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「新卒一括採用」を狭義で考えるか広義で考えるか、整理して話さないと議論が噛み合う訳が無い

前回の記事で、amazonで書いた「若年無業者白書」・「いま、先生は」のレビューを当ブログに転載した。来週も同様の試みをするため、ただいま常見陽平さん著の「"就社志向"の研究」という本を読んでいる。この本を読んでいて改めて、「新卒一括採用」という言葉の捉え方が人によって異なることを実感した。


常見さんは本書で「現状の慣行をまとめると、次のような定義になるだろう」と述べた上で「新卒一括採用」を次のように定義している。

企業が年度毎に大卒者を中心に、ほぼ毎年、ほぼ同じ時期に定期採用をして、翌年の新しい期のスタートと同時に大学卒業後すぐに組織に迎え入れる行為

中には、常見さん流の定義をすんなりと受け入れる人もいるかもしれない。しかし僕は「大卒者を中心に」という箇所が気になった。その気になった点を述べる前に補足を書くと、ここで「大卒者を中心に」とあるが、それだったら「学生」という立場で就活をする人が少数派であるというあまりにも実態からかけ離れた結論が導き出されるため、常見さんは恐らく正確には「大卒見込み者を中心に」と言いたかったのだと思う。よって、ここからは勝手に(笑)「大卒者を中心に」という言葉を「大卒見込み者を中心に」という言葉に置き換えたい。


常見さんは新卒一括採用における採用対象者を「大卒見込み者を中心」と考えている。そしてここでいう「中心」という文言から、卒業見込み者「のみ」が採用対象になっているわけではないとみなしていることも伺える。実際常見さんは、「既卒者」を採用対象に含めることにし、「新卒一括採用をやめ、"志"一括採用に移行する」という姿勢を示したエイベックスの採用方式を「"新卒一括採用をやめ、志一括採用に変える"と言いつつ、"条件を緩和したユニークな新卒一括採用"にしか見えないのは、私だけだろうか」と評している。エイベックスは「既卒者」を採用対象に含めているにも関わらず、常見さんによるとそれも「新卒一括採用」であるという。この点に違和感を覚える人はいるのではないかと思うし、僕個人もこの考え方にはモヤモヤしている。


この点に違和感を覚える人は、wikipediaやposse流の「新卒一括採用」の定義に納得感を得るのではないだろうか。wikipediaでは「新卒一括採用」が「企業が卒業予定の学生(新卒者)を対象に年度毎に一括して求人し、在学中に採用試験を行って内定を出し、卒業後すぐに勤務させるという日本独特の雇用慣行」と定義されている。また、ブラック企業問題に取り組むNPO法人・posseも、「特集 <シューカツ>は終わらない?」という雑誌において「日本で就活といえば、大学在学中に就職活動をして内定をもらい、卒業と同時に働き始めるというスタイルが一般的です。多くの学生がいっせいに就職活動をはじめ、職種とは関係なく、人事部が一括して学生の採用をおこなうことから、このような企業への参入の仕方は"新卒一括採用"と呼ばれ(以下略)」と新卒一括採用を説明している。これらはどちらも、新卒一括採用を「在学中の学生のみ」を対象にした採用方式であるとみなしていることが分かる。


本田由紀先生は、上述の「特集 <シューカツ>は終わらない?」で「新卒廃止論については、"新卒一括採用"を狭義で考えるか広義で考えるか、どこを問題点と見なすか、どこがどう変わったら廃止と呼ぶかをちゃんと整理して話さないと、すれ違うばかりになってしまいます」と述べている。本田先生の発言から新卒一括採用には「広義」・「狭義」の2種類の捉え方があることが伺える。確かにここまでで書いたことから考えると、「学生だけではなく、既卒者も採用対象に含まれる」という意味で広義の「新卒一括採用」、「学生のみが採用対象となる」という意味で狭義の「新卒一括採用」があると言えるのではないだろうか。一言で「新卒一括採用」と言っても、それが広義での意味なのか、あるいは狭義での意味なのかを捉えないと訳が分からない議論になることは想像に難くない。


例えば、新卒一括採用に関する議論において頻出の主張である「就活が学業を阻害している」という主張。狭義の新卒一括採用を思い浮かべる人は新卒一括採用を「学生のみが採用対象となる」方式だと捉えているため、その認識に基づき、在学中の学生に就活をさせる新卒一括採用を「学業を阻害している」と批判することになるだろう。一方で、常見さんのように広義の新卒一括採用を思い浮かべると「企業は既卒者に門を開いているから、新卒一括採用という採用方式から学業阻害の問題は生じない(学生は卒業後に就活をすることが出来るから)」という主張が生まれやすくなる。新卒一括採用をどう定義するかで、新卒一括採用の是非、賛成・反対の論拠が全く変わってくるし、それを揃えないと議論は噛み合わないのではないだろうか。

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No title

新卒or既卒という括りというよりかは、職歴のない若者を母集団とした採用活動というのがポイントでしょう。
今では既卒職歴なしの若者も「新卒就活」の母集団に組み込まれ、現に内定を獲得している人もいらっしゃるので、今更「狭義」の一括採用を前提とした話に意味はないかと。

「広義」の一括採用を前提としてもなお既卒者差別を主張する人がいるけど、
年齢で多少なりとも色眼鏡が入ってしまう採用担当者がいるのはもう、仕方ないことなんじゃないかな。
若さって要素そのものは生まれや努力に関係なく誰もが一時的に持てるものだしさ(そのチャンスをどう生かすかで人が見られるのだし)

あと学業阻害論は主張すれば主張するだけ「就職しても仕事できなさそうな人」アピールをしてるだけなので
いい加減この論説こそ飽きてるんだよなあ・・・。

Re: No title

> のさん

こんばんは、コメントありがとうございます。

>今更「狭義」の一括採用を前提とした話に意味はないかと

「意味は無い」とまで言って良いかは分かりませんが、意味がなくなりつつあることは確かと思います。

>「広義」の一括採用を前提としてもなお既卒者差別を主張する人がいるけど、年齢で多少なりとも色眼鏡が入ってしまう採用担当者がいるのはもう、仕方ないことなんじゃないかな。

色眼鏡が入る度合いによって仕方がないか否かも変わってくるかもしれません。例えば「"広義"の一括採用を前提としてもなお既卒者差別を主張する人」も「同じくらいの資質だったら新卒を取る」くらいの差なら文句を言わないかもしれませんが、「そもそも門前払い」のレベルだったら異議を唱えることが考えられます。

>あと学業阻害論は主張すれば主張するだけ「就職しても仕事できなさそうな人」アピールをしてるだけ

まぁ、これはこれで意味不明な理屈ですけどね。
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