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やる気が出ない就活生向けの「脱ニート完全マニュアル」~些細な行動も「一歩を踏み出した」と評価していい~

就職活動がうまくいかないことで精神的に強い負担を感じ、抑うつ状態に陥ってしまう「就活うつ」の症状としては、「憂鬱」・「やる気が出ない」・「心身のだるさ」といったものが挙げられる。この症状を見る限り、就活うつになってしまった人がエントリーシートを書いたり、面接対策をしたりすることは難しそうである。


僕は以前「何十社もの選考に落ちて努力できなくなった人がだらしないというより、何十社も落ちてなお努力できる人が凄すぎるだけではないか」という記事において「学習性無力感」という概念を紹介したことがある。これは、「努力を重ねても望む結果が得られない経験・状況が続いた結果、何をしても無意味だと思うようになり、不快な状態を脱する努力を行わなくなること」を証明した心理学理論であり、その理論に照らすと多くの会社から不採用の連絡を受けた就活生が努力をするのが難しくなるのも無理はないということを述べた。


しかし、そうは言っても最終的には生活費などを稼ぐために再度就活に取り組まなければならないわけで、「学習性無力感に囚われている就活生が活動できないのも仕方ないんだ!」と話を終わらせるのは妥当ではない。この点、本屋では「就活うつにならないための本」と題した本は目にしたことがある、つまり「就活うつ」を予防するための本は存在するわけだが、ここで求められるのは「就活うつ」になった後にその状況を好転させるための本である。


そこで、僕が最も薦めたいのは「脱ニート完全マニュアル」という本である。これは、「とあるニートの成功目録」というブログを書籍化したもの。著者自身6年弱ニートをしていた経験があり、嘗ては次のような思いに囚われていたこともあったらしい。

「ダメな時期にいる人たちは、自分の幸せを願うことすら、止めてしまっている」ってことですね。知らない人からみたら意味不明かもしれませんね。でも実際、自分はそうでしたからね。そんな「幸せ」なんて単語、自分とは無縁だと思っていたし。そして、自分がそんな「贅沢」なものを願う資格なんてないと思っていたし。幸せになりたいって意思なんて、カケラもなかった

このように「自分に無力感を抱く人」の気持ちを一定程度理解している著者であるが、その気持ちを理解した上で就職のための行動に移っていく必要性を説いている。僕が優れていると思ったのは、「ハードルをガンガン下げることの重要性」を語っている点である。


極端な話、著者は「ハローワークに向かって、家から一歩だけ出るぞ!」という意気込みも肯定している。「家から一歩出ただけなんて、それは行動していないも一緒だ」と思う人も中に入るかもしれないが、ハードルはそのレベルまで下げてしまって良いという。具体的には、次のような記述がある。

まずは家を出て、3歩進んで戻ってもいいじゃないですか。頑張りました。駅までたどり着いて、改札を通る直前で戻ってきてもいいじゃないですか。よくやりました。ハローワークの前まで言って、帰っても良いでしょう。次は入れます、きっと。入ったとしても、検索機の前に座っただけで帰る。全然アリです。求人票をどうしても提出したくない。そういうこともあるでしょう。リクナビで応募文を書いたけれど、最後のワンクリックが出来ない。よく分かります。こうした経験が無いという方はおめでとうございます。だけど、自分はそうでした。でも、そのたびに「いやいや・・・。ここまで来ただけでも頑張ったよ。僕って偉い」くらいに思っていました

この記述はやる気を失った就活生を勇気づけるものと言えるのではないだろうか。例えば「家を出て3歩進んで戻ってしまうレベルの人でも、最終的には一つ一つハードルを越えて就職が出来ている」というように。あるいは「"家を出て3歩進んで戻る"ことも"とりあえず家を出てみた"という意味で"成功"と考えていいんだ!」というように。このブログを読んでいる人の中に「やる気が出ない就活生」がどのくらいいるのかは分からないが、この記事を読んだ結果として「脱ニート完全マニュアル」を立ち読みしてみる行為も「就職に向けて一歩を踏み出している」と評価して全然良いということになると思う。些細な行動をも「一歩を踏み出した」と評価する優しさがこの本の大きな魅力である。


もっとも、この本は精神論を語っているだけではなく、具体的に「ネガティブな思いに囚われている人の就職活動の進め方」についてもきちんとした方法論を記している。僕はこのブログを書いている関係上、多くの就活本に目を通しているけれど、その中でも一・二を争う良書であると感じている。確実に、もっと評価されて然るべき本である。

