スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「大卒のリストラは、もっとも多かった年でも4万人」という発言は正しいのか?~労働力調査を確認してみた~

こちらの記事のコメント欄(http://lingmu12261226.blog10.fc2.com/blog-entry-406.html#cm)で「11卒業務未経験無職」さんが紹介した現代ビジネスのページによると、海老原嗣生さんは「いわゆるリストラ、つまり会社事情による強制退職は、最も多かったリーマンショック後の2010年でも、大卒の就労者で4万人なんです」と述べている(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33808)。


この発言の根拠は、内閣府が出している労働力調査のデータという。そこで実際にデータを確認してみたところ、本当にこの発言は正しいのだろうか?という疑問が浮かんだ。「会社事情による強制退職は、最も多かったリーマンショック後の2010年」、「大卒の就労者で4万人」という発言、どちらも誤っているのではないかと感じたのだ。


海老原さんが労働力調査のどの項目の数値を見て「リストラ、つまり会社事情による強制退職」した人数としているのかというと、それは「人員整理・勧奨退職」という項目だと思われる。実際に海老原さんは、著書「若者はかわいそう論のウソ」の中で、城繁幸さんへの反論としてこの項目を参照した上で「大卒男性のリストラは年間3万人に過ぎない(これは「平成20年」の労働力調査を根拠としている)」と論証しているからだ。そこで僕も労働力調査におけるこの項目の数値を見たところ、海老原さんの発言に違和感を覚えたというわけである。


まず、前者の「会社事情による強制退職は、最も多かったリーマンショック後の2010年」について。会社事情による強制退職は2010年が41万人なのに対して、その前年の2009年が49万人となっている。2009年の数値は「平成21年 労働力調査年報」における「II-A-第15表 前職の離職理由別離職した完全失業者数」の「人員整理・勧奨退職のため」という項目を(http://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2009/)、2010年の数値は「平成22年 労働力調査年報」における「II-A-第15表 前職の離職理由別離職した完全失業者数」の「人員整理・勧奨退職のため」という項目を見れば確認できる(http://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2010/index.htm。これらを見比べると、会社事情による強制退職が最も多いのは2010年ではなく、2009年といえる。


続いて、後者の「(2010年にリストラされたのは)大卒の就労者で4万人」について。そもそも2010年にリストラされた大卒・大学院卒の人数は4万人ではなく7万人のはずである。これは「平成22年 労働力調査年報」における「II-B-第13表 世帯の種類・教育・年齢階級・失業期間,求職理由・仕事につけない理由別完全失業者数」を見れば確認できる。加えて、2009年にリストラされた大卒・大学院卒の人数は8万人となっている。これは、「平成21年 労働力調査年報」における「II-B-第13表 世帯の種類・教育・年齢階級・失業期間,求職理由・仕事につけない理由別完全失業者数」を見れば確認できる。従って、この点にも誤りがあるように思える。


さらに注意すべき点は、例えば「平成22年 労働力調査年報」における「II-A-第15表 前職の離職理由別離職した完全失業者数」のエクセルデータを見てみると、但し書きとして次のような記述が見られる。それは「離職した完全失業者とは、前職のある完全失業者のうち、前職を辞めたことを理由として求職している者」というものだ。つまり、この数値には「会社にリストラされた後、求職していない人」は含まれていないといえる。実際そのような人がどのくらいいるのかは分からないが、少なくとも労働力調査のデータで確認できる数字が全てではないということはいえると思う。


このように海老原さんの発言には疑問が残った。一方で海老原さんが「そこ(「人員整理・勧奨退職」の項目の数値のことか?)に、早期優遇退職で辞めた人を含めるかどうかという問題もあります。会社にとってはいてほしい有能な人が、高い金をくれるからという理由で、早期優遇退職で出ていっちゃうケースも多い。リストラじゃなくて、本人希望で辞めてしまう」と述べているように(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33808?page=2)、労働力調査における「人員整理・勧奨退職」で辞めた人のすべてが苦しんでいるとは限らないという点に関しては海老原さんが正しいと思われる。


