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疲弊する教員に過大な要求をする社会であってはならない

言うまでもないことのような気がするが、「ブラック企業」という言葉には「企業」という言葉が含まれている。ゆえに、労働環境の問題を考える際に「民間企業」の実態に思いを巡らせる人が多くいるかもしれない。しかし当然、問題視すべきはそれだけではない。


17日の朝日新聞に「教員の"残業"月95時間超 10年で14時間増える」という記事が載っていた。この記事によると、全日本教職員組合が実施した幼稚園・小中高校などの教職員の勤務実態調査において、教員の時間外勤務が1カ月平均で72時間56分、自宅に持ち帰った仕事の時間も含めると同95時間32分にのぼったことが明らかになったという。これは前回調査の2002年と比べて、月平均で14時間33分も増えているらしい。


この点、2006年に実施されたベネッセの教員勤務実態調査によると、決して全教員が長時間労働に従事しているわけではないらしい。しかし、早めに帰宅ができる教員もいる一方で、長時間勤務が常態化している教員も確かにいるとのこと(http://berd.benesse.jp/berd/center/open/berd/backnumber/2007_09/ren_suzukinao_03.html)。加えてこのベネッセの調査では、勤務時間中にほとんど休憩や休息を取ることができておらず、小・中学校では、夏季休業中を除けば学校で勤務している間に10分程度しか休憩を取っていないことが分かっている(http://berd.benesse.jp/berd/center/open/berd/backnumber/2007_09/ren_suzukinao_04.html)。


このような労働環境があるゆえか、同じくベネッセの調査では「教員が行うべき仕事が多すぎる」と感じる教員が小学校・中学校共に8割を超えている。加えて、「授業の準備をする時間が足りない」・「仕事に追われて生活のゆとりがない」と感じる教員も8割弱いる。これは2006年の調査結果だが、恐らく現在の教員の労働環境を考える際にも大いに参考になるデータだろう。


ただ、教員の不満とは逆に「教育」に求められる要求は過剰なものになっているのではないか。元・杉並区立和田中学校の校長である藤原和博さんは「教育をめぐる虚構と真実」という本において次のように述べている。

例えば2年D組を担任している数学の先生は、バスケット部の顧問もしています。その先生にIT教育もやらせ、環境教育もやらせ、福祉やボランティア教育もやらせ、国際教育もやらせ、少年が何か事件を起こすと「心の教育」もやらせ、小学生がウサギか何かをいじめたと言っては「命の教育」をやらせ、ニートが増えたというのでキャリア教育や金銭教育をやらせ、さらに起業家教育もやってくれ・・・ってできるわけがありませんよ。スーパービジネスマンだってこんなムチャクチャな要求には応えられない

これは以前このブログでも取り上げたことがあるドイツの教育学者、W・ブレツィンカの見解と通じるものであり、要は何か問題が起きたらその解決策を教育に押し付けようとする動きがあるということだ。そして、肝心の教育を担うのは「○○教育が必要だ!」と提言する人ではなく、個々の教員。教員からしたら「ふざけるな」と思っても仕方がないんじゃないか。もしかすると「今ブラック企業が問題になっているので、早い段階から労働法教育が必要です」という提言に対しては「労働環境の大切さを訴えるあなたが、私たちの仕事を増やしてどうするんだ」と不満に思うかもしれない。


濱口桂一郎さんは自身のブログで、教師の労働環境の実態を記した「いま、先生は」という本の感想として「ここで描かれている教師たちの姿は、ブラック企業で身をすり減らし、心を病み、自殺に追い込まれていくあの労働者たちとほとんど変わらないように見えます」と述べている(http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-b495.html)。この記述を見ると、問題の解決策を安易に教育に求め、ひいては教員の負担を増すようなアプローチは、疲弊した教員たちに鞭を打つ行為に等しいのかもしれないと思う。

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非公開コメント

No title

一応教育関係の仕事をしています。

"決して全教員が長時間労働に従事しているわけではないらしい。しかし、早めに帰宅ができる教員もいる一方で、長時間勤務が常態化している教員も確かにいる"

とのことですが、分かりやすい部分だと中高の教員は部活の顧問をしているかどうかで労働時間が変わってきます。この顧問という役割も教員の中で押し付け合いをする面もあるようですね。顧問をやっていると手当が付くようですが、わずかなもので、全く割に合わないそうです。


この点についてカナダ人の知人が面白いことを言っていて、カナダの教師はテストの採点などただでさえ仕事が忙しくて持ち帰ったりしないといけないような状況で、もし部活の顧問などをやらせて放課後教員を拘束しようものなら、教員がストライキを起こすと言っていました。