「脱ニート完全マニュアル」はやる気が出ない就活生に対して有効だという意見に共感してくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします
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脱社畜ブログに続いて脱社畜を考える人が読むべき「ニートの歩き方」

ついこの間、phaさん著の「ニートの歩き方」を読み終えた。この本の帯には、人気ブロガー「ちきりん」の「働かないことに罪悪感を持つ時代はもう終わり。必要最小限だけ働いて、あとは気ままに生きていこう。そんな気になれる本だと思います」という文章が載っていて、実際そういう本であった。


本を読んでいて感じたことの一つは「脱社畜ブログに書いてあったことと内容が似ている点が多いな」ということだった。もっとも、「ニートの歩き方」の発売の方が「脱社畜ブログ」の開設より先なので、本来は脱社畜ブログに対して「これ、ニートの歩き方に書いてあることと一緒じゃないか」と感じるべきである。例えば両者の「やる気」についての見解を見比べてみると・・・

・寝たい時は寝たいだけ寝れば良いし、だらだらしたい時は何もせずひたすらだらだらしていればよいと思う。やる気がしない時にも無理して頑張って何かをしようとする人がいるけれど、そういう時は素直に休めば良いんじゃないかな(中略)それに、放っておいたら大体の場合、人間は自然に何かをしようとするものだ。特にやることがなく時間も体力も気力も余っていて余裕があれば、大抵の人間は自然に何かをしたくなってくる。だから人間は無限に怠惰でいられない。そういった、自分の中から湧いてくる自発的な行動こそが本来人間がするべきことだし、つらいのを我慢して無理に何かをする必要はないのだ(中略)もし自然に何もしたくならない時は、精神のバランスを崩していたり肉体が疲れていたりするときなので、そういうときは可能な限り何もせずに休んでいればいい。(ニートの歩き方 p.141-142)

・やる気が出ない時に一番してはいけないことは、無理にやる気を出そうとすることだ。やる気を出そう出そうと焦ってしまうと、やる気が出ない自分が許せなくてますますやる気が出なくなったりする。これは、眠れない夜に無理に眠ろうとして、逆にどんどん眠れなくなってしまうのに似ているような気がする。やる気は、放っておけば勝手に戻ってくるものだと思って、やる気がない時はダラダラ過ごせばいい(中略)ずっとやる気がある状態が続くわけがないのと同様に、ずっとやる気が無い状態が続くということも普通はない。特にやる気を出すために名言を読んだり映画を見たりしなくても、やる気は時間がたてばそのうち戻ってくる。そう信じて、やる気がなくなったらノンビリと過ごしていればいい。やる気がなくなる、というのはもしかしたら自分の体から出る「休め」というサインなのかもしれない(脱社畜ブログ「やる気が出ない時に一番してはいけないこと(http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2013/06/15/154041)」)

主張内容も、主張を支える理屈も似通っていて「あなたたちは双子なんですか?」と言いたくなるくらいだ。これ以外にも主張内容が似ているところはいくつかあり、両者の問題意識は本当に共通しているのだなと感じた。即ち、「脱社畜ブログ」を心地よく読める人ならこの本を読んでハズレということはまず考えられない。
 

加えて、やはり有料だけあって「ニートの歩き方」には無料で読める「脱社畜ブログ」には欠けている長所が備わっている。一つ挙げるならば、できるだけ働かずに生きていける術が相当具体的に書かれており、その中には「そんな選択肢があるのか!」と思わずにはいられない術も紹介されている点といえる。


そもそも「ニートの歩き方」にしても「脱社畜ブログ」にしても、もし、例えばブラック企業で働いたりすることで会社勤めが苦痛だと感じた場合、周りのことなど考えなくて良いからとにかく逃げるべきだと主張している。

・仕事なんかで悩んで死ぬなんて本当に馬鹿馬鹿しい。死ぬくらいだったら無責任でも何でもいいからすべてを捨てて辞めて逃げれば良かったのに。死なないこと以上に大事なことなんて人生にはない(ニートの歩き方 p.141-142)

・僕は、その人自身がしんどくて、もう「限界だ」と思ったのであれば、責任とか周りへの迷惑なんてことは全部放り出して、逃げてしまうべきだと思っている。たとえそれで仕事が大変なことになろうとも、それはあなたのせいではない。あえて誰のせいか指摘しろと言うのであれば、それはそんな状況にあなたを追い込んだ、周りのせいだ。そんな周囲の人間に対して、配慮する必要なんて全然ない(脱社畜ブログ「逃げる」のススメ (http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2013/02/28/202641))

