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ブラック企業で働いていく内に疲弊した人に対して「なんで、会社に抗議するための行動を起こさないんだ?」と問いかけることの残酷さ

昨日時事通信で、王将フードサービスの社員で現在休職中の人が「長時間労働でうつ病になった」として、会社に対して休業損害や慰謝料など約2300万円の損害賠償を求める訴えを起こしたというニュースが載っていた。時事通信によると、この社員は「うつ病発症の直前6カ月の時間外労働が1カ月あたり平均約135時間」、「1日10時間を超えた分の労働時間は賃金に反映されない仕組み」という労働環境の中で日々の仕事に従事していたという。労働基準監督署も昨年、長時間労働などとうつ病発症との因果関係を認め、労災認定した。


訴えを起こした社員は、「自分と同じ働き方をしている人は他にいる。会社に職場環境の改善をしてもらいたい」と時事通信に述べている。つまり、うつ病を発症してもおかしくない労働環境の中で働いている人は他にもいるわけだが、現実として、会社に対して抗議しているのはこの社員以外にどれだけいるのだろうか。もしいないとすれば、なぜ彼ら・彼女らは過酷な労働環境に関して会社に対して抗議しないのだろうか。勿論中には「別に、このくらいの仕事量なら全く問題ない」というタフな人、「仕事は大変だけど、やりがいがすごくあるから会社に対して不満はない」と考える人はいるかもしれないけれど、一方で会社に不満を持つ人もそれなりにいるはずではないか。


この点、常見陽平さんは著書「僕たちはガンダムのジムである」で、サービス残業を受け入れている人に対して「"とはいえ、みんなサービス残業しているし・・・"という人もいるだろう。"これが普通だ"と思っている人もいるだろう。それではダメなのだ。言ってみれば、ブラック企業の洗脳手法はまさにこれである。サービス残業にしろ、パワハラ的コミュニケーションにしろ、過酷なノルマにしろ、企業は"世間ではこれが普通だ"と思わせるのが上手である」と述べている。これはつまり、企業が社員を洗脳し、その結果として企業への抗議の声が封じられるに至っている側面があるという話だ。常見さんは別の記事で、自分の目の前にあるブラックな労働環境をなんとなくスルーすることを批判した上で「行こうぜ、労基署の向こうへ!」と記事を締めている(http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121127-00000311-agora-soci)。


このような議論が間違っているかというとそうでもないのだが、それでも次のツイートと見比べてみると非常に薄っぺらいものに感じられる。これは、自分の会社の労働環境に違和感は覚えているけれども、その違和感を解消するための行動が取れないのは決して「サービス残業は社会では当たり前なんだ!」と会社から洗脳されているからではなく、単に行動を起こすだけの力が残っていないという話だ。このツイートにはという賛成意見も寄せられている。


時事通信の記事に寄せられたヤフーのコメント欄の中にも「昔は、長時間労働で鬱、自殺、というニュースを聞いてもそんなに辛いならなんで辞めなかったんだ?とピンとこなかったけど自分がそういう会社で働く事になって、初めてわかった。死にたいなんて全く思ってない。なのに、疲れきった脳が楽になろうとする。親の顔が浮かんで足を踏ん張ったけど。訴訟をおこすってことは、脳が楽になろうとする前の段階で自分で気付けたわけで不幸中の幸いというかね」というものがあった。これも「会社で働いていく上で、長時間労働に服するのは当たり前なんだ」と洗脳されているのではなく、単純に長時間労働に服する中で体力・気力ともに奪われて行動が起こせなくなるという方向性の話である。


こうした意見を見てみると、「ブラック企業」と評価して差し支えないような環境で働いている人たちに対して「なぜ、抗議のための行動を起こさないの?」と問いかけたり、「労基署行こうぜ!」と言い出したりするのは、むしろ残酷なことなのではないかと考えた。僕にも言えることだけれど、ただの思いつきでものを言うのではなくて、会社に対する抗議のための行動を起こせない人たちが具体的に何を考えているのか、その心理を理解することがまずは必要だと思う。
 

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