じゃあカナダでは誰が部活の指導しているのかという話なんですが、保護者など地域の大人が放課後部活の指導をすることが一般的だそうです。そしてそのカナダ人の知人は「日本人の働き方ではそれは無理だろう」とも言っていました。やはり労働時間が短かかったり融通が利くからこそそういったことも可能になるのでしょうね。


ただ日本の部活と異なる点として、1年の中でもシーズンごとに野球、バスケットボール、アイスホッケーなど色々なスポーツをやるそうで、地域の大人が指導を担当することになっても同じ人が1年中やらないといけないわけではないようなのでまた多少負担感も変わってくるのではないかと感じました。


日本でも部活の指導はアウトソーシングすべきだと僕は思いますね。中には例えば野球部の顧問になりたくて高校教師になったというような人もいるようですが、少数派でしょう。最近は中学の部活を学校から切り離し地域のスポーツクラブに統合したといった例も出始めているようです。興味深いですね。
(http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/kikaku/078/42.htm)かなり古い記事ですけど・・・

No title

あ、すいません上のコメント名前付け忘れました。ご無沙汰しておりました、William Yaminです。


あとついでにですけど、教師は労働基準法37条の割増賃金規定が適用除外で、残業代は固定で支給されます。けどこれも割に合わない水準でしかないようで、ある意味合法的にサービス残業が行われていると言えると思います。そういう意味では企業より過酷な労働環境です。


先日ある高校で養護教諭をしている知人に話を聞きましたが、拘束時間が長く、給料を時給換算すると800円ぐらいだと言ってました。もちろんいわゆる正社員の話です。


朝は7:30から、部活をやってたりするので放課後も19:00までは学校にいないといけないそうなんですが、その学校には知人を含め二人養護教諭が配置されているようなので、「例えば7:30~16:00までの早番と、10:30~19:00までの遅番と分けて勤務したら二人とも8時間以内の勤務で収まるんじゃないか?」と聞くと、「それをやるなら1人でいいですねという話になって配置を減らされる」と言っていました。


それって一人の労働者が10時間以上も働くのを前提にした人事なわけで、個人的には強烈に違和感を覚えます。これは企業でも似たような事例は多いと思いますが。

Re: No title

> William Yamin さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>じゃあカナダでは誰が部活の指導しているのかという話なんですが、保護者など地域の大人が放課後部活の指導をすることが一般的だそうです。そしてそのカナダ人の知人は「日本人の働き方ではそれは無理だろう」とも言っていました(中略)日本でも部活の指導はアウトソーシングすべきだと僕は思いますね

なるほど。当初はアウトソーシングについて「どうせ皆忙しいから無理だろう」と思ってしまったのですが、「地域の大人が指導を担当することになっても同じ人が1年中やらないといけないわけではない」という記述を見ると案外いけるのではないか・・・という気もしてきました。

>あとついでにですけど、教師は労働基準法37条の割増賃金規定が適用除外で、残業代は固定で支給されます。けどこれも割に合わない水準でしかないようで、ある意味合法的にサービス残業が行われていると言えると思います。そういう意味では企業より過酷な労働環境です。先日ある高校で養護教諭をしている知人に話を聞きましたが、拘束時間が長く、給料を時給換算すると800円ぐらいだと言ってました。もちろんいわゆる正社員の話です。

「ついで」にしてはとんでもないエピソードをぶっこんできましたね・・・(笑)教師の労働環境はもっと問題視されても良いと僕は思うのですが、ブラック企業問題ではこの点に触れられることは無いという印象です。今「いま、先生は」という本を読んでいますが、新人教師が仕事を原因として自殺を図る例も出てきて、労働環境の酷さを感じずにはいられません。

No title

>こんなムチャクチャな要求には応えられない
とあるが、誰が「要求」しているのか。
まさか、教わっている中学生達が「IT教育をやってください」だの「環境教育をやってください」だのと請願しているわけではないはず。彼らが望んでいるのは「受験を乗り切らせてくれること」ただ一つだろう。

Re: No title

> thepedagogueさん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>とあるが、誰が「要求」しているのか。 まさか、教わっている中学生達が「IT教育をやってください」だの「環境教育をやってください」だのと請願しているわけではないはず

社会問題を考察する人なんかが問題の解決策を教育に求め「○○教育が必要だ」ということはあり得るんじゃないでしょうか。むしろなんで「○○教育が必要なので、やるべきです」と要求する主体を学生に限って想定しているのかが分かりませんでした。