ただ、少し前に話題になった堀江貴文さんの「ブラック企業なんかやめれば良い。起業すれば良い」という発言への反応を見れば分かるように「企業から逃げろ」というアドバイスは無責任なものとして受け取られることがある(http://togetter.com/li/523701)。堀江さんはツッコミに対してことごとく「(その意見は)思い込み」と返したわけだが、「ニートの歩き方」を読んでいても「そんな選択肢なんかあるわけないだろ」という自分の「思い込み」が粉砕されることが多かった。「出来るだけ働かないで生きる」と言うとインターネットを活用して「サイト作り」や「せどり」で生計を立てるという姿を想像する人が多いと思うし、事実「ニートの歩き方」ではこれらについても具体的に書かれているのだが、中には「こんな手もあるのか!」と驚かされる策もある。


例えば「居候」。phaさんによれば「一人暮らしは寂しいし、ちゃんと居候力がある居候なら家にいてほしい、という需要はけっこうある(中略)家に一人くらい余計に住んでも邪魔にならないような家は探せば割とあって」とのことだ。「本当にそんな家あるのかよ」と正直思ったけれど、これも僕のただの「思い込み」に過ぎなかったということかもしれない。


また、「ダメ人間でも出来そうな小銭稼ぎ」という話も面白かった。「新商品を試して感想を言うだけで何千円かもらえる商品モニター」、「飲食店でご飯を食べて感想を言うモニター」、「パチプロに雇われて指定された台でパチンコを打つだけの打ち子」という求人誌には載っていない小銭稼ぎが案外転がっていたりするらしい。これは「口コミ」で回ってくる仕事ということで人とつながることが必要となるが、それに成功すれば僕らが想像もしていないようなアルバイトに巡り合えるということなのかもしれない。


他にも、phaさんは、自分よりもお金がなさそうな人や困っている人などにお金をあげたりすることもあるという。phaさん曰く「一般的な生き方のレールから外れても、ものすごいダメ人間でも、なんとかギリギリ死なない」範囲の生活レベルらしいが、ニート同士でつながりをもって困った時に助け合う関係ができることで、とりあえずは生きていくことなら可能となっているとのこと。「働きたくないけれど、こういうギリギリの生き方はさすがに嫌だ」という人や、phaさんが言う生活に根本的に向いていない人もいるだろうけれど、一つの選択肢としてこういう生き方が成り立っていることを知るのも悪くない。


さて、ただいま「脱社畜ブログ」の「会社を辞めました」というエントリーが話題になっている。これに触発された人もいるだろうけれど(もっともこのエントリーには「"会社を辞めろ"とか"ノマド礼賛"とかそういう趣旨のエントリでは決してないです」という留保がついている)、一方で会社を辞めた後、あるいはそもそも会社に勤めずに生きていく術のイメージが湧かないという場合もあるだろう。そういう人にとって、「ニートの歩き方」は最適な教科書の一つとなるはずだ。

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<書評>大卒だって無職になる(工藤啓著)~「職業社会にうまく入っていけない若者には~な傾向がある」と単純には言えない~

前回の記事で取り上げた「大卒だって無職になる」という本は去年の11月に出た本だが、僕が本書を読み終えたのは、遅らせばながら3月下旬のことであった。このブログを読んでくださる方ならば大いに関心を持つであろう本だと思うので、本の概要を紹介したい。


著者の工藤啓さんは、NPO法人「育て上げネット」の代表を務め、主に「職業社会にうまく入っていけない若者」が自立していけるようにするための支援に取り組んでいる。「職業社会にうまく入っていけない若者」というと、もしかすると「就活を"茶番"、"バカバカしい"と感じて、職探しをしない若者」をイメージされる方がいるかもしれない。確かにそのような若者も一定数いるかもしれないけれど、工藤さんの本に登場する若者はそういう若者とはまた違った思いをそれぞれ持っていた。


この本の良いところは、①「職業社会にうまく入っていけない若者」がどのような考えを持っているのか②「職業社会にうまく入っていけない若者には~な傾向がある」と単純に説明できないことをそれぞれ教えてくれることにある。


