スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

日本の教育はボロクソに言うほど悪くないし、教育に問題を抱えるのは他国も一緒

一つ前の記事で取り上げた「教育再生実行会議」という名称を見ると、日本の教育に「再生」の必要性があるということで、「現在の教育の在り方には問題がある」という前提の存在が感じられる。別にこの会議のメンバーに限らず日本の教育に問題を感じる人はいるだろうし、中には日本の教育を他国と比較した上で批判する人もいる。


そのような論調は、メイロマさん著の「日本が世界一貧しい国である件について」という本で見られる。メイロマさんはイギリスと日本の教育を比較した上で、前者を高評価し後者を批判している。端的に言えば「日本の教育に無駄が多すぎる」と感じているらしく、その無駄の一つは「日本の教育が、暗記とそれを吐き出すという作業の繰り返しになっている」とのこと。それに対して、イギリスの小中学校・高校では「チャールズ5世の外交政策は失敗であった。その理由とは何か?」・「エジプトの歴史をホームページ、データベース、インターネット上の動画を使って調べなさい。そしてそれをウェブサイトにまとめ、facebookで発表せよ」といった課題を学生に課す、即ち「考えさせること」に重きを置いた教育をしている点が良いのだという。


メイロマさんは「このような課題を繰り返しやることで"考える力"、"情報を正しく使う力"、"説得する力"が身に付きます。仕事や日常生活で必要な力は、まさにこれらでしょう。暗記ばかりやっている日本の学生は、人生の時間を無駄にしているとしか思えません。考える訓練を受けられないかわいそうな人たちです」と述べる。こうしてみると、日本の教育がイギリスの教育に劣っているかのような印象を受けるし、もしかすると実際劣っている部分もあるのだろう。しかし一方で、日本の教育は相対的に見ればだいぶマシなんじゃないかと感じさせるニュースもある。


知っている人も多いと思うが、それは「日本の"成人力"世界で突出 "読解力""数的思考力"トップ OECD調査」という記事である。これは、仕事や日常生活で必要とされる汎用的スキルのうち「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3分野のスキルを直接測定することを目的として実施された「国際成人力調査」(PIAAC=ピアック)で、経済協力開発機構(OECD)加盟など先進24カ国・地域のうち、日本の国別平均点が「読解力」と「数的思考力」でトップだったことを報じたニュースである。


記事の見出しだけ見ると「日本の平均点がトップ」ということしか認識できないが、このニュースでは「日本は各国に比べ、成績の下位者の割合が最も少ない」ということも報じている。実際、国立教育政策研究所のホームページに掲載されている「PIAAC日本版報告書"調査結果の要約"」を見ると、日本の「成績の下位者の割合」の少なさが他国と比べて際立っていることが分かる(http://www.nier.go.jp/04_kenkyu_annai/pdf/piaac_summary_2013.pdf)。そして、それはメイロマさんが大好きなイギリスよりも少ない。


「レベル1未満」から「レベル5」の6段階評価である読解力の習熟度レベルを見ると、レベル1未満の割合がイギリス(イングランド)が3.3%いるのに対して、日本はわずか0.3%に留まっている。レベル1の割合はイギリスが13.1%に対して日本は4.3%。レベル2の割合もイギリスが33.1%に対して日本は22.8%。つまり、日本とイギリスで成績の下位者の割合を比べるとイギリスの方が圧倒的に高く、必然的に中位者~上位者の割合は日本の方が上ということになる。


また、同じく「レベル1未満」から「レベル5」の6段階評価である数的思考力の習熟度レベルを見ると、レベル1未満の割合がイギリス(イングランド)が6.4%いるのに対して、日本はわずか1.2%。レベル1の割合はイギリスが17.8%に対して日本は7.0%。レベル2の割合もイギリスが33.3%に対して日本は28.1%。読解力の結果と同様に、日本とイギリスで成績の下位者の割合はイギリスの方がはるかに上となっている。


つまり、イギリスでは低学力層が相当いるということで、これは日本のことをバカにしている場合ではないレベルの課題なのではないだろうか(バカにしているのはイギリス人ではなく、メイロマさんですが)。「読解力」「数的思考力」がレベル1未満だとかレベル1だということは、そもそも基礎学力が備わっていないということだろう。日本とイギリスの基礎学力が互角で、その上でイギリスの人たちに「考える力」が備わっているのなら「イギリスすごいな」と思うけれど、実際にはそうでないのだから別にそこまでイギリスを礼賛する気は起きない。むしろ、見習ったらまずいんじゃないかとすら思う。


メイロマさんの言うことは「外国のいいところと日本の課題を比べて"外国はいい"と言っているだけ」とみなすくらいで丁度良いんじゃないだろうか。「日本にあって外国にはない良さ」というものがあることを認識し、その良さを損なわない形で教育を改善していくことが望ましい。

日本の教育はボロクソに言うほど悪くないし、教育に問題を抱えるのは他国も一緒という意見に共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします
にほんブログ村 就職バイトブログ 大学新卒の就職・就職活動へ
にほんブログ村  
このエントリーをはてなブックマークに追加
ブログにfeedly登録ボタンを設置してみました!登録はこちらからどうぞ。  
follow us in feedly     
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

お久しぶりです。

日本の教育が国民全体のレベルアップを目標としているのは歴史的にそうだと思います。
だから、どんな人でも読み書きそろばんは一定レベルに達している。
日本では勉強ができない人でも足し算、引き算、掛け算くらいはできる(九九の力です)。
しかし、アメリカでは引き算ができない人が多いらしい。

一方、比較される欧米では、下を切り捨て、上を手厚くしている、という印象を持ちます。
考える力が求められるのは、おそらく、上位の人たちだけです。
日本は上も下も平等なので、下の基礎力は高めるかわりに、上に突出した力を求めない、という傾向はあると思います。突出した人は勝手に出てくるからいい、というか。
欧米では下は基礎力もなくていい、でも、上には考える力とかの訓練をするわけです。

どっちがいいのでしょうかね?

