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常見陽平さんの文章を読む際には「不信感」を大切にしてほしい

僕は過去に海老原嗣生さんの主張を批判した記事を書いた際に、「専門家に騙されないよう意識する場合は、自分の目で一次資料に目を通すしかないということなのだと思う」と締めくくったことがある。この文章そのものに誤りは無いと思うのだが、「言うは易し、行うは難し」で、実際に一次資料に目を通して内容を確認するということを記事を書く際に毎回必ず行っているのかというと正直そんなことはない。


しかし、「海外では"仕事"がクソだと認識されているという言説は本当か」という記事についた「11卒業務未経験無職」さんのコメントを見ると、改めて一次資料をチェックすることの重要さを確認せざるを得ない。今日の記事は「"11卒業務未経験無職"さんの知的努力を拝借した」ということをここで明記した上で文章を書き進めていきたい。


問題となったのは、常見陽平さん著の「僕たちはガンダムのジムである」における記述である。まずは、次の文章をご覧いただきたい。

「データブック国際労働比較2012」(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)によると、日本の平均年間総実労働時間は1980年ごろから2010年まで着実に減少していて、2010年には1733時間となっている。


ほとんどの欧米諸国も減少か横ばい傾向になっている。2010年のデータで比較すると、アメリカとイタリアがちょうど1778時間、イギリスが1647時間、フランスが1462時間、ドイツが1418時間だ(なお、このデータは各国によりデータ源が違うことをお含みおき頂きたい)。このデータだけで言うと、フランスやドイツとは大きな差があるものの、日本だけが突出しているわけではない。日本だけが「働きすぎ」という訳ではないのである(p.34-35)

見ての通り、「データブック国際労働比較2012」を根拠に据えて各国の平均年間総実労働時間を比較する記述となっている。当初この文章を読んだ際に思ったのは「"なお、このデータは各国によりデータ源が違うことをお含みおき頂きたい"という記述があることから必ずしもこの比較の結果を鵜呑みにすることはできないけれども、それでもある程度参考にするのは問題ないだろう」ということだった。なお、読書後に元データである「データブック国際労働比較2012」に目を通したのかというと、正直に言うとチェックしていなかった。


ここで「11卒業務未経験無職」さんのコメントが大きな意味を持つ。一次資料をチェックしなかった僕の常見さんの文章に対する評価がいかにズレたものだったのかが分かるはずだ。

データブック国際労働比較2012(http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2012/ch6.html)ですがこれの第6-1表にデータは一国の時系列比較のために作成されており, データ源の違いから特定年の平均年間労働時間水準の各国間比較には適さない。フルタイム労働者, パートタイム労働者を含む。国によって母集団等データの取り方に差異があることに留意なんて書いてありますし。

第6-1表のpdfファイルにはこちらからアクセスしていただきたい(http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2012/06/p189-190_t6-1.pdf)。確かにこのpdfファイルの1ページ目の下部に「11卒業務未経験無職」さんが指摘したことが書かれている。


いや・・・。「僕たちはガンダムのジムである」を読んだ時には、まさか平均年間総実労働時間の国際比較のくだりに関して元データに「データ源の違いから特定年の平均年間労働時間水準の各国間比較には適さない」という文言があるとは思ってもいなかった。このような注意書きがあるにも関わらず、上で示したように「僕たちはガンダムのジムである」では各国間比較には適さないはずの「データブック国際労働比較2012」の数値が根拠となって「特定年の平均年間労働時間水準の各国間比較」がなされているわけで、一体常見さんは何を考えているのか?と思わずにはいられない。この注意書きの存在を踏まえると、国際比較をするのにマシな別のデータを元に考察を行うか、若しくはそもそも国際比較をあきらめるかのどちらかを選択すべきだろう。


加えて細かいことを言えば、本ではフランスの一人当たり平均年間総実労働時間が1462時間と書かれているけれど、第6-1表のpdfファイルには1562時間となっている。またドイツの数値も本では1418時間となっているけれど、pdfファイルには1419時間となっている。ケアレスミスと言ってしまえばそれまでだけど、これも「本の記述を鵜呑みにしていたら間違った事実を頭に入れてしまっていた」という一つの例だと言えるわけで、そういう意味でもやはり元データに目を通す必要性を感じる。 


僕は過去に「<ネタ>"意識高い系"という病という本の記述が"いちゃもん"のオンパレードだった件」という記事で常見さんの文章を「根拠に欠ける」と批判したことがある。この時点で常見さんの文章を信用してはいけないということを個人的に思っていたのだが、加えて今回の記事では、常見さんの文章には「一見根拠が備わっていても、それが根拠として不適切」という弱点がある場合が存在するということが浮き彫りになった訳で、常見さんの文章への不信感はますます強まっている。本を購入するなどして常見さんの文章に目を通す場合は、どうか記述の内容をとことん疑ってかかってほしい。

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