①について。前提として、本の最初に工藤さんとその友達Aが居酒屋で会話を交わす場面があるが、友達Aは工藤さんの取り組みを聞いて次のような疑問を発する。

よくよく考えてみれば、お前だって、俺だって、自立支援なんか受けたことないじゃん。でも、自立しているよな。なんで、若い奴らにわざわざ自立支援してあげなくちゃいけないのかが、どうしてもわかんないんだよなぁ。俺が一生懸命働いている税金が、そいつらに使われてるのは納得いかねぇ


工藤が言っている"働けない"というのは、結局そいつらの言い訳じゃないの?本当は"働きたくない"んだよ。そいつらはきっと働かなくても食っていける。みんな親が金持ちのお坊ちゃまなんだろ?汗かいて必死で仕事してる俺らを見下してるんだよ

これは「働かないのは"若者の甘え"だ」というスタンスの人が抱く気持ちの典型的なものと言って良いだろう。工藤さんはその気持ちを受け止めた上で、「若者の甘え」という文脈に回収されがちな大卒無業者の存在について、工藤さんが支援した若者の例を紹介していくことで、問題がそう単純な話ではないことが説明されていく。


一言で「働くことにつまずく」と言っても、その実態は多種多様であることが本を読み進めていくうちに実感できていく。有名国立大学を卒業したあと4年間引きこもった人。面接にて自己PR・志望動機が答えられず「私には何もない」と感じるようになった人(この人が、前回の記事で取り上げた「R子」さんである)。希望通りの会社に入社したものの、それまでの人生で「失敗経験」が殆ど無かったことから失敗することを怖いと感じ、そのプレッシャーから入社から3年間力を抜かず働き続け、結果会社をやめてしまった人・・・。優劣をつけるのもどうかと思うが、特に3番目の人に関して言えば、工藤さんの友人が述べた「"働けない"というのは、本当は"働きたくない"ということ」というイメージは全く当てはまらず、むしろ労働に打ち込みすぎたからこそ「働けない」状況に陥ったと言える。


続いて②について。本の中には、工藤さんの別の友人Dさんが「大卒でニートになった人には、"気が弱かったり内気だったりする"という共通項があるのではないか?」という仮説を工藤さんに述べる箇所がある。ただ、工藤さんはその仮説を一定程度認めつつも、「ウチのNPOに来ている若者は、"一人ひとりが例外的だ"と言った人がいたほど、千差万別なのだ」と続ける。


実際にその記述の後、おしゃれなヘアスタイル・ブランド物で占められたファッションでNPOの事務所にやってきて、軽い雑談も問題なく出来る人のケースが紹介されている。その人は「仕事ができる人」という雰囲気を醸し出していて、大学卒業後は外資系の医療機器メーカーで働いていたのだが、会社を1年で退職。その人には物事に一生懸命取り組む意欲はあるのだが、NPOが実施するプログラム研修において、頼まれたことを次々と忘れたり、二つ以上のことを同時にできなかったりするなどの問題点が見られた。後に適性検査をした結果、「空間認知や形態を捉える能力がやや低め」という結果が出て、その人に「本人も、周囲も気づくことができない苦手な領域」があることが可視化されたという。このケースについて言えば、Dさんの仮説が当てはまらないと言える。


なお、「ウチのNPOに来ている若者は、"一人ひとりが例外的だ"」という記述は、就活に苦しむ人の傾向を類型化しようと考えていた僕にとって「少なくとも、話を単純化することを持って"類型化できた"と考えるのは明らかに誤りだ」という気づきを持たせてくれたという意味で、本書の中で一番勉強になったものであった。本書全体を通じて、工藤さんは「職業社会にうまく入っていけない若者には~な傾向がある」と結論づけることを避けているような印象を僕は持った。それは、そもそも工藤さんの役割が「若者が職業社会への参入につまずく原因となっている構造的な問題」を徹底的に検証することよりも目の前の若者を支援することにあるという事情もあるだろうが、一方で純粋に話を単純化して語ることが不適切だという思いをも持っているからだろうと考えている。これは、この領域に関心を持つ人の全てが持つべき心構えではないだろうか。


ページ数もそれほど多くないし、語り口も平易なので、1時間もあれば読める本だと思う。この本を読むことで「職業社会にうまく入っていけない若者」の全てがわかるとは言わないけれども、理解のとっかかりとしては最適な本といえる。

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<書評>僕たちはガンダムのジムである(常見陽平著)~常見さんの「自分語り」を読まされても・・・~