No title

>社会問題を考察する人なんかが問題の解決策を教育に求め「○○教育が必要だ」ということはあり得るんじゃないでしょうか。
あるでしょうね。でも、拒否すればいいだけの話だと思います。

>むしろなんで「○○教育が必要なので、やるべきです」と要求する主体を学生に限って想定しているのかが分かりませんでした。
先ほど書いたように、当の学生からしてみれば「受験を乗り切らせてくれ!」以外の要求はまずないのですから、余計なものはどんどん省けばいいはずなんですよ。

学校では勉強以外教えるな!
http://togetter.com/li/239394

生徒からも保護者からも教師からも嫌われる部活2
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/edu/1383215834/l50

なんてトピックもあるくらいですし。

ところが、「学校も塾みたいに勉強だけ教えてればいい」みたいなことを書くと「学校は塾とは違う!人間性を育てることも大事なんだ!」というような批判が「教育者側」から出る。
だから、その「ムチャクチャな要求」を出しているのは他ならぬ学校関係者サイドなのではと考えてしまうんですよ。とすると、自業自得じゃないんですかね。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: No title

> thepedagogue さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>ところが、「学校も塾みたいに勉強だけ教えてればいい」みたいなことを書くと「学校は塾とは違う!人間性を育てることも大事なんだ!」というような批判が「教育者側」から出る。だから、その「ムチャクチャな要求」を出しているのは他ならぬ学校関係者サイドなのではと考えてしまうんですよ

小学校ではクラブ活動が「学習指導要領」上必修になっていますし、今は違うみたいですが中学や高校でも学習指導要領上クラブ活動が必修になっていた時があったようです。「教育者側」と「学校関係者」を完全にイコールで結ぶのもどうかと思いますけどね。

Re: No title

> 非公開コメントをくださった方へ

こんばんは、コメントありがとうございます。

>~が増えているのが気になりますね

そうなんですよ。正直「頭がおかしいんじゃないか?」と僕は思っているので、イライラしています(笑)

教育の在り方についていろいろ教えてくださり、ありがとうございました。宜しければ、またご指摘よろしくお願いします。

親にも教科書があってもいいのでは

こんばんは。
教師の皆さんに過剰労働が起こりやすいのは彼らが「教育」という名の鎖につながれてしまっているからだと思います。

モンスターペアレンツの存在が叫ばれてしばらくたちますね。
彼らモンスターペアレンツに限らず、「困ったときは先生に相談しよう」「先生だからきっと何とかしてくれるはず」という思想は、ほとんどの保護者にあるのではないでしょうか。

一番問題があるのは「親のすべきこと」と「教師がすべきこと」の線引きができていないことだと思います。
かつては親がすべきだった教育が、いつの間にか教師がしなければいけないことになってしまう・・・
「教育は教育者がするべきだ」という理由を教師に押し付けるモンスターペアレンツの存在が大きくなったのも、親と教師に「教育の責任の境界線」がないことに起因するのではないでしょうか。

そのためにも、「親がすべきこと」をハッキリと明文化したガイドライン、指南書が必要なのではないでしょうか。

私は親になるつもりはありません。なぜかというと、親という、とてつもなく難しい仕事などできっこないと思うからです。
でも、そういう教科書があれば、少しは親になろうかなと思うかも…しれません。
(市販本もありますが、国がそういうことをしてくれれば、教育への共通意識が芽生えやすいのではないでしょうか)

※余談ですが、私は今、就活(主に新卒一括採用)の歴史について卒論で書こうとしています。何かおすすめの書籍・サイトなどの媒体があればお教えいただければ幸いです。

Re: 親にも教科書があってもいいのでは

>2014卒、男、内定1個 さん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>一番問題があるのは「親のすべきこと」と「教師がすべきこと」の線引きができていないことだと思います

教師に何もかも背負わせてしまっては教師が持たず、ひいては教師に教わる子供にも影響を与えかねませんから、そこは考えないといけないところだと思います。


>※余談ですが、私は今、就活(主に新卒一括採用)の歴史について卒論で書こうとしています。何かおすすめの書籍・サイトなどの媒体があればお教えいただければ幸いです。

濱口桂一郎さん著の「若者と労働」・「日本の雇用と労働法」という本が良いかもしれません。あと、最近取り上げている常見陽平さん著の「"就社志向"の研究」のp.100から数ページ、軽く立ち読みしてみると良いでしょう。別に常見さんの文章はどうでもよいのですが、p.100で触れられている参考文献だけは助けになるはずです。
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