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日本の労働環境を巡る意識のすれ違いが、ブラック企業を巡る議論の停滞やまともな経営者のメッセージの曲解につながり得る

評論家の荻上チキさんがメインパーソナリティを務める「session22」という番組がある。10月21日に、その番組で「ブラック企業対策」をテーマに議論が交わされたのだが(http://www.tbsradio.jp/ss954/2013/10/20131021-1.html)、冒頭に今野晴貴さんが「ブラック企業を巡る議論が噛み合わない理由」について解説をしていた。


その解説がなされた背景には、朝まで生テレビで「ブラック企業」がテーマとなっていた回において、今野さんと荻上さんが他の参加者にブラック企業の存在を説明するのに3時間を要したことがあった。僕は番組を見ていないので詳しい事情は分からないが、要は他の参加者がブラック企業問題の存在をなかなか理解しなかったということらしい。この出来事について、荻上さんは「若者にとってブラック企業問題は"自分が使い捨てられるかもしれない"というリアリティがあるけれど、もはや若者で無くなった人はそういうリアリティを感じないのではないか?」という世代間の認識に差異がある可能性を指摘した。


それを受けて今野さんは、「ブラック企業問題を理解しない人たち」の存在を世代の問題として捉えるよりも「労働市場分断」という観点から捉えるべきだと述べていた。どういうことかというと「若者を正社員として雇い、その後育てていく」という従来型の正社員雇用が成立している労働市場はあり、そういう労働市場に身を置いている人からすると若者が企業を辞めることを「企業はあなたをきちんと育てようとしているのに、なんで辞めちゃうの?」というミスマッチの問題として捉え、企業が若者を潰して退職に追い込んでいるケースを想定しないという趣旨のことを言っていた。


「若者が早期に会社を退職する」・・・まともな労働市場で生きている人はこの文言を「若者の職のえり好み」と捉えるだろうし、人を使い潰す企業で働いていたり日本の労働環境の問題に関心があったりする人は「ブラック企業に使い潰された」と捉えるだろう。今野さんによると、この意識のすれ違いがブラック企業を巡る議論の噛み合わなさを生んでいたのだという。


今野さんが指摘する意識のすれ違いだが、これは「ブラック企業を巡る議論の停滞」だけでなく別の問題も生み出していると思う。それは、ブラック企業問題に関心がある人がまともな経営者のメッセージを歪めてしまう可能性だ。その例として、「脱社畜ブログ」の「会社が辛くなったら、いつでも逃げていい」というエントリーにおける次の記述が挙げられる(なお、「脱社畜の働き方」のp.96-98でも同じような主張がなされている)。

某一部上場企業に入社した知り合いが、入社式で社長からこんなことを言われたらしい。「君たちは、今日から社会人になった。社会人になった以上、『辛くても絶対に逃げない』ということを肝に銘じて欲しい。学生の時と違って、社会に出ると辛いことが多い。でも、絶対に逃げてはいけない。一度でも逃げてしまうと、逃げ癖がついて、立派な社会人になれない」入社式でいきなり社長自らこんなことを言うということは、それだけ逃げる社員が多いということなんだろうなぁ、と思わずにはいられない。社長自ら、「当社はブラック企業です!」と言っているようなものである。僕だったら、その日のうちに逃げる。僕はこの社長とは逆で、「辛くなったら、いつでも逃げていい。やばい時にはすぐに逃げよう」という提言をしたい。前にも書いたように、どんなに優良企業を選んでも、ブラックな部署に配属されてしまう可能性はある。そんなときには、さっさと逃げたほうがいい。我慢して勤めて、それで精神を病んでしまったり、体を壊してしまったら元も子もない。「絶対に逃げない」という考え方は、それによって自分を追い詰めてしまう危険をはらんでいる。逃げ場がないと思うから、どうしても無理をしてしまう。「嫌なことがあったら、いつでも逃げる」と決めておけば、会社や仕事ごときで精神を病んだり、体を壊すことはなくなる

ここでは社長の「学生の時と違って、社会に出ると辛いことが多い。でも、絶対に逃げてはいけない」という発言を「精神を病んだり、体を壊したりする環境でも逃げるな」というように受け取っている。もしかしたらこの解釈は正しいのかもしれないけれど、一方でこの社長は本当にそんなレベルのことを言っていたのだろうか?という疑問も浮かぶ。仮にこの社長の会社が今野さんの言う「まともな労働市場」に属していると言える場合、社長はせいぜい「仕事が全然上手くいかずに苦しむこともあるだろうけど、そこで諦めるな」という程度のことしか言っていないのではないか。


「"辛くても絶対に逃げない"ということを肝に銘じて欲しい」・・・この文言に関しても、まともな労働市場で生きている人はこの文言を「仕事が上手くいかなくても諦めるな」という意味で使い得るが、他方で人を使い潰す企業で働いていたり日本の労働環境の問題に関心があったりする人は「体や心を病んでも逃げるなよ」という意味だと受け取り得る。ここでも日本の労働環境を巡る意識の違いによって文言の意味がずいぶん変わってくることが伺える。


個人的には、文脈や会社の労働環境の実態を踏まえずに「社会に出ると辛いことが多い。でも、絶対に逃げてはいけない」というメッセージを即ブラック認定するのは強引だと感じている。この脱社畜ブログのエントリーを見ると、まともな経営者が善意で発したアドバイスが「ブラック企業礼賛」なものとして捉えられる危険性はあると言えると思う。このことからも、ブラック企業を巡る議論を進展させるためだけでなく、まともな経営者のメッセージが曲解されることを防ぐためにも「この人はどういう文脈をもってこの意見を発しているんだ?」という点に思いを巡らせ、意識のすれ違いを埋める必要がある。

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