スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「ブラック企業の消費者も加害者である」という言説の正しさと限界

ブラック企業の存在を支えている人は誰か?と聞かれたら、第一に、労働者を劣悪な条件の下働かせる経営者を思い浮かべる人が多いと思う。例えば、現在大いに叩かれている渡邉美樹さんはその典型例と言える。


しかし、ここ最近の記事で明らかにしてきたように、ブラック企業はそこで働く労働者によって支えられているという見方もある。この見方からは、ブラック企業を批判するに際して単に経営者のみを責めるだけでは十分ではなく、場合によっては他の主体の作為・不作為の問題点を指摘することの必要性が伺える。勿論「ブラック企業で働く労働者を責めるのは酷だ」という考えもあり得るが、大事なのはブラック企業の経営者を責めてそれで終わりとすることの不毛さを認識することである。


さらに、posseの「ブラック企業対策会議」に収録されている「もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの"マネジメント"を読んだら」で有名な岩崎夏海さんのインタビューを見ると、また別の視点が浮き彫りになる。それは、まさにこのインタビューのタイトルでもある「ブラック企業の消費者も加害者」というものだ。


岩崎さんは、「自分の会社がブラック企業だとか言っている人が、すき屋で牛丼を食べているわけですよ。それも自分が牛丼を食うことでブラック企業を世に広めているということを知っていながら、でも仕方ないからと言いながら食べている」という行動の矛盾を指摘する。これを受けて岩崎さんは、各消費者がブラック企業と言われるようなところにお金を落とさず、多少値段が高い店を利用する精神がないとブラック企業とは闘えないのではないか?と問題提起する。


岩崎さんと同様の問題提起をしている記事として、藤野英人さんという方の「あなたもブラック消費者になっていませんか? ブラック企業を撲滅するために考えてみるべき課題とは?」が挙げられる。彼は「安さとおいしさ、そして高いサービスを同時に求める消費者」を「ブラック消費者」と規定し、ブラック企業がブラック消費者によって支えられていることを指摘する。その上でブラック企業を無くすために一番簡単な手が「客としてそのような店(ブラック企業)へ行かないこと」であると述べ、一人一人が「ブラック消費者」とならない必要性を説く。


岩崎さんや藤野さんの問題提起の実践を試みた例が、去年ワタミの女性社員の自殺問題が議論になっていた際に掲げられた「ワタミで飲まない会」という運動だ(http://matome.naver.jp/odai/2132992940187141801)。NPO・ライフリンクの清水康之さんはこの運動の意義を「経営者が批判されたところで企業は痛くも痒くもない。どれだけ企業に"高い代償"を負わせることができるか。そこがカギだと思います」、「私たちは消費行動を通して、日本社会における企業の振る舞い(従業員の扱いも含めて)をけん制していくしかないのだと思います。"安いから""便利だから"といった基準でしか、製品やサービスを選べないのであれば、そのしっぺ返しを食らうのは私たち自身です」という点に見出している。


岩崎さんや藤野さんの問題提起、及び「ワタミで飲まない会」の行動から、ブラック企業の存在が消費者によって支えられていることが分かる。ゆえに「ブラック企業の消費者も加害者である」という言説はそれなりに正しさを含んでいると思う。しかし一方で、この言説には限界もあると考える。


その限界とは「ブラック企業で働く人にはお金があまり無いのだから、そうした人たちがブラック企業と言われるところで消費活動をすることを責められるのか?」という問いだ。ブラック企業の定義は相変わらず定まっていないようだけれど、ブラック企業大賞のホームページにある「ブラック企業を見極める指標」の一つに「低賃金」というものがあることから(http://blackcorpaward.blogspot.jp/p/blog-page.html)、ブラック企業の労働者は金銭的に余裕がない状況に置かれていると考えるのが妥当だ。そしてそのような状況下で、岩崎さんが言う「多少値段が高い店を利用する精神」を持っていられるのか?というのが僕が抱く疑問なのだ。