あと、イギリスやアメリカは移民が多く、英語力などで不利な人が多い、ということも低いレベルが多い原因かもしれません。

Re: No title

> ななし@No title さん

お久しぶりです、コメントありがとうございます。

>日本は上も下も平等なので、下の基礎力は高めるかわりに、上に突出した力を求めない、という傾向はあると思います。突出した人は勝手に出てくるからいい、というか。欧米では下は基礎力もなくていい、でも、上には考える力とかの訓練をするわけです。どっちがいいのでしょうかね?

なるほど、仰る通りのような気がします。僕は「誰もが基礎力を身に着けられている」状態が担保されていることを最も重視しているので、日本のやり方の方が良いという立場ですね。勿論、改善すべきところは改善していくべきですが。

>あと、イギリスやアメリカは移民が多く、英語力などで不利な人が多い、ということも低いレベルが多い原因かもしれません。

この記事を書いた後に「社会実情データ目録」というサイトを見たのですが、そのサイトによると、移民の影響はあまり大きくないようです(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3936.html ※最終段落です)

No title

日英の労務管理の違いについて研究しており実際にイギリスに住んでいたこともある研究者の方に聞いた話です。ななしさんのコメントにも通じるところがありますが。


日本では近年格差の進行が問題になっていますが、イギリスでは日本以上の格差があるそうです。ただし日本とイギリスでは社会の構成員の属性や条件が全然違うのでその点を考慮する必要があって、イギリスでは底辺に移民の人達がいて、格差というのはその人達を含んだ上での話なのだそうです。


その点日本は移民や外国人が少なく、同じ民族というか属性の人達の間で格差が進行しつつあり、そういった意味では同じ格差でもイギリスとは大きな違いがある、ある意味日本の格差の方が深刻な問題かもしれない、ということでした。


親が労働者階級の出身だから子供もブルーカラー、というような階級による格差の固定化は昔に比べると大分薄くなってきているようです。


参考までに。

日本の教育

こんにちは。イギリス在住のTomといいます。日本の教育は確かにボロクソに言うほど悪くはありません。ただし、問題は暗記を高等教育に至るまで延々と続けていることでしょうか。
物事の暗記は初等教育で実施するとその後に考える力をつけるときの素地になります。しかし、高等教育(大学レベル)では考える力が要求されるので、ただ単に覚えたものを吐き出すだけでは何も身につきません。一方で、イギリスのように初等教育の段階から考える力をつけようとしても、そもそも考える土台(知識)がないので、良い結果が出ません。実際、一桁同士の繰り上がりがない足し算を暗算できない人は沢山います。
実際には暗記や考えるといったことを、教育の段階に応じて変化させるべきなのですが、そうなっていないことが一番の問題なのだと感じます。

余談ですが、日本で考える力をさほど重視しないのは、多くの人にとって色々不都合が多いからではないかと感じるところはあります。

Re: No title

> William Yamin さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>その点日本は移民や外国人が少なく、同じ民族というか属性の人達の間で格差が進行しつつあり、そういった意味では同じ格差でもイギリスとは大きな違いがある、ある意味日本の格差の方が深刻な問題かもしれない、ということでした。

なるほど。誰か言っていたかがうろ覚えですが(確か飯田泰之さんだったような・・・)、日本はパイの再分配の在り方がおかしいと。つまり、金がない若者から金をとって、それを金を持っている老人に配っている構造があるという話ですね。それが格差の問題を深刻なものにしているのかもしれません。

Re: 日本の教育

> Tomさん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>実際には暗記や考えるといったことを、教育の段階に応じて変化させるべきなのですが、そうなっていないことが一番の問題なのだと感じます。

その通りだと思います。どの段階で、どのような教育をするのが適切なのか?ということを考える視点が必要のはずです。この視点に立てば、小学生の段階では「考える力」よりも先に重点的に身に着けるべきことがある・・・という結論に達することもできそうですね。この結論が本当に妥当なのかは分かりませんが(笑)

No title

では、国際成人力調査のアメリカと日本の違いを知りたいです。
移民比率について詳しく知りたい
アメリカと日本の結果から何が足りないと思いますか?
また、何が日本は良かったと思いますか?

Re: No title

> みかんさん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>では、国際成人力調査のアメリカと日本の違いを知りたいです。移民比率について詳しく知りたい

アメリカのデータもこの記事で触れた「PIAAC日本版報告書"調査結果の要約」に載っているので、それを確認されると良いでしょう。また、「ななし@No title」さんへのコメント返信で触れた「社会実情データ目録」には移民を除いた平均点もグラフの形で示されています。移民を除いた結果として、平均点は一応上昇しています。正確な移民比率までは、ちょっと調べる気が起きません(笑)

>アメリカと日本の結果から何が足りないと思いますか? また、何が日本は良かったと思いますか?

アメリカもこの記事で触れたイギリスと同様、低学力層が日本と比べてかなり多かったです。アメリカにとってはそこが問題で、逆に日本にとっては「低学力層が少ない」という点が良かったと言えるのだと思います。
main_line
main_line
ブログランキング
おかげさまで、ブログ村の「就職バイトブログ」のカテゴリで「1位」を取ることが出来ました。この場を借りて、お礼を申し上げます。これからも記事を多くの人に読んでいただけたらと思いますので、もし宜しければ、今後ともランキングへのご協力を宜しくお願いいたします。
RSSリンクの表示
follow us in feedly 
最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
リンク
FC2カウンター
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
プロフィール

lingmu

Author:lingmu
FC2ブログへようこそ!

最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。