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「今の就活生は、何十社もエントリーする」という表現は誇張なのか

常見陽平さんの「内田樹氏とライフネット生命 新卒採用に関する2つの問題提起は雲泥の差」という記事が少々話題になっている。この記事の内容を一言で言うと「内田樹さんの主張は根拠がなく、それに対してライフネット生命はデータに基づいて主張しているから、後者の方が優れている」というもの。


twitterを見ると、「スッキリ納得できる論調」、「この時代はファクトをしっかり把握しないと知識人(?)はダメなんだなぁと思う」というように常見さんの記事を好意的に評価する声がいくつか見られ、それに対して否定的な意見はほとんど見られなかった。かくいう僕は常見さんの記事を読んで、いつも通り「相変わらず変なツッコミしてるなぁ・・・」と感じている(笑)


例えば内田樹さんのインタビュー(http://www.asahi.com/job/syuukatu/2014/hint/OSK201301040041.html)における「就活をしない若者たちは、概して無欲です。車やバイクも洋服もいらない。海外旅行もしない。ミシュランの星つきフレンチで高いワインを飲みたいとも別に思わない」という記述に対して常見さんが「若者が無欲であることについて述べているが、まったくエビデンスが無いので何を言っているのかわからない。(中略)当たり前だが"無欲"なのと、"お金がなくて消費できない"のはまったく違う」と反論している箇所。反論の前半部は間違っていないと思うけれど、内田樹さんが「就活をしない若者」の話をしている一方で、常見さんが「若者全体」の話をしているので話が噛み合っていない。常見さんが言うような「お金がないから消費できない」と困っている場合ならむしろ就活をして生計を立てられるようにするはずで、やはり就活をしない若者は「消費するためのお金」を得ようとしていないという意味で無欲だと言えるのではないか。


他にもいくつか変だと感じた箇所はあるのだが、今回メインに取り上げるのは常見さんの記事における次の記述。

冒頭から「何十社、何百社とエントリーする」などとあるが、まず、これは違う。就職ナビによる採用の時代となり、エントリー数などが肥大化したのは事実だが、さすがにこれは誇張だ。

誰でもわかるが、何百社もエントリーしません。何十社というのもやや誇張だ。そして、これは「プレエントリー」であって、「エントリー」ではない。「2013年卒 マイナビ学生就職モニター調査 4 月 の 活 動 状 況」によると、2013年卒の学生が大学3年の3月末時点でプレエントリーした数は62.7社であり、そのうちの39.8社は最初の月にプレエントリーしたものだ。就職ナビがオープンした際に知っている企業を中心にポチポチと押していったものだと想像される。実際、エントリーシートを書いた数は、同調査によると大学3年の3月時点で5.6社だ。学生にとって就活が、企業にとっては採用が肥大化しているのは事実であり、その背景には就職ナビによる採用の時代になったこと、学生の数が増えたことなどがあげられるが、内田樹氏が言うほどには膨張していない

これは内田樹さんの「何十社、何百社にエントリーし、勝ち抜いた者が成功者で、負けた者は二十歳少し過ぎたところで人生の敗残者、というような競争にさらされてきた先行世代を見て、揺り戻しが来ている」という記述に対する反論。さすがに「何百社もエントリーしません」というツッコミは妥当だと思うけれど、「何十社というのもやや誇張だ」という記述には違和感を覚える。


過去記事「"100社受けてすべて落ちた"というフレーズにおける"100社"に"プレエントリーした会社"も含まれる?」でも触れたけれど、どうも常見さんは「世間で言われるほど、就活生は大変じゃない!」という論証に力を入れているように思える。事実、常見さんは以前webronzaの記事で次のように述べていた。

例えば、「100社受けてすべて落ちた」という報道をよく目にするが、たいていは就職ナビサイトでクリックしてプレエントリーしただけの数であり、多くは就活を始めた最初の月に集中している。つまり、「とりあえず応募してみた」程度の数字がひとり歩きをして、「何十社受けても内定をとれない」という話になって広がっているのだ(http://astand.asahi.com/magazine/wrbusiness/2012080900009.html?iref=webronza)。

勿論「就活生に必要以上の保護を与える必要はない」という考えからこういう方向性の論証をすることは問題ないと思う。しかし僕の考えでは、この常見さんの主張の場合は肝心の論証の中身が終わっているところが問題である(笑)


苛立ちの一番の理由は、常見さんが内田樹さんへの反論の根拠として「2013年卒 マイナビ学生就職モニター調査 4 月 の 活 動 状 況」を持ち出していることだ。これは「2012年4月25日~2012年5月1日」に「2013年卒業予定の全国大学4年生及び院2年生」を対象に行われた調査。つまりタイミング的に言えば、大手企業内定者やその他一部の例外でもない限り、まだまだこれから活動量を増やしていくであろう段階で行われた調査なのだ。仮に就活生皆が一律に大学4年生の4月に就活を止めるならばこの時期までの活動量に注目するのは分かるけれど、勿論現実はそうでないのだから、常見さんの論証に一体どんな価値があるんだと思ってしまった。