また、「11卒業務未経験無職」さんが海老原さんの発言に対して述べた「posseの調査で若者の場合、自己都合退職の中でも解雇等に値するケースがかなりあると指摘されています」という発言に関しても、海老原さんを擁護したほうが良いのかなと感じている。というのも、海老原さんが述べているように「内閣府が出している労働力調査は、企業ではなく個人に聞いたデータ」であるからだ。つまり、解雇に近い自己都合退職をしたと感じている人は、労働力調査に回答するにあたって「"人員整理・勧奨退職"で辞めた」と答えるはず。そして上述したように、海老原さんは労働力調査における「人員整理・勧奨退職」の数値を見て大卒でリストラされた人数としているわけなので、海老原さんが言う「大卒の就労者で4万人なんです」には「11卒業務未経験無職」さんが指摘する「解雇等に値する自己都合退職」が既に含まれていると言えるのではないだろうか。


以上、労働力調査を確認することを通じて海老原さんの発言を検討してみた。もし興味があれば、リンクに飛んで労働力調査の数値を実際に見て、僕の記事の内容も確認していただけると嬉しい(笑)


「大卒のリストラは、もっとも多かった年でも4万人」という発言は正しいのか?という疑問に共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします(※すみません、この記事を書き上げたのは昨夜で、この記事を書いてからコメント返信をしていこうと思ったのですが、力尽きました・・・。コメントの返信・本日頂いたコメントの承認は、今夜可能な限り行っていきたいと思います
にほんブログ村 就職バイトブログ 大学新卒の就職・就職活動へ
にほんブログ村  
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

自分は、POSSEの調査は本人は自己都合退職と思い込んでいるが、色々話を聞いてみると実はそうではなかったという人が多い事を表している調査だと思っています。
そのため、そういった人は、本人からの申告でも自己都合退職にしているのではと思います。
例えば、この調査について書かれているPOSSEのブログの記事(http://blog.goo.ne.jp/posse_blog/e/88a7b4c6061b957f3e175115ac84ca91)の中に、(前回のコメントでは、東京都の労働相談のurlよりもこれを貼っておくべきでしたが)

POSSEが行った調査は、ハローワーク前で200人に対し聞き取りを行ったもので、離職の経緯や理由に加え、職場の状況もしつこく聞き取ったものです。
回答者自身が違法状態を違法状態として理解していない場合もあるので、単に違法状態の有無を聞くのではなく、一つ一つ細かく労働状況を聞いています。
たとえば、「残業代の未払いはありません」と答えた人の労働時間と手取りから明らかに賃金が低い場合、「残業代はどのように払われていましたか?」と聞くと、「営業手当として毎月きちんともらっていました」と回答されることがあります。
その金額と残業時間から、残業代の未払いを割り出すなどして違法状態の有無を一緒に確定していきます。この調査は用紙を配布して記入してもらう方式では無理ですし、聞き取りも日頃から労働相談に関わっている者でないと恐らく無理な方法です。
そうして違法状態を確定した上で整理した結果が下記の通りです。「自己都合退職」のうち、やむを得ない事情を抱えた人や職場に違法状態があった人を除いていくと、確実に「自己都合退職」だと言える人はわずか15%に過ぎないことがわかります。

と書かれています。
この事からも自分では自己都合退職だと思い込んでいるが、そうではないと思っている人が多いと解釈できるのではと思います。

もしかすると、自分がPOSSEの調査内容やlingmuさんの記事を良く理解せず書いている可能性があるので、その際は、また指摘して頂けると幸いですw

No title

コメントした文章を読み返してみたらおかしなところがあったので、承認時に修正して頂けるとありがたいです(修正後、この2回目のコメントは消して頂けると更に有難いです)
この事からも自分は自己都合退職だと思い込んでいるが、そうではないと思っている人が多いと解釈できるのではと思います。
→この事からも自分は自己都合退職だと思い込んでいるが、そうではない人が多いと解釈できるのではないかと思います。

No title

>つまり、解雇に近い自己都合退職をしたと感じている人は、労働力調査に回答するにあたって「"人員整理・勧奨退職"で辞めた」と答えるはず

11卒業務未経験無職さんが指摘しているのはこの部分ですね。
11卒さんのリンク先の記事には続きが2つあって、そこを読むと、ブラック環境にいる人は勤め先がひどくてやめても、自己都合だと思い込んでしまう、と書かれています。