昨日の記事で触れた常見陽平さん著の「僕たちはガンダムのジムである」の帯には「世の中は1%の"すごい人"ではなく99%の"その他大勢"が動かしている」と記されている。そして、本の「はじめに」で記されているように、この本は「普通のサラリーマン」「普通の量産型人材」がいかにして先行きが不透明なこの世の中を生き延びていくのか、そのヒントを示すために書かれている・・・とされている。「書かれている」と断言しなかったのは、僕は実際にこの本を購入し読んでみて、「これは有名大学の出身で且つ有名企業に勤める会社員で、現在大きな不満は無いけれど、何となくこの先が不安だなぁと感じている人向きの本であり、決して"はじめに"で書かれているような"普通のサラリーマン"向けの本ではない」と感じたからだ。このように感じたがゆえに「なんで、この本がアマゾンでこんなに絶賛されているんだ?」と疑問を抱いているし、このブログを読んでくださっている方には原則として購入することを薦めない。


そもそも、僕がこの本を購入したのは純粋に本のコンセプトに共感したからであった。というのも、「大企業に入っても安泰ではない。だから、一人で生きていく力を身につけなければならない」というメッセージは誰もが一度は耳にしたことがあるとは思うが、このメッセージに共感できる部分もある一方で「本当に会社はもうダメなのか?組織に頼らずに一人でやっていける位の力をつけないと、これからは生きていけないのか?」という不安を抱く人も多くいると思っていた。そこで、この「僕たちはガンダムのジムである」がこのような不安を取り除くために一定の役割を果たすのではないかと考えていたのだ。


なお、本を手にした段階における考えとしては、この本には「無名大学→無名企業というキャリアを歩んでいる人に関するケース」が多く載っているのではないかと予測していた。その理由としては、第一に、本の帯の記述から「99%の"その他大勢"」に着目したキャリア論であることが伺え、その意味で一握りの人しか入れない「大手・有名企業」に勤める人のキャリア論ばかりが載っているわけではないだろうと考えていたことが挙げられる。第二に、常見さんが「ノマド」批判にあたって「自由っぽい生き方で成功している人、目立っている人って結局、有名大学→有名企業が多い」と指摘していたので(http://blog.livedoor.jp/yoheitsunemi/archives/53976095.htmlとかhttp://blogos.com/article/44854/?axis=&p=6とか)、その意味でも「有名大学→有名企業」でなければ歩めないであろうキャリアの紹介はあまり無いだろうと考えていた事が挙げられる。結果として、この事前の読みは間違っていたのだが・・・。


「僕たちはガンダムのジムである」は全3章で成り立っていて、「普通の量産型人材」がどのように生きていけば良いのかは主に第3章に書かれていた。しかし肝心の内容は、常見さんのキャリアの歩み、及び仕事観が殆どを占めて拍子抜けした。なぜなら、常見さんは一橋大学という「有名大学」、リクルート・バンダイという「大手・有名企業」の出身であり、(常見さんは否定するかもしれないけれど)相当恵まれたキャリアを歩んでいるといえるからだ。別に常見さんの体験記そのものがいらないという話ではないけれど、常見さんの経歴を考えると「常見さんと同じような意識で、同じような取り組みをしてもダメな人はいくらでもいるんじゃないか?そういう人は、常見さんが批判する"自分磨き"もしないといけないんじゃないの?」という気にさせられた。


勿論、「僕たちはガンダムのジムである」を読んだ人の中には僕の記述を見て「常見さんの成功は、彼の"出身大学""経歴"という要素よりも、彼が本で記したような考え方をもって仕事に臨んだり、あるいは彼がきちんと努力をしたからこそだ」と批判したくなる人もいるかもしれない。それは完全には否定しないけれど、一方で彼のキャリアは彼の経歴に支えられている部分が非常に大きいと僕は思う。


実際に本には「リクルート出身の人間が転職市場で強いのは元々、採用に力を入れており、能力や意欲が高い人間を採っていると言う事や、リクルート流仕事術というのが他社にとってはまだまだ希少価値が高いと言うことも要因である。実際、僕も含め、社内ではBクラス、Cクラスだった人間も外に出たら評価されるわけである」と書いてあり、常見さんの転職に際してリクルートブランドが役に立ったことが明らかになっている。このエピソードは「自分が、営業力が強いことで有名な企業に勤めているとする。その企業でエース級ではなかったとしても、たとえビリに近い成績だったとしても、他社にとってはそれでも十分な営業力がある人ということになる」という主張の根拠として書かれているものなのだが、このエピソードが参考になるのは、かなり分かりやすい強みを持つ勤め先に勤めている人でしかないのではないか。