上述のように、岩崎さんはブラック企業を「仕方ないから」と言って利用する人を批判している。しかし恐らく、ここでいう「仕方ないから」という諦念はかなり切実なものだと思う。多少値段が高い店を利用しようとすれば、自分の生活が成り立たなくなるかもしれないのだから。したがって「ブラック企業の消費者も加害者である」という言説を無暗に振りかざすことには同意できない。あくまでも、「多少値段が高い店を利用する」余裕がある人にブラック企業を利用しないことを求めるのが妥当なのではないだろうか。

「ブラック企業の消費者も加害者である」という言説は正しいけれど、同時に限界もあるという意見に共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします
にほんブログ村 就職バイトブログ 大学新卒の就職・就職活動へ
にほんブログ村
このエントリーをはてなブックマークに追加   
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

極端なことをいえば今年のブラック企業大賞にノミネートされた東北大学に通ってる学生もしくはその保護者は授業料などによって東北大学を支えているので全員ブラック消費者だ!退学しろ!みたいなことになっちゃいますね。(消費者ではないけど、この場合なんて言えばいいかわかりません)

追記 僕は学生や保護者を責めるのは酷だと思ってます。
(このコメントが肝心な「自分の意見」を書き忘れていたので補足しました)

No title

「ブラック企業で働く人にはお金があまり無いのだから、そうした人たちがブラック企業と言われるところで消費活動をすることを責められるのか?」という問いに対しては、「責められない」と思う。なぜなら、お金がないのならしょうがないし、どの店に行こうがその人の自由だからだ。
「お金がない人は多少高い店に行くことが難しいから、ブラック企業の店で済ます」という主張もわかる。
しかし、低賃金の人が、「多少値段が高い店を利用する精神」を持っている必要はないと思う。
例えば岩崎さんのいうような「すき家に行かない」のが無理というのは到底思えない。
家に帰ってご飯を食べればいいから。
会社勤めなら、お弁当を持参すればいい。
頻繁にお飲み会が行われたり、誘われた飲み会がブラック企業の店なら、まあその店を利用するのは仕方ないかもしれない。
しかし、たまの飲み会や自分主催の飲み会ならブラック企業の店は十分避けられる。
ゼロは無理でも、回数を減らすことはできる。
結局はその人にブラック企業を避ける気があるのかどうか、という話だと思う。

No title

 低賃金云々を言い出せば、それでは海外から安く仕入れることは結局のところ搾取に他ならないのではないか、という話になっても行き収拾がつかないとおもうんですよね。
 なので単純に「労働法規に違反していないか」ということでよろしいのではないかと思う。
 要するに、ブラックといわれているところの問題は、労働法上の制限を超える就業をさせていたり、実質賃金が最低賃金を下回ったり、労働者に保証する権利を無視していたりとかだと思うので。

 で、こういう問題はちゃんと労基所とか警察に対処してほしい。
 「あそこはブラックらしいから買うのはやめよう」とかは、根拠の確認できない風評による不買運動なので、個人的には賛成できない。(もっとも風評を聞いて結果、そこに行きたくないと思うならそれはそれでよいと思いますが。)

 ただそれが「ブラック企業の消費者も加害者である」とか言い出すと、もはや「その企業はブラックだ」と信じる人による、企業と利用者に対するリンチ以外の何物でもないと思う。この思想はかなり危険では?
 本当にブラック企業のものを買わせないようにする必要があるなら、無辜の大衆を脅すことではなく、暴力団規制法のような規制を制定するなりしてほしいところ。もっともそれ以前に労基法を厳密に適用していけばよい気がしますが。

痛し痒し

ブラック企業へのいわゆる不買運動も、やっぱり痛し痒しありますね。
不買運動で"高い代償"を負わせることができても、そこで働いているとはいえ罪の無い従業員にまで打撃を与えてしまうことにならないか・・というのは個人的にありました、
そして今回提起されていますように収入的な理由で選択肢を選べない消費者に
「~ねばならぬ」とお金のかかる選択を迫るのもどうかというのもわかります。
また、余裕のある人でも、店がブラックと言われるような店であっても(客として行く限り)この店の料理が好物で仕方が無いんだ!という人も居られるかもしれません。

