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辻太一朗 VS 海老原嗣生 ~アメリカでは大学の専攻と職業が繋がっているのか?~

先週の日経新聞に「採用、再び成績重視 三菱商事や富士通、客観評価容易に」という記事が載っていた。これは一部の大手企業が就活生に対して成績表の提出を求めるという、企業が学業の成果に着目して選考を行う動きを報じた記事である。また、10日の東洋経済オンラインの「[社名公開]これが就活で成績を活用する企業だ」という記事には、日経で取り上げられた「新卒採用において成績を見る企業」が載っている。


このように、現在教育と職業との接続の在り方が見直されていると言える。そして、より適切な見直しを行うためには海外の慣行がどうなっているのかに着目することが一定程度有益だと思う。ただ僕が知る限り、専門家の間でアメリカの慣行に関する認識に差異があるので、それを紹介したい。


まず、大手企業が成績を考慮する動きに大いに関わっているNPO法人・DSSの辻太一朗さんは著書「就活革命」でアメリカの慣行について次のように述べている。

アメリカの場合は、学生に対して特に知識を求めます。業界についての知識や職業上の専門知識です。学生はそれらを大学時代に身につけ、入社したらそれを役立てて、すぐに仕事をしなさいというわけです。私の友人にスポーツマネジメントの仕事をしている男がいます。私は彼にどうしてアメリカはそこまで専門知識にこだわるのか、入社してから3か月くらいかけてみっちり研修すればいいのではないか、と尋ねたことがあります。彼の答えは「その程度の知識では役に立たない」というものでした。ですからアメリカの企業は学生の専攻や知識を非常に気にします(中略)まず専攻が畑違いの学生はインターンシップの対象になりません(中略)企業が必要としているレベルの専門知識を持っていない学生は、そもそも選考の対象ではないのです(中略)アメリカには各州・地域ごとに中心的な産業があります。ニューヨークなら金融、デトロイトなら自動車、西海岸ならITといった具合です。大学での教育も、そうした中心産業を意識したものになっています。学生にとって大学は彼らが必要としている知識を与えてくれる場として、ちゃんと機能しているのです。(p.70-71)

端的にいえば、アメリカでは企業が学生に対して専門知識を求め、学生はそれに応えるために大学で猛勉強して知識を習得していくサイクルがあるという話。一方で、海老原嗣生さんは著書「就職、絶望期」でアメリカの慣行について次のように述べている。

実は、大学の文系学部の専門教育は、そのまま直接社会で役立つ可能性はほとんどないという事実。ここをはっきりさせておきたい。それも、日本だけではなく、これは世界共通の話だということも。なぜか、欧米では「大学の専攻と職業がきれいに繋がっている」という幻想が、世の中には広く浸透している。そうした幻想が「日本のように総合職という奇異な雇用慣行を持つからいけないのだ。きちんと採用時点で何の仕事をするか明確にわかる職種別採用なら大学の専攻と企業の仕事が繋がる」と訳知り顔で語る識者を生み出してしまう。しかし、この話を欧米の人事・雇用関係者に語れば、こんな風に鼻で笑われることになるだろう。「アメリカでも、文系の大学を卒業した場合、一番多くの人が就く仕事は営業ですよ。この仕事は、大学のどの専攻と結びつくのですか? 総務や人事の仕事はどうですか?これも専攻など関係ないでしょう。アメリカの場合は、大学卒業後に製造や販売の仕事に就く人も多々います。彼らももちろん専攻など関係ありません。経理やシステム開発でさえ、経営学部や情報工学を卒業しなくてもなれますよ」そうこと文系学部に限れば、圧倒的多数の人間はどこの国でも専攻と関係のない仕事についている。ホンの少数の、例えば法務とか金融とか会計とかマーケティングのスペシャリストのみ、選考と近い就職が可能になる。それも、超上位校を優秀な成績で卒業した人のみ。(p.195-197)

これは辻さんとは逆で、アメリカでも原則大学の専攻と職業は繋がっておらず、繋がっているケースが例外であることを指摘する文章である。これによると、辻さんは海老原さんが「幻想」と評した言説(「欧米では大学の専攻と職業がきれいに繋がっている」という言説)を唱えていることになる。


海老原さんが「なぜか、欧米では"大学の専攻と職業がきれいに繋がっている"という幻想が、世の中には広く浸透している」と言っていることから、欧米では大学の専攻と職業に関連性があると考える人は多くいるかもしれない。少なくとも僕個人としては、そう理解していた。ただ海老原さんの指摘が正しければ、その理解は誤りだということになる。


本の記述を読み比べてみるだけでは、正直どちらの記述にも怪しさを感じる。辻さんの文章は具体的な根拠として挙げられているのは「スポーツマネジメントの仕事をしている男」の話だけ。海老原さんにしても「この話を欧米の人事・雇用関係者に語れば、こんな風に鼻で笑われることになるだろう」と書いており、即ち実際に欧米の人事・雇用関係者の誰かが何かを語ったという訳ではない(海老原さんは「雇用のカリスマ」のはずなのに、欧米の人事・雇用関係者の内、誰か1人からちゃんと直接話を聞けなかったんだろうか・・・)。どうも、事実がはっきりしない。


こうしてみると、海外の就活の在り方について分かっているようで実は分かっていないことを実感する。海外の企業では一般的にどの程度「大学の成績」、「大学でどのような知識を得たか」という点に着目するのか。この点について、もう少し共通認識が深まってほしいと思う。

アメリカでは大学の専攻と職業が繋がっているのか、あるいは繋がっていないのか、よく分からないという意見に共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします
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