また本には、常見さんが就活の論客としてのデビューをするにあたっての戦略も書かれている。それを読んで、確かに常見さんが生き残るための戦略を考えていたことは分かったし、それが常見さんの成功の大きな要因だとは思うけれど、同時にその成功の必要条件として常見さんの「バンダイという"大手・有名企業"の採用担当者」という肩書きがあったのではないかと思った。特に大学3年生という就活始めたての段階の人たちが知りたいのは「自分たちが入りたい"大手・有名企業"」の採用担当者の考えであり、恐らく出版社としては仮に「中小企業で採用担当を経験していた人の考えが、この本を読むことで分かりますよ!」とアナウンスしてもそんなにウケは良くないと考えるはずだろう。このような考えからも、「この成功も、"経歴"があってこそだと思うけどなぁ・・・」と感じたのである。


amazonのレビューに「世の中は1%のすごい人ではなく99%のその他大勢が動かしている。という、帯にひかれて読んでみたが、ジムな人たちに対する、応援と思っていたら、部署移動があったり、やりたくない仕事でも後々役に立つと言ったり、ある程度、大きな企業で働いている人たちに向けた、啓発本だった」というものがあるけれど、僕もこれにほぼ同意だ。例えば一つ例を挙げると、「ここで意識したいのは、会社・仕事と適度に距離を置くことだ(中略)適度に距離を置き面白がるくらいで丁度良い」というアドバイスが本に書かれているが、これは「ブラック企業で、強制的に長時間労働に服させられる人」、「業務量を増やさないと、会社がまわっていかない状況下にある人」等にはまるで参考に出来るものではない。「適度に距離を置き面白がる」余裕を持とうと思えば持てる人にしか当てはまらないアドバイスだ。


誤解しないで欲しいが、この記事は「大きな企業で働いている人たちに向けた啓発本なんか書くな」という話ではない。それはそれで意味があるのは間違いないし、仮にこの本が「一定の大学を出て、ある程度世間で評判の良い企業に入れて、上司や同僚ともそこそこうまくやっているけれど、でもこのままで良いのかは不安」と感じている人に向けてのものだったら、かなり良い形で仕上がっていると評価した。しかし、あくまでもこの本は「99%の"その他大勢"」に向けたもののはずであり、それにも関わらず肝心の中身がほぼ常見さんの体験記・考えで占められているのはおかしいと感じた。ましてや上で示したように、常見さんはイケダハヤトさんや安藤美冬さん辺りの「ノマド」を「有名大学→有名企業というルートだから出来る生き方だ」と評していたので「この本に書かれているのも、ある程度恵まれたキャリアを歩んでいる(企業規模が大きかったり、人間関係にかなり恵まれていたりする)人じゃないと参考にできないアドバイスじゃん」と思ったのが正直なところだ。以上より、この本に良いところがあるのは事実だけれど、「99%の"その他大勢"」に向けての本としては大いに疑問の余地が残る内容であり、にも関わらず読者から過大評価されすぎな本だと僕は感じている。


「僕たちはガンダムのジムである」の要旨、及びその問題点が掴めたと感じてくださった方は、もし宜しければクリックをお願いします。
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<書評>育て上げ―ワカモノの自立を支援する(工藤啓著)~社会のレールから外れた若者と、その親の心理を知るためのヒントとして~

図書館で、NPO法人「"育て上げ"ネット」の理事長である工藤啓さんの著書「育て上げ―ワカモノの自立を支援する」という本を借りた。この「"育て上げ"ネット」とは、「若者を"大人になりきれない、若い大人達"として理解し、彼(女)らが、"経験の穴"を埋めていける場をつくり、支援しています」という理念の下、若年者就労支援事業や保護者支援事業、官公庁ソリューション事業などに取り組んでいるNPO法人である(http://www.sodateage.net/aboutus/index.html)。


「育て上げ―ワカモノの自立を支援する」は、主に工藤さんの人生観が記されている「僕の育て上げ」、「"育て上げ"ネット」の活動内容について記されている「他者の育て上げ」の2部構成となっている。