が、個人的にはブラック企業とわかっている企業(の経営者)にはお金を落としたい気はしませんし、
ツイッターなんかで例えば「餃子の王将で食事してきたー」などと人が書いているのを見た日には
そういうツイートに「世の中をディストピアにしたくなかったらそういう店で食事はしないほうがいい」とコメントしようかどうか悩むくらいです。

口に入るものを買うにしましても、"安いから""便利だから"の類以外での尺度として、
近年なら「食の安全」的な意味でスローフードにお金をかける、フェアトレード商品、
また東日本大震災以後こそ、被災地で作られたものを意識して買うなどありますが
手前の都合ばかりでなく、売る側(特にそこで働く従業員)にとって適正にやっていける価格設定かどうかも、
意識していきたいところではあります。

はじめまして

低価格という万人にとってもっとも有効な効果を
提供しているサービスって強いなって思う

個人的には不買行動は日常的なもので
無駄なものは消費しないことで淘汰していきたいと
考えて行動しているんだけど
それは所詮自己満足です

岩崎さんの指摘は評論としては理解できますが
まあ評論なんですよね
だから現実世界を語る際に実効性に疑念が出る

正しいかどうかと実際の行動は相反する場合もある
生活事情も人それぞれだしね

やっぱり限界があるね

No title

結局この問題は「健全な労働環境」という社会規範(?)を維持するために、誰がそのコストを負担するのかということになると思います。

誰もが(少なくとも労働者は)その存在を望んでいるが、そのためのコストを支払うことは不利益になるので、個々人にとっては維持する行動をしないほうがよい。

社会的ジレンマの一例といえます。

ただ、この場合は社会全体の負担で活動している組織である政府があり、そこに対して既にコストを支払っていると考えられるので、彼らになんとかしてもらいたいというのが個人的な意見です。

Re: No title

> コマンドー さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>極端なことをいえば今年のブラック企業大賞にノミネートされた東北大学に通ってる学生もしくはその保護者は授業料などによって東北大学を支えているので全員ブラック消費者だ!退学しろ!みたいなことになっちゃいますね

僕の認識では「ブラック消費者」とは「安さを追求するあまり、ブラック企業のサービスを利用する人」を指すと考えているので、東北大学の学生や保護者は「ブラック消費者」には当てはまらないと思います。ただ、もし東北大学の学生や保護者が「過酷な労働環境を課す大学にお金を落としやがって!」と非難されるとすれば、それは酷だと思いますね。

Re: No title

> 金壺堂さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>低賃金の人が、「多少値段が高い店を利用する精神」を持っている必要はないと思う。例えば岩崎さんのいうような「すき家に行かない」のが無理というのは到底思えない。家に帰ってご飯を食べればいいから。会社勤めなら、お弁当を持参すればいい。

確かに「低賃金」という要素のみを考えれば仰る様な主張も成り立つでしょう。しかし、ブラック企業といわれるところは大概「長時間労働」という要素も備わっていることが多く、即ち労働者が疲弊しているはずだと考えられます。そうなると、「自分で飯作るのもだるいし、すき家で食事を済ますか」という考えに至るのも無理はないと思います。

Re: No title

> at さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>単純に「労働法規に違反していないか」ということでよろしいのではないかと思う。要するに、ブラックといわれているところの問題は、労働法上の制限を超える就業をさせていたり、実質賃金が最低賃金を下回ったり、労働者に保証する権利を無視していたりとかだと思うので。

そうですね。恐らく、ブラック企業大賞が挙げる「低賃金」という意味は、atさんがおっしゃる「実質賃金が最低賃金を下回ったり」というものなのではないかと思います。

> 「あそこはブラックらしいから買うのはやめよう」とかは、根拠の確認できない風評による不買運動なので、個人的には賛成できない

少なくとも「ワタミ」に関していえば「新入社員の過労死+その後の会社の対応の杜撰さ」という根拠があったからこそ「ワタミで飲まない会」という不買運動が実施されたのではないかと思います。仮に十分な根拠を示すことなく企業に「ブラックだ」とのレッテルを貼り、その上で不買運動を実施するのは不適切だと思いますが、一方で「○○はブラックだ」という主張が十分な根拠に基づいている場合は不買運動を実施してもよいのではないかと考えます。

