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「労働者の生命・健康は至高の法益」とした判決を大切にしよう

ベストセラーとなった今野晴貴さん著の「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」には、株式会社大庄のケースが載っている。これは、2007年4月に入社した男性正社員が、入社後4か月で急性心不全のために亡くなったケース。この男性の時間外労働は、死亡前1ヵ月間は約103時間、同2ヵ月目は約116時間、同3ヵ月目は141時間、同4ヵ月目は約88時間と、厚生労働省が定める過労死ラインを大きく上まわるものであった(http://www.minpokyo.org/journal/2011/06/189/


この男性の両親は会社・役員4人に対して損害賠償請求をしていた。そして先月24日の決定で、会社側に計7863万円の賠償を命じた一・二審判決が確定した。会社側は最高裁まで争おうとしたらしいのだが(会社は「業務と死亡との間に相当因果関係があると認定することは著しく不合理である」と主張していたhttp://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100604194535.pdf p.9)、最高裁は会社側の上告を退けたのである。


高裁判決は「責任感のある誠実な経営者であれば自社の労働者の至高の法益である生命・健康を損なうことがないような体制を構築し、長時間勤務による過重労働を抑制する措置を採る義務があることは自明であり、この点の義務懈怠によって不幸にも労働者が死に至った場合においては悪意又は重過失が認められるのはやむを得ないところである」と判示したという。この事件を担当した松丸正弁護士によると、会社側は「過労死ラインを超える労働時間、賃金体系をとるか否かは経営判断」と主張していたらしいのだが、その主張は裁判所に否定されたということなのだろう。


賃金体系のところはひとまず置いておいて、大庄の「過労死ラインを超える労働時間をとるか否かは経営判断」という主張は「自社の労働者が死ぬ危険性が高まっても構わない」と言っているに等しく、明らかにふざけている。いくら就職先に困ったとしても、この企業だけはしばらくの間は敬遠することを薦めたい。労働環境が改善したら話は別だけど、最高裁まで争おうとしたということは会社側は「自分たちは悪くない」と思っている可能性が高く、ゆえに当分は会社の体質は変わらないだろうと思われるからだ。


この判決は、ブラック企業擁護とも思える主張に対する非常に有用な武器となる。例えば先月27日の朝生では「ブラック企業が嫌なら辞めればいい」という主張がなされたらしいが、これに対して「"そもそもブラック企業は存在してはいけない"という趣旨のことを裁判所が言っているんですが」と言い返せる。ブラック企業問題に関心がある人はこの判決を知っておいて損は無い・・・というか知るべきだ。


この意義ある判決の背景として、もちろん担当弁護士の努力や裁判所の適切な判断があったことは間違いない。そして、何よりも忘れてはいけないのは、この判決がなされたそもそもの背景には「会社に殺された被害者」がいるということ。人々が恩恵を受けるルールの創出(明文化)の裏にある努力・犠牲を意識し、「労働者の生命・健康は至高の法益」という規範を大切にしたいものである。

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No title

敢えて聞きます。「労働者の生命・健康は至高の法益」とした判決を大切にしよう」ということですが、具体的にどう大切にするべきだと思いますか?


僕が考えているのは、この考えを判決から法律に昇格させる努力をするということだと思います。


労働時間のいわゆる「過労死ライン」の時間外労働月80時間というのがありますが、これも本当はおかしな話で、企業は36協定という労働時間の特別規定を結んで1日8時間・週40時間の労働基準法上の基準労働時間を上回る労働を労働者に課すわけですが、この36協定には厚生労働省が定める限度があって、1か月では45時間が上限となっています。


また月60時間を越える時間外労働については賃金の割増率を引き上げるという規定もありますが、これらの時間外労働の基準はそもそも厚生労働省が定める限度を越えているわけで、日本の労働時間の実態に照らし合わせると、一見矛盾しているようでもこうした基準がないよりはあった方が抑止力になるだろうという考え方なのだろうとは思いますが、限度を越える働かせ方を管轄省庁が黙認しているようにも受け取れて複雑な心境です。


今回の記事で示されている考え方は、わざわざ裁判になって裁判所に示してもらわないといけないようなものではなくて、本来は法律できちんと規制すべきレベルの話なのではないかと思います。法律で規制されているけれども罰則がない(あるいはあるけど適用された例がほとんどない)ので守られていないなどという例は労働法に限らず枚挙に暇がありません。


罰則や労働基準監督署などの監視体制も含めた上で実効性を伴う法律で労働時間を規制するということをしないと根本的な問題解決にはならないのではないでしょうか。当たり前のようですけど。

Re: No title

> William Yamin さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>敢えて聞きます。「労働者の生命・健康は至高の法益」とした判決を大切にしよう」ということですが、具体的にどう大切にするべきだと思いますか?僕が考えているのは、この考えを判決から法律に昇格させる努力をするということだと思います。

記事を書いた時点では、酷な労働環境に苦しむ人がこの判決の存在を頭に入れ、事態の改善のために動くべきだということを一番に考えていました。勿論William Yaminさんが仰る通り、労働時間の規制も考えるべきでしょう。例えば、ヨーロッパでは休息時間について「仕事が終わってから次の日の始業時間まで11時間は空けなければならない」というルールがあると聞きます。「11時間」というラインが適切かは別として、そういうルールを日本にも導入することは必要だと思います。 

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