私は非常勤講師という、アカデミズムのブラック環境にいますが、思い当たるふしは自分にもありますね。

もっとも、今回の記事は、海老原氏の数字やデータの使い方がいいかげんである、ということの1つの証拠の話なので、数字とデータ以外の話は別にした方がいいかと。

Re: No title

> 11卒業務未経験無職 さん、ななしさん

返信が遅くなり、申し訳ありません。ここで記事本文の補足をするという形をもって、まとめての返信とさせていただきます。

これは記事本文に書いておけば良かったなぁと今になって思うのですが、統計局のホームページで労働力調査の調査票様式を見ることができます(http://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2009/pdf/ap04.pdf)。その4ページ目に「前にしていた仕事をどうしてやめたのですか」という設問があり、その回答形式としては①会社倒産・事業所閉鎖のため②人員整理・勧奨退職のため③事業不審や先行き不安のため④定年又は雇用契約の満了⑤より良い条件の仕事を探すため⑥結婚・出産・育児のため⑦介護・看護のため⑧家事・通学・健康上の理由のため⑨その他の9つの内から一つマークするというものになっています。

「11卒業務未経験無職」さんが紹介してくださったposseの「解雇・退職勧奨事例集」には、例えば「"業績が悪くてどうなるかわからないから次の仕事を辞めた方がよい"といわれ辞める。退職勧奨であるが、自己都合扱いで退職(38歳、男性、化粧品商品管理、正社員)」というものがあります。この38歳の男性は自己都合扱いで退職した訳ですけれども、彼が会社を辞めるきっかけとなった言葉は「業績が悪くてどうなるかわからないから次の仕事を辞めた方がよい」というものだったわけで、そんな彼が労働力調査における「前にしていた仕事をどうしてやめたのですか」という設問に答える際には恐らく「人員整理・勧奨退職のため」のところにマークするのではないか・・・という話をしたのが今回の記事の中身です。

No title

重箱の隅つつきのようで申し訳ないのですが、

①会社倒産・事業所閉鎖のため②人員整理・勧奨退職のため③事業不審や先行き不安のため④定年又は雇用契約の満了⑤より良い条件の仕事を探すため⑥結婚・出産・育児のため⑦介護・看護のため⑧家事・通学・健康上の理由のため⑨その他

この9つをどうやって、会社都合と自己都合に分けるのですか?
完全に自己都合なのは、6と7だけです。
完全に会社都合なのは、1と2だけです。
4の中には雇い止めが含まれ、posseでは、雇い止めは会社都合で、自己都合ではないと書いています。
上の記事の38歳男性の場合、3に丸をつける可能性があります。これはどっちの責任?
5のよりよい条件とは、まさに、給料未払い、サビ残などの違法行為の会社よりもよい条件の会社を探すため、というのが含まれます。
8の健康上の理由は、ブラック企業でうつになったからかもしれません。
そして、9のその他には、セクハラ、パワハラなど、さまざまなものが含まれます。
3,4,5,8,9は、この調査票ではどちらの都合かわかりません。

Re: No title

> ななし さん

こんばんは、いつもコメントありがとうございます。

>この9つをどうやって、会社都合と自己都合に分けるのですか?

記事本文で取り上げた「II-A-第15表 前職の離職理由別離職した完全失業者数」の「非自発的な離職」の数字を見る限りでは、これは「定年又は雇用契約の満了」+「会社倒産・事業所閉鎖のため」+「人員整理・勧奨退職のため」+「事業不審や先行き不安のため」を合計したものと捉えて良いのかなと思っています。若干計算が合わないのですが・・・。

なお、「調査票の記入のしかた(http://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2009/pdf/ap04.pdf)」というものを確認すると、「前にしていた仕事をどうしてやめたのですか」という設問には「主な理由1つにマークする」という形で回答することになっていることが分かります。どの項目にマークするかは恐らく回答者の主観に拠るので、曖昧な離職理由を持つ人がどの項目にマークするか、正確なところは分かりません。ただ主な理由1つにマークするという形で回答するならば、posseの解雇・退職勧奨事例集(http://www.npoposse.jp/images/09questionnaire02.pdf)における「02」、「04」のケースにあった人なんかは「人員整理・勧奨退職のため」をマークするのだと思います。
main_line
main_line
ブログランキング
おかげさまで、ブログ村の「就職バイトブログ」のカテゴリで「1位」を取ることが出来ました。この場を借りて、お礼を申し上げます。これからも記事を多くの人に読んでいただけたらと思いますので、もし宜しければ、今後ともランキングへのご協力を宜しくお願いいたします。
RSSリンクの表示
follow us in feedly 
最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
リンク
FC2カウンター
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
プロフィール

Author:lingmu
FC2ブログへようこそ!

最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。