ただ一番適切な解決策は、

>こういう問題はちゃんと労基所とか警察に対処してほしい

だと僕も思います。

Re: 痛し痒し

> L_z_m_i さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>不買運動で"高い代償"を負わせることができても、そこで働いているとはいえ罪の無い従業員にまで打撃をえてしまうことにならないか・・というのは個人的にありました

そうなんですよね。例えば「過労死を出した会社は廃業にしろ」という主張が叫ばれたりすることがありますが、それに対しては「従業員の人たちの仕事はどうなるんだろう?」と思った覚えがあります。

>個人的にはブラック企業とわかっている企業(の経営者)にはお金を落としたい気はしませんし、ツイッターなんかで例えば「餃子の王将で食事してきたー」などと人が書いているのを見た日にはそういうツイートに「世の中をディストピアにしたくなかったらそういう店で食事はしないほうがいい」とコメントしようかどうか悩むくらいです。

そうコメントしちゃって良いのではないでしょうか(笑)

Re: はじめまして

> 消費しないピノキオ さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>低価格という万人にとってもっとも有効な効果を提供しているサービスって強いなって思う

そうですね。もっとも下で「tolemy」さんが仰っているように、各人が最適な行動をとることで社会全体で見れば不利益をもたらす(この場合は「ブラック企業が生き残る」という不利益)ので難しいところです。

>個人的には不買行動は日常的なもので無駄なものは消費しないことで淘汰していきたいと考えて行動しているんだけどそれは所詮自己満足です

そういえば、ワタミの利益ってどうなったんでしょうね?仮に「ワタミで飲まない会」などの結果業績が悪化したなら「消費しないピノキオ」さんが仰る「自己満足」の積み重ねがブラック企業を追い詰めることにつながると言える訳ですが。

Re: No title

> tolemyさん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>誰もが(少なくとも労働者は)その存在を望んでいるが、そのためのコストを支払うことは不利益になるので、個々人にとっては維持する行動をしないほうがよい。社会的ジレンマの一例といえます。

おっしゃる様なことは専ら「合成の誤謬」と表現するものかと思っていましたが、「社会的ジレンマ」という言葉もあるのですね。勉強になりました(笑)

>ただ、この場合は社会全体の負担で活動している組織である政府があり、そこに対して既にコストを支払っていると考えられるので、彼らになんとかしてもらいたいというのが個人的な意見です。

やはり、上で「at」さんが仰っているように「労基法を厳密に適用していけばよい気がしますが」という主張が
妥当といえるかもしれませんね。

No title

ブラック企業の消費者がろくでもない客、疫病神は確かですけど、だからといって企業が従業員を酷使する理由はどこにもありません。
従業員のために働くのが経営者の仕事である以上、従業員を酷使した経営者は経営者失格です。
従業員の酷使、ダメ、絶対です。

Re: No title

>ブラック企業の消費者がろくでもない客、疫病神は確かですけど~とコメントしてくださった方へ

こんばんは、コメントありがとうございます。

>ブラック企業の消費者がろくでもない客、疫病神は確かですけど、だからといって企業が従業員を酷使する理由はどこにもありません

この記事では別に「企業が従業員を酷使するのも仕方がない」なんてことは言っていないんですが。ただ、仰っていること自体は正しいと思います。
main_line
main_line
ブログランキング
おかげさまで、ブログ村の「就職バイトブログ」のカテゴリで「1位」を取ることが出来ました。この場を借りて、お礼を申し上げます。これからも記事を多くの人に読んでいただけたらと思いますので、もし宜しければ、今後ともランキングへのご協力を宜しくお願いいたします。
RSSリンクの表示
follow us in feedly 
最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
リンク
FC2カウンター
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
プロフィール

lingmu

Author:lingmu
FC2ブログへようこそ!

最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。