4月の入社でいうとキャリア200人のほかに、鉄道事業配属(つまりノンキャリ)として社会人含め約1200人も採用されているというのだ。この枠は高卒、専門学校卒が占めることが多いらしいのだが、現在ではこの枠の約3分の1は大卒が占めているそうだ。勿論、海老原さんが言うような「総合職と非正規の中間がない」会社もあるだろうけれど、渡邉さんが紹介したように会社が既に「ノンエリート枠」を導入し、そこに男女問わず、あるいは大卒か高卒であるかを問わず、その枠で働くことを望む人材が参入していっている事情もある。


渡邉さんの問題意識は「"転勤したくない、安定した大企業で働きたい"という需要を持つ人はいるが、その需要に応えるコースを会社が用意していない」ことにある。その上で「"総合職=一生転勤族"というカルテル的な戦後の一億総玉砕体制から抜け出し、転勤ナシの総合職、転勤しなくても出世できるというコースを作る」ことを提言している。特に「転勤しなくても出世できるというコースを作る」という主張は、海老原さんの「そんなに出世しない枠を作ろう」という主張とあまり馴染まないもののように思われるが、それでも両者の問題意識として「皆が、転勤がつきものの"総合職"として働かざるを得ないような環境はおかしい」というものは明らかに共通している。ちなみに、渡邉さんの記事も2010年に書かれたもので、約3年前の時点でこの問題が議論の遡上に乗ったことが伺える。


加えて、現在は既にこうした枠を設けることの問題点も議論されている。海老原さんは欧米型の会社の例を参照した上で、ノンエリート枠を作るとその枠で働く人の労働意欲が低下しがちになるという問題点を指摘している。この指摘に加えて、渡邉さんが紹介した三菱東京UFJやJR東日本で「ノンエリート」として働く人の労働環境・モチベーションはどのようになっているのか。あるいは、三菱東京UFJにしてもJR東日本にしても「大企業」な訳だが、中小企業でも同じような仕組みを導入することができるのか。「ノンエリートの働き方」について考えるというのは、こうした疑問点を突き詰めて考えていくことを意味するのだと思う。


ところで、ポストセブンの記事で常見さんが「昨年、"僕たちはガンダムのジムである"(ヴィレッジブックス)という書籍を発表し、おかげ様で話題になったのですが、"ノンエリート論"としてご評価頂きました」と述べているが、常見さんがこの書籍で述べたノンエリート論と、海老原さん・渡邉さんが述べるノンエリート論は異なる。「僕たちはガンダムのジムである」で語られているのは所詮「ノンエリートの俺はこんなことを考えて、リクルートやバンダイ、そして作家として生き延びてきたんだ!」という常見さんの自分語りであり、会社にノンエリート枠を導入すべきという構造的な話はされていないので・・・。この記事を書くにあたって改めて「僕たちはガンダムのジムである」を読み返してみたけれど、やっぱりただの駄作としか思えない(笑)そんな訳で、「ノンエリート論」について考えを深めたいと思う人は海老原さんの記事を読むことを薦めたい。常見さんは・・・特になにもしないのが一番の貢献なのではないでしょうか(笑)


「そこまで出世はしないし、給料もそれほどでもないけれど、職務はきちんと決まっている正社員枠」の導入に賛成だという考えに共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします。
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大卒ノンエリートは国家公務員では良く見られますが、民間企業にはあんまり広がってないですね。
働き方の多様性が広がるので、ノンエリート枠を大卒にも開放する動きがもっと高まってほしいと感じます。現状のノンエリート正社員枠は高卒や専門卒が主流ですし。

記事にはなかったですが、新日鐵も大卒をキャリアとノンキャリアの両方で採用してますし、三菱重工業も今後大卒ノンキャリアを採用する予定です。

Re: タイトルなし

> かむむかさん

こんばんは、いつもコメントありがとうございます。

>記事にはなかったですが、新日鐵も大卒をキャリアとノンキャリアの両方で採用してますし、三菱重工業も今後大卒ノンキャリアを採用する予定です。

知らなかったので、この情報提供はとても嬉しいです!ありがとうございます。新日鐵におけるノンキャリアの働き方がどうなっているのかも気になりますね。
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