「僕の育て上げ」のパートは全て、「僕にとって、○は~です」という文章から章が始まる。例えば「僕にとって、"夢"は寝ているときに見る映像です」、「僕にとって、"職場"は仕事場であり、遊び場です」、「僕にとって、"時間"とは無限にあり得る有限資源です」などなど、工藤さんの物事の捉え方がひたすら記されている。正直このパートは、工藤啓さん「個人」に関心が無いと読み進めるのが少しキツいかもしれない。そして僕はそこまで興味が無かったので(笑)、このパートはさらっと流し読みをするに留め、後の「他者の育て上げ」の方を重点的に読んだ。


「他者の育て上げ」には、「ワカモノの自立を支援する」、「ジョブトレ、それは自立のための支援プログラム」、「若者と親と社会の関係」など、「"育て上げ"ネット」の活動、並びに活動を通じて関わるに至った若者・親などがどのような想いを抱いているのかが記されている。例えばジョブトレの実施に際しては、「"育て上げ"ネット」にやってくる若者は長期にわたって仕事や共同作業の機会から離れているためにそうした営みに不安を抱えていて、ゆえにまずはそうした不安を解消出来るような機会を提供することを意識している・・・など、「"育て上げ"ネット」が実施するプログラムの趣旨・狙い、並びに若者の心理などを知ることが出来る。


個人的には、中々働けないでいる若者の「親」の心理を表現した箇所が特に勉強になった。というのも、以前「親のこんな言動で就活生は傷ついている」という記事を通じて、「現在の就活事情をろくに知らないで子を非難する親と、そのような親に苦しめられる就活生」という構図が存在するかのように書いたのだが、こうした構図を定立することが妥当でない場合の具体例を知ることが出来たからである。


親は親で悩んでいるだろうことはさすがに想像できたが、その「悩み」の具体例はあまりイメージできていなかった。しかし本には、例えば、自分の子が就職できない状況下に置かれることで、他者とのつながりを無くしていくケースなどが載っていた。どうやら同世代の子を持つ親同士の会話で話題になりやすいのは、「子供が卒業した大学」、「働いている会社」、「結婚や子供の有無」という子供に関するトピックらしい。しかし、ここで家に引き篭もっている子供を持つ親はそうした会話において、「自分の子供は、自宅で出来るような仕事をしている」とウソをついたり、「フリーターのようなものをしている」と話をぼやかしたりするしか会話を乗り切る術はない。そして、子供のことをあまり聞かれたくない親は、子供のことが会話のトピックになることが多いコミュニティから離れて孤立化する道を選ぶ場合もあるとのことだ。


工藤さんは親を対象にした「親ゼミナール」というものをやっているらしいが、その参加者の特徴として「開催地付近に住んでいる人たち」の参加が少なく、むしろ電車で1時間以上かけてやってくる方々が多いと著書に書かれている。これも親たちが、地元で開かれるセミナーだと知り合いに会ってしまい、自分の子供の状況を知られてしまう可能性を危惧し、自分や子供のことを知らない人たちと悩みを共有したいと考える傾向が強いからだ。子にキツくあたる親の中には、その親の人間性に問題があると言うよりも、人と関わる事を恐れることによって生じる精神的ストレスの方が理由としては大きいのかもしれない。


工藤さんは「これまでずっと自責の念と他者の目に苦しんできた親が求めているのは、安心できる環境で、同じ悩みを共有できる"まったくの他者"との交流と、子供への"具体的な対応策"である」と述べているが、これは既卒者カフェが備える特性と通じるところがあると感じた。以前、「就活生だけでなく"親"をも食い物にし始めた就活コンサルタント」という記事で「就活生の親」を対象にした、子供を就職難民にしないためのセミナーを紹介したが、こうしたセミナーの存在よりも既卒者カフェの親バージョンみたいなものが出来るほうが、精神的に苦しむ親の気持ちを楽にするのではないかと想像する。


勿論、工藤さんが接している若者・親が全てではなく、工藤さんも本の中で「若者」を一括りにして論じる危険性を指摘する。ゆえに、読者としても「若者や親はこんな風に考えているのか」と安易に結論に飛びついてはいけない。しかしそれでも工藤さんが示す具体例を、社会に定着する一般的なレール(学校から社会に滞りなく移行する)から外れた若者、そしてその若者の親ががどのような思いを抱えているのかを考えるヒントとして活用する分には問題ないと思う。特に若者支援に関して問題意識を持つ人にとっては、得るものが大きい1冊だと感じた。

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