どうも僕には分からないのだが、マイナビが発表しているデータの中には「2013年卒学生」を対象に「2012年10月29日~11月9日」に調査が行われた「2013年卒学生の現状調査」というものがある、つまり常見さんが触れたデータよりもはるかに新しいデータが存在するのになぜそちらを見なかったのかが気になる。このデータを見ると、確かに就活をさほどしていない層の存在も確認できるけれど、一方で数十社「面接」を受けてもなお内定をもらえていない層も一定数いることも分かる。


加えてアンケートには「これまで何社の面接を受けましたか」という設問があるのだが、面接が書類選考を通過した後に行われることが多いことを鑑みると、数十社の「選考」を受けて落ちた人の数は数十社「面接」を受けた人の数よりも多いことが推測できる。また、こういうことを言うとキリがなくなるかもしれないが、就活に奔走している人はそもそもこんなアンケートに答えている余裕などないので、実際にはアンケートの数字以上に何十社もの選考を受けている人はいると考えて良いと思う。あれ、常見さんのwebronzaの記事には「プレエントリーしただけの数が独り歩きして、何十社受けても内定をとれないという話になっている」と書いてあったはずなのだが、一体どういうことなのだろう・・・。


さすがに、「就活生皆が、数十社受ける」というのは嘘だろう。また、何十社受けても内定を取れない就活生の場合、単に就職が厳しいという事情だけでなくその就活生自身に足りないところがあることも考慮すべきだろう。しかし、常見さんのように「数十社受けても、それはプレエントリーした会社を含めてるんだって!」と言うのはおかしくないだろうか。そもそも僕は「今の就活生は、何十社もエントリーする」という表現を誇張だと考えないが、仮にこれが誇張といえるとしても、少なくとも常見さんのいうようなアプローチが説得力を持たないことには変わりない。


「今の就活生は、何十社もエントリーする」という表現は誇張とはいえないという考えに共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします(コメントは今夜まとめて返します!)
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Re: No title

> 非公開コメントをくださった方へ

はじめまして、コメントありがとうございます。内容的に非公開という形でコメントを投稿されたのは正解です。これを公開するのは少々厳しいので(笑)僕だけでなく、適切な機関にチクっちゃって良いんじゃないですか。これが本当のお話だとしたら、どう考えてもおかしいですし。


ちなみに、「僕たちはガンダムのジムである」という本にこのような記述がありました。

贅沢はしていないつもりだけれど、高い物件ではないがマンションは買ったし、クルマも持っている。発泡酒ではなくビールを飲みたい(「僕たちはガンダムのジムである」p.183)

あと宜しければ、「就活関連の論者の文章を即座に鵜呑みにすることなく、きちんと評価することが必要だ(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-372.html)」という記事も読んでみてください。恐らく問題意識がさらに深まると思います。





常見陽平の記事は的外れ!

 今回、自分も記事を書いていましたが常見陽平の内田樹の批判は間違いだと思いますよ。

http://www.nogakureki.com/archives/22846558.html

 自分も思うのだが内田樹のように就職活動で適性とか転職というかVocationとかCallingなどというものは簡単には分からない。

 常見陽平は何か勘違いでDisっているのが間違いだ、とは思いましたね。

 内田樹がいいたいのは就職活動で新規一括採用で人生を決めるな!ということであって別の人生もあるのだ、ということだと思うんですよね!

Re: 常見陽平の記事は的外れ!

> ドクター・ロッキーさん

こんばんは、いつもコメントありがとうございます。

>自分も思うのだが内田樹のように就職活動で適性とか転職というかVocationとかCallingなどというものは簡単には分からない

この辺のくだりに関しては、常見さんも内田さんと同じようなことを言っていたりします(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-272.html

> 内田樹がいいたいのは就職活動で新規一括採用で人生を決めるな!ということであって別の人生もあるのだ、ということだと思うんですよね!

内田さんが言いたいことは確かにそういうことなんでしょうけど、常見さんはこれを「強者の論理だ」と評しているわけですよね。それならば今後常見さんが思う存分「弱者のための論理」を展開するはずなので、それに期待しましょうか(棒)

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Re: タイトルなし

> 非公開コメントをくださった方へ

はじめまして、コメントありがとうございます。

>「このようなことをしなければ、前に進む気持ちを自分で保てない」就活生もたくさんいるという現状を知って欲しい

この非公開コメントにおける主張は、まさに僕が最新記事(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-415.html)で記した内容と合致したものだと思います。本記事がこのような現状を周知させることに少しでも役に立てば幸いです。




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